職人が減っている?

伝統工芸について
オキサトさんに
聞きました

Okisatosan
interview 1
永田 宙郷

質問者
ファッションデザインコース 2年 岸 直輝
空間デザインコース 2年 竹之内 春花

「伝統工芸って何ですか?」
「職人さんはなぜ減っているのですか?」

京都の職人や伝統工芸のことを学び始めた学生が考える、
ハテナはとても根源的なこと。

そこで、作り手と使い手と伝え手を繋ぐ様々な仕事をされている
プランニングディレクターの永田 宙郷(ナガタ オキサト)さんに
思い切っていろんな質問をしてみることにしました。

 

 

学生 Q :

職人さんが減少している状況についてどう思いますか? (岸くん) 職人さんはなぜ減ってしまうのですか? (はるか)

   

オキサトさん A :

みんなが食べていける程の仕事の確保が
難しくなりました。

かつては、工芸を買って使ってくれる人、
工芸を売ったり職人に仕事を頼んだりしてくれる人、
そして工 芸をつくる職人さんの3者がよいバランスで存在したので、
職人さんは仕事に困らずに作り続けることができました。

しかし、生活スタイルや売り買いする場所が変わり、使い勝手が合わなかったりと、
3者の思いや道具と しての役割が少しずつズレはじめ、
さらには効率的に安価に作られた代用品が、より使いやすく買いやすくなったりと、
社会で必要とされる商品の種類は、かつて工芸品に求められたものとは変わっていきました。
そして、次第に伝統工芸品は、売り買いされる量も減り、
作り続けるにもみんなが食べていける程の仕事の確保が難しくなりました。
これが、一番大きな、職人が減った理由だと思います。

他にも理由は幾つもあります。
例えば、就職するタイミングの変化です。
昔は中学や高校を卒業して、地元の工房や職人に入門するケースが多くありました。
今では、大学を卒業してから就職する人が大半です。
となると、地元産業としての工芸以外にも多くの魅力的な仕事やこだわりを
活かせる仕事を多く知ってから仕事を選べるので、
職人という職業が多くの選択肢の中で薄れてしまい希望者自体が減りました。

 

 

僕自身、職人の道を歩んでいたかもしれません。

ただ、職人は減る一方な訳でもありません。
最近は、その地域の素材や歴史や自然を積み重ねてつくる伝統産業への関心は
広がりはじめ、職人の仕事現場にいける『仕事旅行社』
富山で宿泊しながら職人仕事 を楽しむ『BED&CRAFT』、
兵庫のデザイン事務所が若い職人を育てるために立ち上げた『WORK SHOP』など、
職人になるためのきっかけの場も増えています。

僕自身、伝統工芸はじまって以来の低迷期であるここから、
どう新しい息吹を吹き込みながら伝統工芸の職人さんが残っていくか
とても楽しみです。
実際に僕の周りには20代や30代の職人が多くいます。
やった分だけが形として残り、

知恵を絞った分だけ仕上がりが向上する仕事にやり甲斐を感じながら、
素材と文化に立ち向かう姿を見るたびにほれぼれします。
もし、プロデューサーという仕事が職人にとって必要ない時代だったならば
僕自身、職人の道を歩んでいたかもしれません。

 

 

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永田宙郷(ながたおきさと)
合同会社ててて協働組合共同代表・プランニングディレクター。

1978年福岡県生まれ。
『ものづくりをつくる』をコンセプトに数多くの事業戦略策定と商品開発に従事 伝統工芸から最先技術まで幅広い事案に対し、時代に合わせた再構築や、視点を変えたプランニング を多く手掛ける。 作り手と使い手と伝え手を繋ぐ場としてデザイナー、ディストリビューター、デザインプロデューサーと 共にててて協働組合を発足し、2012年より、『ててて見本市』を開催。

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似顔絵       AIUEO  kaorin
イラスト    竹之内 春花