
樂茶碗づくり〈赤樂編〉
学生による授業レポート
(6)_窯を作る その1
釉薬にも色々な種類が存在しますが、
今回は透明釉という透明な仕上がりのものを塗りました。
本当に透明になるのか、焦げてしまうのか、
ここまで頑張ったのに割れてしまうなんてことはないのだろうか。
自分の手から離れていくことには色々な考えが脳内を巡っていきます。
素焼きとは違って、最後は窯も自分たちで作ります。
100個のレンガで囲い、炭を入れ、
1日かけて火を炊いていく最後の大仕事です。
2年生になると黒樂茶碗を作ることができるのですが、黒樂は1200~1250°C。
今回の赤樂茶碗はそれよりも少し低い 800~900°Cで焼いていきます。
低温とはいっても、ものすごく熱い。
熱いというより、痛い。
顔が低温火傷をしてしまうので、
ゴーグルをかけたり、タオルを巻いたり
試行錯誤しながら焼いていきますが、
メガネの子は磨りガラスのように溶けてしまって、
後日修理に行ったそうです。 恐ろしい…
1人5個茶碗を作ったのですが、
焼かない茶碗は火の近くで温めます。
こうすることで急激な熱で割れてしまう のを防ぐのです。
焼きたての茶碗は、燃えるような赤。
その姿がすごく綺麗で。
私たちのすぐ足元にあった土が
こんなにも綺麗な色に輝いていることに、
見惚れてし まいます。
素手ではつかむことができないので、
鉄のハサミで窯から取り出していたのですが、
あつさで接続部分が溶けてしまい、壊れるハプニングも!
焼きたての燃えるような赤さが消え、
触れるほどに冷めてきたらヤスリがけをして、水で軽くすすぎ、完成です。
自分の手から離れた茶碗の真姿がついに現れるのです。
釉薬をつけすぎてしまったところは
ガラス質で白く濁っていたり、赤土が綺麗に見えていたり、
炭がついて黒くなっていたり。
経験を積むことで焼き上がりの色も
調整することができるようになるのだと思いますが、
今回はこの偶然が産んだ色合い。
その美しさに惹かれてしまいます。
つづく
2019.05.15更新