京都文化
トリハダ通信
2

JAPANを学ぶ

トリハダ通信

まずは木地づくりから
学生による 漆芸授業レポート(2)

Kyoto Art class
Report #2
“Shitsugei”
by Suzuki Hinae

学生による 漆芸授業レポート
基礎美術コース 2年
鈴木 日奈惠

(2)_「“作家” と “職人”」

道具は作り手の命

お盆を刳る作業にはいる前に、
少し道具のことを。
私たちに渡された道具は、
丸ノミ、平ノミ、プラスチックハンマー
この3つを使って刳っていきます。

  • 椿昇先生のコメント

    どの写真もとてもいいね!
    学友を撮影してるから愛を感じる。

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Report #4 “JAPAN~Woodland~” (2)_「“作家” と “職人”」

ですが、先生方普段使う道具は、
私たちの
何十、何百、何千倍。
ノミやカンナでも、用途によって大きさや形が
異なります。

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Report #4 “JAPAN~Woodland~” (2)_「“作家” と “職人”」

古川先生の道具の一部。
ノミでもいろんな種類があります。

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Report #4 “JAPAN~Woodland~” (2)_「“作家” と “職人”」

仕上げ用のカンナ。
1 4 ( 42mm) ほどの小さな道具。
先生のサインがカワイイ。

基礎美術コースの先生方に共通することなのですが、
先生方は道具を何よりも大事にされています。
道具がなければ、お茶碗を作ることも、
花をすることも、木を刳ることもできません。

  • 椿昇先生のコメント

    道具を作る人達も道具を使う人が減って、
    廃業が相次いでいます。
    とても簡単な事はプラスチックの椀でいいやと
    思う人が増えればこの文化と伝統全体が消えてしますのです。
    そんな国にしたくないという思いから
    このコースを創設しました。
    先生たちのように心ある若者が
    必死にその流れと闘っているのです。
    君たちもその勇気を受け継いで欲しい。

道具の裏を傷つけないように、
必ず裏を下に、台からはみ出さないように置きます。

 

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先生から技術を”盗む”

もちろん、ノミも自分で研ぎます。
お手本で先生がノミを研ぎ始めると
みんな、技を盗もうと先生から目を離しません。

  • 椿昇先生のコメント

    職人は教えない!
    それが学びてのやる気に繋がります。
    いまの教育はサービス過剰で、
    その結果受けてのやる気が育たないのです。
    日本の教育全体が大きな危機のなかにあります。
    過剰なサービスの影には 「ごまかし」が潜んでいるよ・・

先生が研いだノミは、
驚くほど切れ味が良くなります。

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Report #4 “JAPAN~Woodland~” (2)_「“作家” と “職人”」

中砥と仕上げ砥という2種類の砥石を使って、
中砥は水につけておき、
仕上げ砥は使う直前に水をかけて使います。
右手でノミを持ち、左手は人差し指と中指を添えます。
横から見て、ぴったりの角度を見つけたら、
右手を回しながら前後にスライドさせて
刃の前面を研ぎます。
ある程度研いだなと思ったら
仕上げ砥で仕上げます。

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Report #4 “JAPAN~Woodland~” (2)_「“作家” と “職人”」

刃物を満遍なく研ぐために、
砥石は平面でなければならないので、
時々ダイヤモンド砥石を使って面直し
(砥石の面を平面にすること)をしてあげます。

  • 椿昇先生のコメント

    砥石も使い終わったら磨いて平らにするんですよ。
    僕はサボり気味;;)

 

技術と身体はつながっている

今は砥石を使って研ぐということは
何かのプロの人だったりしない限りは
あまりしないと思います。
なので、最初は私たちもうまくできませんでした。
みんなおどおどしながらも
見よう見まねで研いでいきます。

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Report #4 “JAPAN~Woodland~” (2)_「“作家” と “職人”」

モノづくりは、技術だけだと思っていたけれど、
技術と身体はつながっているのだと、実感しました。

  • 椿昇先生のコメント

    脳も「身体」ですよ、忘れないでね。

使い終わった刃物は、
油で拭いてからしまいます。
そうすることで、切れ味を保ち、
綺麗に保管することができるのです。
お盆は基本的に木目が並行になるところが
正面になります。
先生がおっしゃるには、
これは日本人の美意識なのだそう。

  • 椿昇先生のコメント

    このコースは日本人の美意識が洗練された
    室町時代にフォーカスしています。

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Report #4 “JAPAN~Woodland~” (2)_「“作家” と “職人”」

新宮先生の作品。
これは、フリーハンドで描いたものだそうです。 欲しい・・・!

  • 椿昇先生のコメント

    僕は先生に
    「三顧の礼(地位ある人や目上の人が、
    賢人に礼を尽くして物事を頼むことのたとえ。
    中国の三国時代、蜀の劉備が
    無位無冠の諸葛孔明 (しょかつこうめい)を軍事として迎えるために、
    礼を尽くしてその草庵を
    三度も訪ねたという故事に 基づく。)」で
    このコースにお越しいただきたいと説得しました。
    そのきっかけが先生の個展で
    四段刳物のお重を買い求めた事がきかっけです。
    ほんとに欲しいと思う。
    それが美の原点ですね。

次はいよいよ、板に刃を入れていきます。

 

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“作家”と”職人”の違い

新宮先生は、私たちに
作家職人の違いについて教えてくれました。
職人は、自分の作りたい気持ちを殺して、
依頼主のいう通りに従って作る人のこと、
作家は、0から自分で考えて売ってご飯を食べている人のこと。

  • 椿昇先生のコメント

    両方いったり来たりして創作してる事もあるよ。

勘がいい職人さんは、田舎の、自然が豊かな場所で
生まれ育った人が多いと言います。
でも、私たちの多くは生まれた時から
アスファルトがある暮らしをしてきました。
地面がアスファルトの中で育ってきた人たちは、
日々の湿度の変化に気付きにくいといいます。

  • 椿昇先生のコメント

    怖い話。
    タワーマンションの上層階で育った子供が
    集中力無くて成績が伸びないというデータがありました。
    フィンランドは宿題も出さず
    野山で遊ばせる方向に転換して、
    意欲のある優秀な子供が増えました。
    日本の政策決定どこか時代遅れ。

「勘や手先の器用さが育ちにくい環境にいる一方で
私たちにしか見えない新しい世界観が詰まっている。」
だから先生は、自由に作ったらいいと
言ってくれたのでしょう。
私たちは
私たちにしかない世界を
作り出すことができるのでしょうか?

  • 椿昇先生のコメント

    スマホに囲まれる暮らしをどうコントロールするか。
    日が落ちたらスマホは触らないとか?

2018.12.01更新

つづく