KYOTO T5
VISIT
RCA& HEAD

出張報告

KYOTO T5 研究センター長が
ロンドンとジュネーブとヘルシンキへ。
出張報告(1)

KYOTO T5 VISIT
RCA& HEAD #1
SAKAI YOSUKE

出張報告
ロンドン、ジュネーブ、ヘルシンキ
酒井 洋輔

KYOTO T5の研究センター長 酒井洋輔による
ロンドンとジュネーブとヘルシンキの出張日記。

ロンドンのRoyal College of Art ,RCAと
ジュネーヴのHaute École d’art et de design Genève ,HEAD
世界でも著名な2大学にて「京都の伝統工芸」を
独自の視点で切り取った講義とワークショップを開催。
その様子と内容、学生の様子、
それから「旅のおまけ話」をここに寄稿していただきました。

 

 

(1)_RCAとHEADでの講義

講義は音楽の「ライブ」みたいなものだと思うので
ここに言葉にして書いてみても、
ちっとも伝わらないと分かっている。
自分の講義は特にリズムや間がキーになっていると思うから
余計に難しい。
とはいえ書いてみる、要約。

 

1「僕はイヤイヤ仕事を始める」

講義のために自分の仕事を振り返ってみて気づいた。
全部とは言わないけど、
ほとんどの仕事がはじめはイヤイヤ始めている。
でも、イヤイヤ仕事することほど嫌なことはないので
イヤな仕事をイヤじゃない(=面白く)くすることが得意になった。

 

 

2「HANAO SHOESをめぐること」

HANAO SHOESを発売するのも、
自分の中の半分はイヤだった。
どうしたらイヤじゃなくなるか考えたときに
「京都でしか売らない」
「メイドインジャパン」
「京都の職人さんと繋がる」
というようなことを思いついた。

KYOTO T5 VISIT RCA& HEAD#1

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KYOTO T5 VISIT RCA& HEAD#1

HANAO SHOESは
はじめ百貨店のバイヤーに相談した時、
8000円くらいが売れると言われた。
でも、真面目にこだわるとその値段で売ると利益がない計算になった。
それに安いと、使い捨てみたいに使われると思った。
今までにないものだから
自分たちで値段=価値を決めていいと思った。
その値段分の価値をつけられるような活動をする方がいい。
そういう風に考えて、少しづつ嫌でなくなってきた。

 

3「思い描いたことが1年でだいたいできた」

KYOTO T5 VISIT RCA& HEAD#1

この図は、自分がやりたいことを可視化して、
学生含むチームのメンバーと共有するために書いた。
ー職人さんと共同で新商品開発
ーリバティロンドンで販売
ー研究所の設立 などなど
それでもまだできてないことはたくさんあるけど
背景に京都を背負ったブランディングをずっと続けている。
そういえば京都市バスに広告も出した。

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4「クレイジーシティ京都」

HANAO SHOESが大人気になった理由は
「京都」だからだと思っている。
もっと京都のことを知りたいと思った。
京都ではばをきかせている恩師に、話を聞きに行った。
印象的だった話は2つ。
1つ目は、京都の伝統工芸の1年間の売上は2億円ほどだ。
イタリアのブランドのグッチは2兆円だ。
職人の技や思想のレベルが負けていると思えない。
むしろ京都の方が断然すごい。
にも関わらず、この差はなんだ?
ブランディング、認知度、イメージの差なだけだ。
くやしい!
2つ目は、
蒔絵に使われる筆の毛が「ネズミの脇毛」であること。

その時の心踊る感覚は今も忘れがたい。
昔々の職人さんは「ネズミの脇毛」を試すまでに、
一体どれほどの動植物を試したのだろうと思った。
このクレイジーさ、かっこいい。感服。
一瞬でファンになる。

 

 

5「舞妓さんのこと」

このあたりまでで話が長くなったので、休憩したいと言った。
話の流れとは脱線するけど舞妓さんの話をした。
おこぼ」と呼ばれる、
舞妓のサンダルの中に小さな鈴が仕込まれているのは
1年目(初心者マーク)の印で、歩くと小さな音がする。
音を取り込んだファッションが随分昔にあったんだな。
他にも1年目の印として、上唇に紅がないことや、
舞妓さんは初めは赤などの目立つ色の着物であったり、
髪飾りが大きく派手だが 年を重ねるにつれ地味になっていく
というようなことも。

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6「知って好きになる」

僕は、こんなに面白い京都を知りませんでした。
10年も住んでたのに。
そして一緒に活動している学生が言ったこと。
私、日本人でよかったって思ったんです

ああ、そうか、
こんなに若くてもそういう風に思えるんだ。
としたら、自分たちのプロジェクトの目標はここだなと思った。
自分たちのプロジェクトに関わった人はもちろん、
商品を通じてコミュニケーションしたお客さんに
日本人でよかった」と思わせること。
そう思えるのは、幸せだと思います。
新しいこと、新しい自分、新しい情報、新しいテクノロジー、
どうしても新しい何かを求めてしまうけど
当たり前のこと(自分は日本人)に目を向けて気づくことがある。

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7「京都の職人の紹介」

これが自分たちが、お世話になっている職人さんたち。
自分たちが、誇りに思える職人さんたち。
その映像や写真やインタビューで聞いた思想を紹介。
そして、KYOTO T5の活動の紹介。

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8「ロンドンや自分の国はどう?」

京都には観光客がたくさん来ます。
でも観光客のほとんどは京都の「表層」にしか触れてないんじゃないの?
と思いました。
ビックベン!テムズ川クルーズ!ハリーポッター!バッキンガム宮殿!
そういう感じ。

お土産何買うかというと、
京都で作ってないケーキや、お菓子、
KYOTOって描いたTシャツメイドインチャイナ!
流行ってるのはレンタル着物、経営してるのは中国人!
そのような様子をある職人さんは
京都とさえ書いておけば売れる」とおっしゃいました。
そう、つまり ほんとは全然、どこにも「京都」ないじゃんってことです。

ロンドンも、ジュネーブも同じような状況ではないでしょうか?

KYOTO T5 VISIT RCA& HEAD#1

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ショアディッジもブロードウェーマーケットもソーホーも
めちゃくちゃオシャレだし
RCAだけでなく世界のデザインの大きな方向性としての、
テクノロジーを活用した
最新のイノベーションもめっちゃすごい。
でも最新はすぐに最新に塗り替えられます。
ちょっと疲れる。
若いと、ビンビン感じるし、かっこいいって思うけど、
新しいテクノロジーっていう山の旗をわーっと
掴みに行ってる感じがしないでもない。
そういうの僕の性格に合わなくて、
どっちかっていうと昔から、みんなが立ち去ったあとの山をのぞく、
みたいなやり方してました。
そもそもみんなが右に行ったら、
左に行きたい性格です。

ロンドンやジュネーブでしか作れないものや
歴史も伝統も古いものもたくさん残っている、
この街のみんながまだちゃんと見てない物事に
君たちがデザインの力で光をあてることで、 ちょっと扉開けられそう、
その始まりをデザインしよう。
<おしまい>

と、これは前述した通り「要約」です。
実際は2時間半ほどかかっています。
学生が、僕の話を止めて、
すぐに質問してくるから何度も話が止まりました。
それは日本での講義とは全然違う感じだったので新鮮で楽しかった。
彼らは一人一人独立していて、
いい意味で個人主義というか自己中心的。
だから話の流れとかは考えないんだろうなと思った。(わかんないけど)

2018.12.01更新

つづく

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SAKAI YOSUKE

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酒井 洋輔