京都文化
サブイボ通信
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“こみわら”作り

“花をする” ということは?
学生による
いけ花の授業レポート(2)

Kyoto Art class
Report #1
“Ikebana”
by Sakiyama Saki

基礎美術コース 1年
崎山 紗己

(2)_ 縁の下の力持ち

 

さて基礎美術コース最初の授業「たて花」 が始まったわけですが、急に花を生け始めるということは勿論ありません。
私は今まで、どこかの場面で、生けられた花を見た時に、花そのものを綺麗だな。
と思うことが度々ありました。
ですが、生け花は「花ありき、なのではなく、花があることによって変わっていく空間や状況の変化の中にどれだけ重要な思いがあるのかを考えていかなければならない」ということや、
「実は見えていない部分で花を生かし、花本来の輝きを最大限に引き出してくれる役割を担っている」花瓶の中の花留めの存在を知りました。
最近といえば、花留めとして有名なのは剣山という針が集まっている道具があります。
名前は知らなくとも、どこかで、その形を一度は見かけたことがある人は多いと思います。

・(椿先生のコメント)
競争と敵対(ディベートなど)ではなく共創と協調が日本文化の軸です。表面に現れるものにまどわされず静かに本質を見極める。簡単なようで静かな観察眼が身につくまでには時間がかかります。

 

 

ですが、「花をたてる」という意味では、「たて花」に最もふさわしい花留めである
“こみわら”という稲の葉を束ねた形状をした、室町時代の花留めをこの基礎美術コースでは作っていきます。

・(椿先生コメント)
最近は「稲わら」を見た人は少ないのではないでしょうか。コンバインで刈り取ってそのまま藁は粉砕して田に撒いてしまいます。米ではなく稲であるという事実。すべてを利用しゴミを出さないゼロ・エミッションの文化がつい最近まで日本には残っていました。単に昔の事を習っているのではなく、先人の智慧を現代に再生する使命もこのコースにはあります。珠寶先生は水田で稲を植えるところ(基礎)から実践されています。

 

こみわらは花瓶ごとに合わせて作っていくので、その時の姿に合わせて藁束を束ねる強さを変えたり、微調整に優れていて、かたい枝から柔らかい葉まで、支えてくれるので花本来の姿を表現することができるのです。

・(椿先生のコメント)
水盤に沈んだ「こみわら」の美しさを味わってくれましたか?あぶくがカワイイね〜

命をもらって生きる

和歌山にある立岩農園を経営している立岩さんが、こみわらに使う藁を大学まで運んでくださりました。 こみわら作りの作業を開始する前に、日々の農業の中で多くの命の場面と向き合っているというお話を聞き、私たちが普段食べている茶碗一杯のお米ができるためには、長い時間や、色々な物・人・生き物・条件 など、多くの要素が組み合わさっていく必要があるということを、改めて考え直す良い機会となりました。

・(椿先生のコメント)
スーパーでお米買うときこんな事まで考えないよね。体験からの学びはずっと残るけど、知識は単なる情報なので流れ去ってゆきます。日本文化は身体を通じて染み込んでゆくので、一生消える事はありません。

 

生々しい話ですが、お茶碗のご飯の分だけ、丼一杯の殺生がされていて、普段私達が口を揃えて言う言葉。
「いただきます。」は、「あなたの命をいただきます。」という意味であることを立岩さんが日々の農作業で見て体感してきたことから、教えていただきました。

・(椿先生のコメント)
体験に基づくこの絵は「衝撃的」教科書に採用してもらいたいね。

モノと人の繋がり

今回の授業では、いまの大量生産で色んな商品が出回っている世の中で、使い捨てにするものも多く、物を粗末に扱ってしまっていたことも多くあったのだろう。
と、今までの反省やこれからの考え方の変化をとても強く感じました。
お米は私たち日本人の食生活を長い歴史の中で支えてきた食材の一つですが、その存在が当たり前となっていて、作られている過程のことをあまり考えずに食べていることの方が多く、授業の後からは噛みしめるお米の味がちょっと濃く感じます。
今回製作したこみわらも、一度花を立てた後、洗い、乾かしてから保管することで、 長い間ずっと使っていくことができます。
花の道具だけではなく、今後は身近にあるものに向き合って、どう長く大切に使っていけるのかを考えて生活してしていきたいです。

 

・(椿先生のコメント)
私達の文明がすっかり失ってしまった大切な「何か」を日本文化はまだ保っています。地球環境の未来を考えたときに、きっとこの智慧を活かせると僕は考えてこのコースを設計しました。いま大騒ぎになっている「マイクロプラスチック」の問題も、昔の日本のストローは「藁」だったことを思い出して何が良い方法にたどり着くかもしれません。マイボトルとマイストロー??

 

つづく