京都文化
サブイボ通信
2

舞と謡を身体で学ぶ

“能楽”とは?
学生によるお能の授業レポート(3)

Kyoto Art class
Report2
“Noh”
Text by Sakiyama Saki


京都文化 サブイボ通信2
能楽
基礎美術コース 1年
崎山 紗己

(3)_ 舞と謡を身体で学ぶ

基礎美術コース、能の授業。
5週間目の最後の時間は「舞」「謡」の発表をすると
前回の記事でお話しましたが、演目として、

・鶴亀(舞と謡)
・橋弁慶(謡)

の二つを披露します。
シテやワキに分かれる配役はくじ引きなので、
全ての役を一通りしっかりと
演じることができるようにならなければなりません。
基礎美術コースは、水・木・金曜日の
午後、3、4時間目にかけて専門の授業が組み込まれているので、
3時間目を舞の稽古、4 時間目を謡の稽古、と分けて、
毎日どちらの稽古にもしっかりと取り組むことができます。

能楽ってなんだろう?  山本 章弘 (やまもと あきひろ)先生

まずは舞の稽古。
一度山本先生が、どのようなものなのか見せてくださいました。
普段は穏やかで面白い山本先生。
演じ始めると、場の空気がビシっと。
姿勢も、呼吸も、変わります。
かっこいい…
基礎美術の基礎には身体についての意味合いも
多く含まれているのだと思いますが、
私たちも5週間が終わる頃には、
周りの人たちとは何かが少し違う。
そんな姿勢や呼吸が身についているのかな?と思うと、
先生のお手本を見ている間も、背筋がピリピリと伸びて、
良い緊張感が湧いてきます。

 

動と静

扇子の持ち方、扱い方、正座の仕方、手の置き方、
一見簡単そうに見えるかもしれませんが、
全てが指先までしっかりと
神経を通わせなければできない動きであり、
舞いだけではなく動かない時の姿勢も難しく、
動と静この日本に昔からある
二つの真逆の表現の融合が能にはあるのではないか、
と思いました。

立ち姿もただ構えて立てば良いのではなく、
腰をおとし、でも背中は曲がることなく立たねばなりません。
謡を唄う時も正座のまま、
しっかりと腰をおろします。
そうすることでお腹から声が出やすくもなるのだそうです。
この腰の部分、
昔はお尻を大きく見せることで強さを表していたこともあり、
衣装にも、姿勢にも
実は注目すべき独特なポイントがあるのです。

最初の3日間ぐらいは姿勢になかなか慣れず、
お稽古の後は筋肉痛に襲われました。
現代の若者の運動不足も目に見えてくる…
そこで、重心をしっかりと整え、
腰をおとしながら歩く為に、
頭に広げた扇子を乗せて、ゲーム形式で競争と練習をしました!
優勝者はなんと、後日、能の衣装を着せてもらえる特典あり!!
これにはみんな一層と力を入れて授業以外でも練習をしていました。
さて、基礎美術コース16人のうち、
いったい誰が優勝したのか。
これは後日の記事で発表したいと思います。

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このように、山本先生の舞の稽古は、
冷静で落ち着いた空気感に、
遊び心のある面白さを含めて、
とても楽しく実践させてもらうことができました!

 

声を出すことの楽しさ

続いて謡ですが、やっていると似たような言葉や、
聞いたことのある言葉が多く登場します。
しかし、言い回しや読み方、上がり下がりが難しかったのです。
それでも、少しずつ山本先生のお手本の後に続いて
反復していく方法でなんども繰り返し稽古をさせていただいたおかげで、
すぐにみんな唄えるようにもなりました。

最初は自信のない子、恥ずかしい子、
そんな人もいたかもしれません。
それでも、みんなで一緒に毎日取り組むことで、
自然と大きな声で唄えるようになり、
違った自分を晒け出せるような、
そんなすっきりとした気分になることができました。
みんな毎回の稽古の後には、
なんか健康になった気がする!
そんな話もしているぐらい、声をだす事に、
達成感や個人個人のちょっとした成長を感じました。

私は歌うことが好きでしたが、
高校生の頃まで親の勧めてで習っていた民謡には楽しさが見出せず、
お稽古が億劫になることが度々ありました。
最初、基礎美術コースでお能をやるときいて、
民謡を思い出すようで、少し戸惑いもありましたが、
声を出すことの楽しさを思い出しただけではなく、
能そのものの魅力に惹かれていくことで、
あの時こんな風に声が出せたら…
よくわからないあの言い回しにはこんな意味があったのか…
そんなことを考え始め、伝統芸能はどこかで繋がっている。
そう思うと、もう一度向き合いたいと思うきっかけにもなりまし た。

 

つづく

2019.03.01更新