職人
interview
12

表具の職人
岡崎 昭さんにお話を
伺いました。
(2)

Traditional Craftsman
interview 12
OKAZAKISEIKOUDO
HYOUGU CRAFTSMAN
Akira Okazaki
岡崎清光堂
岡崎 昭

空間デザインコース 2年
溝辺 千花

創業84年『清光堂』岡崎 昭さんのお話。
様々な和紙、道具を使い分け 布や紙を張ることで、
絵を掛軸や屏風に仕立てる表具師。

古くから残る表具の修復も手がけます。

紙を張るスペシャリストで、
貼り合わせた紙と紙のつなぎ目が全くわかりません。
生活様式の変化で変わる、
芸術品と建築物の関係や
一流のものについてお話ししていただきました。

 

 

(2)_職人によって尺の単位が違う

『清光堂』岡崎 昭さん

物差したくさんありますね。

これは1尺差しというものす。
職人によって尺の単位
違うんす。
私たちの単位は大工と同
基準。

 

大工と同基準なんすか?

それは家とのバランス、繋がりです。
表具は、家の床の間に飾るもの。
家は大工さんが作るでしょ。
それで表具屋の全ての基準になるのは畳の大きさなんです。
畳は
京間東京間があります。
京表具は本来、京の間に合うものやったんです。
その証拠に
2枚折り、3枚折り、4 枚折りの屏風は
全て京の間に収まります。

 

掛け軸や屏風の需要多かった頃に、
床の間や畳とのつな
強かったんすね。

そういうことす。
昔は一軒一軒に、
4尺あまりの床の間あったんす。
今は床の間
あっても
3尺あまり奥行きほとんない。
ほんまは床の間
広けれ広いほいいんす。
せやけ
時代に合わせて
家の面積
狭くなってきてますからね。
畳の部屋
なくなってきてるしょ。
しゃあない
すけね。

床の間減ると掛け軸減る。
段々この京表具は
メになりますね。
最近「壁にかけれる掛け軸を作ってほしい」と言われるん
す。
せやけ
掛け軸は壁にかけるもんやないから、
考えられない。
私ら
は感覚ないから難しいんす。

やから若いもんに
「そういうの考えて」と言うてるん
す。
変えていかないと
すね。

買った絵なんかも、
掛け軸にせ
に額に入れるしょ。
やから需要
減っていくのはしゃあないす。
今は美術館、博物館、お寺、神社とかの
掛け軸や屏風の修復作業の仕事
っかりす。

 

刷毛にもたくさんの種類あるんすね。

刷毛は動物の毛からきてるんす。
糊刷毛は馬やム
ナ、羊水刷毛に鹿
毛の硬さや、形
筒のように空洞になっている等の特性
とに使い分けているんす。
表具専門の刷毛屋
あって、
毛の多さな
は刷毛屋さんにオーーすることもあります。

 

時代とに刷毛の動物の毛の変化はあるんすか。

あります。
筆の中心に命毛というのがあるんですが
ネズミの毛がいいんです。
筆の持ちが変わります。
昔は船にいたネズミの毛を使ってたんですけど、
今は船にネズミいないでしょ。
だからだんだん命毛がなくなっている。
刷毛に使う毛の動物の種類も減っています。
それで京都府庁が、「今どういう動物がいるのか」や、
なくなった道具等を調べているんです。

 

自分の技に誇りを持っていた。
そういう時代がもう一回こんかなぁ。

『清光堂』岡崎 昭さん

表具くり大事にされていることは。

やっぱり絵や作品の現状を維持することですね。
それが第一に大事。
そして絵を上手く引き立てること。
表具屋にとって一番大事なのは、
表具に使う裂を買う段階です。
「この裂はこの時代のあの作家に合うな」というのが
頭にないといけない。
感性がとても大事。

でも、買った裂がいつ使えるか分からない。
10年先か、20年先か分からない。
そんなこと関係なしに、
「この表具に、この裂いいなぁ」というのを
買っとかないといけない。
いつでも使える裂はダメなんです。

 

感性はのように磨かれていますか?

一番いいのは一流のものを見ることです。
綺麗なものを見ること。
今の若い子は、そういうのを見ようともしないでしょ。
とても残念に思いますね。
一流のものは東京、京都が多いね。

東京のいいところはファッション。
インターネットではなく現物をみなあかん。
昔から東京、京都に一流のものが多いから
伝統工芸も発展していったんだと思います。

今は一流のものを見る目がないわね。
もっと求めなあかんわね。
ええもん見て、
それを分かるのは最低
20年以上かかります。
見たものがいつ、ものになるかは分からないけど、
いつかは必ずものになっているはず。
そう思って一心に見てるんだけど、
私もまだまだあかん。

あと、感動を覚えなあかん。
「ええなぁ」
と言う気持ちを忘れないこと。
表具屋にとって知識と技術というのはね、
数こなして年数経てば覚えられるもんなんです。
けど感性だけはそんな簡単なものやない。

時代によって、世代によって感性は全く違う。
大正から昭和の掛かりが最高やったんです。
その頃はパトロンがいて、
なんぼでも惜しまずお金を出してた。
でも今は、なんでも見積が大事でしょ。
そんなんでは絶対ええもんはできないんです。

そして大正から昭和の頃は、
職人も育って、いいものがようけできたんです。
技術が高すぎて、
戦前のものを真似することはどうしてもできないんです。
作るものに対して限度がなかったから、
「これでもか、これでもか」っていうものを作って
自分の技に誇りを持っていた。
そういう時代がもう一回こんかなぁって思う。

 

おわり

2019.04.15更新