職人
interview
6

鏡には、今を映すという意味がある。

世界でひとりの和鏡師
山本合金製作所に
伺いました。
(1)

Traditional Craftsman
interview 6
YAMAMOTO GOUKINSEISAKUJYO
Yamamoto Akihisa
山本合金製作所
山本晃久

空間デザインコース 2年
溝辺 千花

世界に1人となった和鏡師 山本晃久さんのお話。
三種の神器である鏡には〝今を映す〟という意味があります。
技術の進歩と共に、外国からガラス鏡が日本へ普及する以前、
日本人は銅鏡を研ぐことで繰り返し使っていました。
山本さんに伝統工芸の見せ方や魔法の鏡、キリシタン魔鏡に
ついてお話いただきました。

 

 

(1)_ 世界でひとりの和鏡師

鏡師とは。

主に神社仏閣に納める御神鏡を作っています。
作家と共同制作することもあります。

 

 

この世界に入ったきっかけは、なんですか。

仕事として始めたのは、大学卒業してすぐです。
祖父の手伝いとして、鏡を磨くようになりました。
鏡師になるには、30年かかると言われています。
「鋳造」「削り」「研ぎ」の各工程の技を習得するのに
10年かかるからです。

 

30年、心が折れることはなかったですか。

僕自身、同じ作業を繰り返すのが嫌じゃないんですよね。
ただ小さい頃は全然興味がなく、
どんな仕事なのかも詳しく知りませんでした。
時代も時代なんで、僕が大学4回生の頃よりも1回生の頃の方が
忙しかったなぁというのが実感できた。
この業界は良くならないだろうなぁという状況だったんで、
父親から「この仕事やれよ」 と
言われることもありませんでした。
祖父は継いで欲しいと思ってたみたいですけど、
直接そんな話をする事もなくて。
一般の人はまず、こんな仕事がある事を知らないじゃないですか。
知らない=絶対選ばれない。

 

 

 

鏡師は他にいらっしゃいますか。

世界にうちだけです。
周りに銅鏡を使ってお化粧とかしている友達いないでしょ?
皆さんの日用品はガラス鏡なんですけど、
昔は金属の鏡を使っていたんです。
外国からガラス鏡が入って、
銅鏡と違って “曇らず、軽くて安い” ということで、
変わってしまった。
しかし、なぜまだ日本に金属の鏡が残っているかというと、
神社仏閣のご神鏡やお祭りがあるからです。
日本の文化のおかげ。

 

昔、日用品の鏡が曇った時は
どうしていたんですか。

僕らみたいな職人が年に一度家庭をまわって、
研ぎに行ってたんです。
曇った鏡を綺麗にするのに削るのは0. 何ミリ。
曇るたびに削るので長持ちさせるために、
極力削り過ぎないように。

 

 

魔鏡とは、どういうものですか?

魔鏡というのは、
見た目は普通の鏡なんですけど、
光を当てると裏面の模様が反射して出てくるんです。
表に微妙な凹凸があり、
それに光を当てる事で映し出す仕組みです。
削っている時に凹凸が自然と出てくる。
鏡を極限まで薄くすることで魔鏡現象が起きます。
薄くするのに一ヶ月間削り続けます。

キリシタン魔境は二重構造になっていて、
裏の模様の見た目は、
当時人気で一般的だった鶴とか松竹梅の模様で、
光を当てるとキリストが映るという仕組み。
これをキリシタンは隠し持っていた。
その他に、いろいろな模様の魔鏡が生まれました。
魔鏡がいつ発明されたかは、正確には分かっていません。
三角緑神獣鏡を復元し磨いたら魔鏡現象が起きたので、
かなり昔に作られたことになる。
卑弥呼の時代ですね。
でもそれが偶然か意図的なのかは分かりません。

 

つづく

Traditional Craftsman
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YAMAMOTO GOUKINSEISAKUJYO
Yamamoto Akihisa
山本合金製作所
山本晃久

空間デザインコース 2年
溝辺 千花