京都文化
トリハダ通信
1

樂焼を知っていますか?

「樂焼で自然とのつながりを 実感できる」
学生による
器づくりの授業レポート(1)

Kyoto Art class
Report #1
“Rakuyaki”
by Suzuki Hinae

基礎美術コース 2年
鈴木 日奈惠

(1)_「土を探しに行きます。」

という先生の言葉から、
基礎美術コース お茶碗づくりの授業が
はじまりました。

教えてくださった先生は、 清水志郎先生と、小川裕嗣 (ひろつぐ) 先生です。

清水先生は人間国宝清水卯一さんのお孫さんで、土を求めて各地を巡り、
主に自ら掘った土だけで陶器作品を作っています。
土という素材から、常にやきものの本質を追い求め続けています。

 

小川裕嗣先生は、「御茶わんや 長樂窯」に生まれ、
三代小川長樂に師事、樂茶盌を根幹に、他分野とのコラボレーションなどを展開。
現在を生きる「今焼」を追求している作家さんです。

お二人とも京都で生まれ、京都を中心に活動されている陶芸作家さんで、
国内の美術館やギャラリーだけでなく海外でも作品を発表されています。

“樂焼” とは、手と、ヘラやカンナのみで成 形する “手づくね” という方法を使います。
普通緩やかに温度を下げて、ゆっくり冷ましていくものと違い、
急速に冷やして独特の色味を出す陶器です。

“樂茶碗” が生まれたのは今から約 400年前。
初代陶工長次郎が、茶の湯の大成者である千利休に従い、
茶の湯のためのお茶碗として作ったのがこの “樂茶碗”でした。

 

千利休に愛された“樂茶碗”は、長次郎の技術を受け継ぎながら
さらに代を重ねるごとに改良を重ね 現在は 15代まで続いています。

今回の授業では、そんな日本の歴史ある “樂茶碗” を作り、
自分で作ったお茶碗でお抹茶をいただく、 ということをゴールとして制作を行いました。

 

さっそく
山へ 土掘りに。

さっそく、私たちは山へ土掘りに。
好みの土を掘って、粘土にします。
もちろんですが、掘った土はそのまま粘土になりません。

まず、1 : 土掘り
それから、2 : 選別 (砂利や石を取り除く)
さらに、3 : 粉砕

そのままだと枝やゴミなどの不純物が入っているので、
水と土をかきまぜて浮いてきたゴミを地道 に取り除きます。
何回か繰り返したら、1~3 日放置。

数日間放置すると、水と粘土が分離していました。
分離してから、うわずみ水だけ流します。

水を流したら、
4 : 吸水性の高い布の上に粘土を乗せ、包んでしばらく乾燥させます。

泥遊びをしていた小さい頃に戻ったみたいでした。

いい感じの柔らかさまで乾燥させたら、 ついに、粘土が完成しました!
粘土は、
湿度管理された場所 (土室=つちむろ) で何年か寝かすことで、
バクテリアが 繁殖し、より粘りのある土になるそうです。

次回は、再生土 6 (乾きすぎて使えない粘土を砕いてもう一度粘土に戻したもの)、
童仙房土(どうせんぼう) 4 (耐火度を上げるための粘土) の割合を
ベースの土として、このベースの土と採ってきた山の土を好きな割合で混ぜて、
お茶碗を作っていきます。

 


「山」という自然と
自分が繋がったような感覚。

山の土を粘土にする作業は、 私の思っていた以上に大変な作業でした。
地道な作業が多いので、根気がいるし、時間もものすごくかかりました。
正直めんどくさかったです。

でも、
自分の掘った土が粘土になった時、
山という自然と自分が繋がったようで不思議な感覚でした。
自然に触れることがほぼない私たち現代人にとって、
土というエネルギーのあるものに触れることは、
ものすごく五感を刺激されることなんだなと感じました。

そしてそれは、
物質的な豊かさ(ものをたくさん持つ=お 金持ち=幸せ)とは
違う種類の豊かさだと思います。

普段私たちが 『無意識』に手にしているものも、
意識していないだけで、
自然と繋がっているかもしれません。

つづく

 

  • 椿昇先生のコメント

    そうなんだよね、
    いまの時代は「プロダクト」制作のプロセスは全く見えなくなって、格安で海外で製造された完成品を使い捨てる文化。
    でも怖いのは、自然とつながったと貴方が直感した驚きを経験できなくなっている事。
    それが一番数値化(金銭も含め)できない価値なんだね。
    身近にある原料から製品(あえて作品と言わない)を産み出せる事に気づいてもらうように基礎美術のカリキュラムが組んであります。