京都のスープ
4

スマート珈琲店

昔も今も
“喫茶店”であり続ける
「スマート珈琲店」へ。

Soup of Kyoto
interview 4
Smart Coffee
by SUZUKI HINAE

京都のスープ 4
スマート珈琲
基礎美術コース2年
鈴木 日奈恵

「何も変わらず、何も変えず。
毎日味を変えないっていうのが、うちの仕事です。」
目まぐるしく変わる時代を受け止め、お店を磨いて来られた
スマート珈琲店3代目の元木章さんに、お話を聞いて来ました。

 

スマート珈琲店

京都のスープ スマート珈琲店

受け継がれる『スマート』

京都の寺町通り御池から三条の間、
寺町専門店会商店街の中にあるスマート珈琲店は、
1932年(昭和7年)に「スマートランチルーム」として開業しました。
戦後、物資不足などから材料が手に入りにくくなり、
1947年(昭和22年)に
「スマート珈琲店」に社名変更されました。
現在は3代目である元木章さんとご家族、
スタッフの方々でお店を経営されています。

お店の名前にある「スマート」には、
「気の利いたサービス」という意味が込められています。
これは、気の利いたサービスが“できる”お店ではなく、
目指している”お店だと章さんはおっしゃっていました。
そんな章さんの誠実さ、思いやり、暖かさは、
スタッフの方々、そしてお店の空間にも広がっていました。

京都のスープ スマート珈琲店

章さんのお祖父様(初代)の時から、
コーヒーやホットケーキなどの作り方は一子相伝で、
代々受け継いでいらっしゃるそうです。

ですが、コーヒーの焙煎の仕方などは、
先代であるお父さまからは一切教えてもらえなかったといいます。
理由は、「コーヒーとは常に変化する生き物やから
と章さんは教えて下さいました。

先代であるお父さまは、職人気質の方でした。
章さんは、そんなお父さまの背中を見て育ってこられたそうです。

京都のスープ スマート珈琲店

▲創業から、ドイツのプロバット社製のコーヒー焙煎機を使っておられるそうです。

 

何も変わらず、何も変えず

レトロブーム、喫茶店ブーム、パンケーキ(ホットケーキ)ブームなど、
これまでたくさんの流行が、入れ替わり立ち替わりにやってきました。
様々な流行が来る中で、スマート珈琲店は
何も変わらず、何も変えず」を信念にされています。

「京都っちゅうのは、“よそはよそ、
うちはうち”でやってるお店が多いんです。
流行を追っかけてしまったら、個性が損なわれるでしょ。
毎日味を変えないっていうのが、うちの仕事です。」

お店の看板商品であるホットケーキも、
創業当初から変わらず、とてもシンプルです。
優しい甘さで、食べるとどこか懐かしい気持ちにさせてくれます。

京都のスープ スマート珈琲店

京都のスープ スマート珈琲店

うちが発信していることは特に何もないんです。
時代は変化するもので、
でも、章さんは時代の流行に合わせるのではなく、
受け止めることで、今のスマート珈琲店を守っておられます。
昔からの喫茶店のイメージである
「おっちゃんがコーヒー片手に新聞を読む場所」も、
スマート珈琲店です。

受け止めるものは受け止めて、
変えないところは変えないという姿勢が、
たくさんのお客さんから愛されている理由のひとつとなっています。

京都のスープ スマート珈琲店

磨けば輝くもの

最初はお店を継ごうとは考えていなかったそうで、
車がお好きだったという章さんの夢は、
車のディーラーになることでした。
ですが、章さんはお店のお手伝いしていくうちに
スマート珈琲店にある、
宝石の原石をたくさん見つけられたそうです。

京都のスープ スマート珈琲店

▲歴代のマッチ箱は、額に入れられ、大切に保管されています。

京都のスープ スマート珈琲店

店を深く知れば知るほど、磨けば光るものが、いっぱいあったんです。
ホットケーキの焼き方にしても、コーヒーの淹れ方にしても、
ちょっとした工夫で良くなることがたくさんあったんですよ。

新しいものではないけれど、古いものは磨いていく。
宝石は、原石を磨くことで美しく輝きます。
そんな宝石のように、章さんはスマート珈琲店を磨いてこられました。

2018年で創業86年を迎えられたスマート珈琲店。
「次の世代にも綺麗なバトンを渡すために、これからも磨いていきたい」と、
章さんは嬉しそうにお話ししてくださいました。

京都のスープ スマート珈琲店

2019.01.01更新