京都文化
サブイボ通信
2

能楽ってなんだろう?

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“能楽”とは?
学生によるお能の授業レポート(1)

Kyoto Art class
Report2
“Noh”
Text by Sakiyama Saki


京都文化 サブイボ通信2
能楽
基礎美術コース 1年
崎山 紗己

(1)_ 能楽ってなんだろう?

基礎美術コースは、前回のたて花のお稽古に続いて、
これから5週間「能楽」の授業がはじまります。

講師の先生は、山本 章弘 (やまもと あきひろ)先生
山本先生は、大阪にある山本能楽堂で観世流能楽師をなさっている方です。
ひょっとしたら、お能を観たことがない人でも、
どこかで山本先生のお顔を見たことがある方がいるのでは…?
実は、少し前の、
日本文化社会「小学社会6年生 上巻」の表紙に
山本先生が写っていました!
山本先生は、能楽を国内外色々な所で、
多くの人が楽しむことができるよう様々な活動をなさっています。

能楽ってなんだろう?  山本 章弘 (やまもと あきひろ)先生

さて、お能の授業がはじまるのですが、
お能、歌舞伎、狂言…など、
これまでの人生で何度も名前を聞いたことや、
社会科の授業で写真をみることがある古典芸能たち。
それとなく興味はあったものの、
なんだか 観ていると眠くなってくるようなイメージがあったり、
化粧やお面がとっても怖い! 夢に出てきそう!…
なんて印象がありますよね。

実際のところ、山本先生は
「眠くなったら 寝て欲しい」と言っておられました…(笑)
山本先生本人までもがそう仰る理由や、
実はこんなところが面白かった!
そもそもお能ってなんなの?というような疑問の答えや、
5週間でのいろんな発見を今回はご紹介していこうと思います。

能楽ってなんだろう? イラスト

能楽は、能と、狂言が組み合わさってできています。
お能は、「~でそうろう」など、
普通なら文で言うことを口で言います。
それに対して狂言はもっと会話的なカジュアルな口調です。
能が真面目だとすると、狂言はいちびり。

余談ですが、この「いちびり」という言葉ですが、
目立ちたがる人のことを「いちびり」というそうで、
証券取引などの市場で活気よく
「市をふる」というところから「いちびる」という言葉ができ、
その名詞だそうです。
お能は、19世紀にできたミュージカルに似ているようですが、
ミュージカルのようなものではなく、
歴史的にはミュージカルがお能みたいなものなのです。

 

形に残らない文化遺産

ここで少し、お能の歴史を振り返ります。
お能は室町期に誕生し、
この頃は「猿楽」と呼ばれていて、
神社やお寺につとめて演じるものでした。

基礎美術コースは室町時代の文化を多く学び、
能楽もその中の一つの分野なのです。
先ほど述べた、
+狂言=「能楽」と呼ばれるようになったのは、
もっと先の明治維新後のことです。

猿楽と呼ばれた後、現在の奈良県、
昔の大和国には猿楽が4グループ(4座)ありました。
この頃出てきたのが、よく名前を聞いたことがある、
「観阿弥」「世阿弥」 と呼ばれる人気のある人たちです。
のちに、観阿弥、世阿弥の能は山本先生が受け継いでいる
「観世流」として現代に残っています。

応仁の乱で、世の状況が変わると共に、
能も大きな打撃を受けましたが、
将軍家や武士階級に保護されるようになりました。
中でも、かの有名な豊臣秀吉は能の愛好家だったそうです。
そうなってくると、
偉い人たちの前であやふやにできなくもなり、
豊臣秀吉に合わせ、剣術のかまえが、能のかまえとなりました。

その後、徳川家康も能を保護し、
江戸時代には「式楽」と呼ばれるようになり、
何かの儀式があるときに行われる、幕府お抱えの楽団になりました。
近代になると、
明治維新でこれまで保護してくれていた存在を失い、
危機が訪れます。
しかし、商人の庇護もあり、
現在では、ユネスコ、世界無形文化遺産として残っています。

なぜ無形なのか。
それは、形としては無いから。
美術館のガラスケースの中に能面が置かれていても、動きません。
骨董的な価値しか無いのです。
能楽を観た、その場に居た人しか感じられない遺産なのです。
形に残るものだけが価値あるものでは無いのだと思いました。

 

つづく

2019.03.01更新