京都文化
サブイボ通信
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竹で花入を

“花をする” ということは?
学生による
いけ花の授業レポート(3)

Kyoto Art class
Report #1
“Ikebana”
by Sakiyama Saki

基礎美術コース 1年
崎山 紗己

(3)_ 思い描く花入を探して

 

こみわらが完成すると、次は花入れの製作がはじまります。
図書室で竹の花入れについて調べながら自分が作りたい形のイメージをまとめていきます。
そうすることで、空間のことを考えるだけではなく、いざ竹を取りに行く時にどの部分をどれだけ使っていくのか、スムーズに作業に取りかかることができます。

・(椿先生のコメント)
「遠足」って言葉が僕は好きです。ゆるゆるのどかで開放感がある。「研修」とか言わないで「遠足いきま〜す」みたいな授業のほうがゆたかな実りがありそうだね。この写真は遠足そのものでほほえましいよ。

蓬莱まで竹を取りにいく

滋賀県の蓬莱まで自分達で花入れに使用する竹を取りにいきます。
好きなように伐採するわけではありません。今回使うのは、金目孟宗竹と呼ばれる突然変異によって生まれた珍しい種類で、天然記念物に指定されています。
本来ならば取ることすらできませんが、間引をするという役目を兼ねて使用させていただけることになっています。

・(椿先生のコメント)
「間引き」とか「伐採」とか言うとちょっとうしろめたい気持ちになるよね。そこが問題で僕たちが生きるためにはなんらかの犠牲を自然界からいただく他は無いのです。欧米から攻撃されるクジラの捕鯨問題も根っこは同じ。そこに「節度を保つ」という智慧がなくなり、根こそぎ略奪するような行為が横行する。全面禁止か野放しかという0か1かではなく、自然と相談しながら末永くというのがほんとうの智慧ですね。二回生になって実習する「漆芸」に使う漆の木は、なんと人間といっしょにいないと枯れてしまいます。樹皮を傷つけられ樹液を人間に取られることで彼らは活きる。共生という不思議な生き方です。

今年の基礎美術コースは男性より女性の割合が多いのですが、力の差などは関係無く、皆お互いに協力をしながら作業を進めていきます。
ノコギリを使ったことがはじめてだという人の方が多いのですが、そんなことも心配なく。
しっかりと先生にレクチャーをしていただきながら進めていきます。

この 1 日で一段と団結力が高まった気がします。
皆いい笑顔。清涼飲料水の広告みたい!青春してるね。

・(椿先生のコメント)
いや〜〜〜良い写真です。比良の山並みが美しい。琵琶湖を守る滋賀県のことも調べてみましょう。

基礎とは忍耐のことでもある

滋賀から一人数本切り出して持って帰ってくることも大変でしたが、遂に花入れの製作作業が始まります。
竹を縦に使う人、横に使う人、向きから既に人それぞれで、元は同じ種類の竹だったものが、一点物の全く違う姿へと変化していく様子はとても面白いものがあります。
ノコギリやヤスリ、電動ドリルまで使って、自分達が思い描く形へと形成させていきま す。

・(椿先生のコメント)
基礎美術だから一切現代のものは使わないという事ではありません。電動工具もOK(笑)

竹の断面をまっすぐ平行にすることで美しさを出すことが出来るだけではなく、花入れとしての役割を果たすためにも、水を入れて倒れない形にしていかなくてはいけないことがポイントであり、微調整が難しい粘りどころでもあります。
形を色々な道具で切り出して行く際、竹本来の筋や節がある為、少しでも気をぬくとささくれになったり、傷がついたり、割れてしまったりと、集中力も必要となっていきます。
基礎美術の基礎とは忍耐をつけることでもあるということを感じました。

・(椿先生のコメント)
難しいようで少し経験すれば体得できます。柾目と板目という木材の木目の扱いなども「カンナ」や「ノミ」を使う二回生で学ぶ事ができます。いまは忍耐ですが馴染んでゆくと時間を忘れる愉しい作業になりますよ。「好きこそものの上手なれ」

なぜ、わざわざ竹をとって花入を作るのか

今の大量生産時代、花入れは百均でも売られているし、使い終わったペットボトルなどに花を生ける人もいると思います。
そんな中で、わざわざ遠方まで竹を取りに行き、加工をする。
側から見たら、なぜそんなにもめんどくさいことをするのだろうか、と思われているかもしれません。

・(椿先生のコメント)
きみたちの未来は「めんどくさい」をどう克服するかにかかっています。「めんどくさい」のなかに「宝物」が隠されています。ゆるぎない自己効力感(セルフ・エフィカシー)を学生たちが得るために、手を変え品を変え「めんどくさい」を盛り込んであるのが「基礎美術」。真剣に自分の将来を考えるのならしっかりついて来てください。口当たりのよい甘やかしに群がっては将来は危うい。

 

ですが、生きている竹を切ることで命の重さを感じるだけではなく、今まで以上に竹と向き合い、形を作りあげていく想いの強さも変わっていきます。
またその竹を切ることによって間引きされ、栄養が行き渡り、成長をしていく他の命もあります。
花入れを作る中で、自分の技術を高めるだけではなく、巡りながら流れていく生命についても考えるきっかけを掴む事ができま した。

 

つづく