京都文化
トリハダ通信
2

JAPANを学ぶ

京都文化トリハダ通信2

まずは木地づくりから
学生による 漆芸授業レポート(5)

Kyoto Art class
Report #2
“Shitsugei”
by Suzuki Hinae

学生による 漆芸授業レポート
基礎美術コース 2年
鈴木 日奈惠

(5)_「ホンモノを理解するには?」

お盆の内側ができたら、
外側もお盆の形に木を切り取ります。

一枚の板だったものが、いよいよお盆らしくなります。

Kyoto Art class
Report #4 “JAPAN~Woodland~” (5)_「ホンモノを理解するには?」

ここからは微調整に入ります。
大きく削りすぎないように、
細かいところにノミをあ
てていきます。
優しく、優しく。
慎重に。

 

_______________________________________________________________________________________

魂を入れる

微調整までできたら
ここでお盆完成!ではなく
最後の仕上げとして、面取りをします。

上縁(うわぶち)と内縁(うちぶち)
底のラインをキレイに出すために、
斜めに角を落とす作業です。
こうすると、
作ったものがキュッと締まり
良い作品になります。

ただ、面取りは、
お盆の形が決まる大事な作業です。
だるまの目を
最後にうつ時のように
自分の魂を入れるつもりで、削っていきます。

  • 椿昇先生のコメント

    茶碗のときの高台削りに似ているね。

使う道具は鉋(カンナ)と紙ヤスリ。
上縁は角度小さめ、底は少し大きめで
内縁は上縁より小さめで
削っていきます。

Kyoto Art class
Report #4 “JAPAN~Woodland~” (5)_「ホンモノを理解するには?」

カンナは、1mm でも削れる暑さが変わる、
とても繊細な道具です。

Kyoto Art class
Report #4 “JAPAN~Woodland~” (5)_「ホンモノを理解するには?」

この時、木の繊維に沿って鉋を動かします。
なぜかというと、木が傷ついてしまうから。

  • 椿昇先生のコメント

    繊細な自然に向き合うことがとても大切。
    頭で考えるだけでは環境の保護はできませんよね。

ついに、お盆の完成です!
最後までできなかった子は、来年までに仕上げます

私たちの新しい世界観を
お盆に詰め込み
同じものは一つとしてない、
自分のお盆の基盤が出来上がりました。

Kyoto Art class
Report #4 “JAPAN~Woodland~” (5)_「ホンモノを理解するには?」

  • 椿昇先生のコメント

    正直に言ってみんなの作品見て
    「とても良い」と思った!
    これはビギナーのときだけにやってくる。
    この無心を乗り越えるのに10 年かかったりする。
    それが物作りの不思議なところです。

 

_______________________________________________________________________________________

木も人間も呼吸している

完成した木地は、来年まで大切に保管します。
木は、人間と同じように呼吸しています。
水分もたっぷり吸います。
なので、木のまま放置すると、
お盆が反ってしまったり、形も変わります。
季節の境目は、特によく動くそうです。
その為、タオルや新聞紙、ビニール袋に入れて
空気に触れないように保管します。

  • 椿昇先生のコメント

    湿度30%の日と95%の日が交互にやって来る日本。
    正倉院ってほんとにすごい。
    湿気を含んで
    木が伸び縮みする性質を利用した湿度管理。
    先人の知恵恐るべし。

そう、この漆の授業は2年間にわたって行う、長期戦の授業。
漆を塗るのは、来年までのお楽しみ。

 

_______________________________________________________________________________________

「文化は情報ではなく、身体で納得するもの」

Kyoto Art class
Report #4 “JAPAN~Woodland~” (5)_「ホンモノを理解するには?」

私たちが学んでいる京都という場所には、
職人さんがたくさんいらっしゃいます。

職人ときくと、
「すごい」「こわい」「近寄りがたい」などの
イメージがあります。

でも、先生とお話ししていると、
職人さんは別にこわくも、近寄りがたくもありませんでした。
先生は職人さんではなく、作家さんですが

  • 椿昇先生のコメント

    作家と職人の境界をあまり考えず、
    素晴らしい作品を生むために
    全力を尽くす人になって欲しいな。

「世間一般が抱いているイメージって、案外胡散臭いものだ」
と先生は言いました。
だから、私たちはしっかりと
見極めなければいけません。

  • 椿昇先生のコメント

    そうなんだよね、
    基礎美術も「日本文化の基礎とは何か」を
    稽古で会得するために創設したけど
    「デッサン習うんだ」と
    勘違いされて困ってます(笑)

Kyoto Art class
Report #4 “JAPAN~Woodland~” (5)_「ホンモノを理解するには?」

京都にいると、
「本当の日本」とか、
「本物」という言葉に振り回されて
本質を見失ってしまいそうになることがあります。

その見極める力をつけるために、
基礎美術コースの授業はあると、
椿先生はおっしゃいます。

だから、
基礎美術の先生はホンモノの方々しかいません。

ホンモノを理解するには
ホンモノに触れることが
何よりの近道です。

  • 椿昇先生のコメント

    本物に「近道なし」だよ〜。
    すぐに出来たり簡単だったりする事なんて何もない。
    根気強くねばり強く
    しぶとく続ける。
    続ける事に理由を求めない。
    理由を求める近代人
    (そんなのいないとブリュノ・ラトゥールは言っているが)に
    なってはいけないよ〜〜。

日本の伝統を生業にしていらっしゃる先生方から
ホンモノを学ぶことのできる私たち。
これからも、そのホンモノを
先生方から学んで吸収していけるよう、
日々、精進の気持ちを忘れないようにしなくてはなりません。

  • 椿昇先生のコメント

    「案ずるより産むが易し」と
    昔の人は言ったというけど、
    きっと昔からそんな事言ってくれる
    大人なんてそんなにいなくて
    「石橋をたたいて渡りなさい」とか言われてたんだよね。
    でも最近ネットの情報とか調べすぎて
    簡単に理解した気になってしまう。
    まあ難しいけど未来はわからないから面白くて、
    根拠を求めることを
    社会が若者に強いてはいけないと思う。
    日本が縮んでる最大の理由がその
    「生真面目さの強制」(コンプライアンス病)だね。
    35 歳くらいまでは
    盲滅法好きな方向に突き進んで問題なし!
    なんか予感がしたら
    根拠なく突っ走って欲しいんだけど、
    その気になれなくしている空気が
    社会に蔓延してる・・。
    でも負けるな基礎美生。

2018.12.15更新

おわり