京都文化
トリハダ通信
1

教えてもらったことを
超えなければいけない

「樂焼で自然とのつながりを 実感できる」
学生による
器づくりの授業レポート(3)

Kyoto Art class
Report #1
“Rakuyaki”
by Suzuki Hinae

基礎美術コース 2年
鈴木 日奈惠

(3)_「想いを内に留める」

前回、菊練りに大苦戦した私たち。
形を作る前に、まだやることがあります。

〈テストピースを作る〉

自分で掘った土をベースとなる土にどれくらい混ぜるのか考えて、
この土は割れる土なのか、どのように焼けるのかテストします。
5円玉サイズのテストピースを作って電気釡で素焼きし、
今回使用する、焼くと透明になる釉薬(ゆうやく)や塗り土(土と水を混ぜ、
すり鉢でなめらかになるまで
ゴリゴリして液体状にしたもの)を塗って、
もう一度焼きます。

塗り土、腕がめっちゃ疲れます。

 

  • 椿先生のコメント)
    必要な筋肉がどんどん育って来るから大丈夫

 

次はいよいよ 三角錐がお茶碗に変身します。

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家訓は「教えない」こと。

樂焼を始めた樂家は、
一子相伝(親から子へだ代々受け継がれてい くもの)でありながらも、
秘伝があるわけではなく、
作り方は「教えない」ことが家訓であるそうです。

 

その教えに習い、
自分たちでやる前に私たちは、
先生たちの作る様子を一度だけ見させて頂くことになりました。

  • (椿先生のコメント)
    師匠が直接見せてくださる!なんと贅沢な!全神経を集中してわずかでも盗み取れたかな・・

清水先生も小川先生も樂茶碗を作っていたのですが、
やり方が少しずつ違っていました。
同じ樂焼でも、 人それぞれで造り方が違うみたいです。

清水先生

 

小川先生

 

楽茶碗は、
自分の身体性が
もろに現れる。

  • (椿先生のコメント)
    うーむ、まさに日本の武芸の神髄なり!

 

ろくろは回転するときの遠心力で外に広げていきますが
手づくねは手の中で形を作っていくので、

「想いを内に留める」

という意味も込められているそうです。
だから、 茶碗をみただけでどんな人が 作ったかわかってしまうんです。
大雑把な人だなとか、体育会系だなとか・・・
そんなところも、楽茶碗の魅力のひとつだと思います。

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〈成形〉

さて、いよいよ成形していきます。

まず適当な量の粘土を取り、平らにします。
そこから、 上に持ち上げながらお茶碗のかたちを作っていきます。

 

全体的に結構厚くなります。
高台(お茶碗の底)は、
「付け高台」(高台を別で作って後からつける) と
「削り高台」(同時進行で削って高台を作る) があるのですが、
今回は削っていくので 底の真ん中の方は特に厚めになります。

途中経過。分厚いです。

 

季節を感じる、
日本のお茶碗。

ところで、
お茶碗にも季節があるのをご存知ですか?
茶道の世界では、季節感を大切にします。
夏は涼しげにみせるために、口の大きく開いた「平茶碗」、
冬はお抹茶が冷めないように、口の狭くて深い筒状の「筒茶碗」を使用します。
こういうことを知っておくと、お茶の世界がより楽しくなりそうですね。
四季がある日本らしいなと思いました。

  • (椿先生のコメント)
    日本の四季は旧暦を元にしています。旧暦の名称を早く覚えましょう

さて、 形ができたら、削りやすい固さになるまで 乾燥させます。
乾かしすぎるとカチカチになって 削れなくなってしまうので、
濡らした布や、袋をかぶせておきます。
少しずつお茶碗に近づいてきました。
でも、まだまだ。これからです。

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「想いを内に留める」
という言葉に
納得した自分がいた

「想いを内に留める」という言葉に
すごく納得した自分がいました。

ろくろが手捏ねより劣っているとは思って いませんが、
今まで、陶芸というのはろくろを使うものばかりだと思っていました。
だから、全て自分自身の手で形を作っていく 樂茶碗は、新鮮に感じたのです。

また、今はなんでも教えてもらえる時代です。
教えてもらうことは悪いことではありませんが、
自分で考えずに、何でもかんでも 聞くのは違うな、
と私は思います。

私たちは、教えてもらったことを
越えていかなければいけないのです

 

  • (椿先生のコメント)
    2回生にして、もう気づきましたか!教えてもらうというのは大きな甘えの構造で、本人の成長にはあまり効果的な方法ではありません。素晴らしい師匠にあこがれて(すばらしくないと思うと盗む気にならないから良い師に出逢えるかが難題)盗み取らないとね。

 

つづく