「ABLE DESIGN AWARD」

ABLE DESIGN AWARD

ミラノサローネ
ABLE DESIGN AWARD(3)

Milano Salone
ABLE DESIGN AWARD

Kaori Kume

ミラノサローネ
ABLE DESIGN AWARD
ビジュアルコミュニケーションデザインコース2年
久米香織

私たちKYOTO T5は、
京都という街に根付く伝統文化、
そして職人さんのことについて学び、
「京都はこんなに奥が深いんだぞ!」ということを
伝えるために活動しています。

そんな私たちKYOTO T5は、
12 月上旬から2月上旬までに行われた、
株式会社エイブルが主催する空間のデザインコンペ、
ABLE DESIGN AWARD」に応募しました。

 

(3)_外から見る提灯と中から見る提灯

ミラノサローネへの出場権を得た私たちは、京都に帰って来てからも
メンバーで話し合ったり、小嶋商店さんのところに打ち合わせに行ったりして、
空間をより良いものにできるために話し合いました。
東京でのプレゼンにて、審査員の方にいただいた
・木の枠はなくしたほうがいい
・大きな提灯の周りに小さな提灯を吊り下げてみては?
というアドバイスのもと、私たちが最終的に決定させた空間はこんな空間になりました。

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直径2.1mの提灯を囲む、大小様々な提灯。

木枠は外し、より提灯に注目してもらうようにしました。
そして、直径60cm、45cm、30cmの大きさの提灯を周りに吊り、
「外から見る提灯」と「中からみる提灯」の対比、普段の提灯の姿を見てもらえるようにしました。

さらに、この提灯の空間を提案した私たち4人の他に、
KYOTO T5として新たに3人のメンバーもサポートメンバーとして、
さらに設営をお手伝いしてくださる方がミラノに同行してくださることになり、
だんだんと準備が整ってきました。

そして、来たる3月13日。
小嶋商店さんに、提灯を作っていただく日がやってきました。
朝が早いにも関わらず、私たちが伺うと
「おはよう!よろしくね!」と声をかけてくださいました。

小嶋商店さんがまず取り掛かったのは、竹を割っていく作業。
はじめに割った竹は、あの石清水八幡宮さんの竹です。

何本か取らせていただいた竹から、
太くて丈夫なものを提灯の骨として使わせていただきました。

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竹にペンで印をつけて、刃物で割っていきます。
竹が割れた時になる「カン、カン」という勢いのいい音が、印象的で心地よかったです。

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小嶋商店さんのご兄弟のお兄さん、俊さんは竹割りを担当していらっしゃいます。
石清水八幡宮さんの竹を割って、まずおっしゃったのが
「この竹、めっちゃ丈夫でいい竹やで!」。
なんでも、こんなに丈夫な竹は珍しいそうで、俊さんもすごくびっくり、嬉しそうにいていらっしゃったのが印象的でした。

竹を割っていらっしゃる最中も、たくさんのお話をしてくださいました。

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「僕らは、とにかく『楽しい!』っていうのばっかりを仕事にしてて。
空気感のいい仕事というかね。
なんか『楽しそうやなぁ』とか『おもろそうやなぁ』みたいなものをやってます。
みんなのもそうやしね!(笑)『それおもろそうやん!』って。
結局それでご飯たべれるようになってきてますしね。」

とおっしゃっていたのがすごく印象に残りました。
そしてその「楽しそうな仕事」の中に私たちの空間のことが入っていたのがすごく嬉しかったのを覚えています。

全ての竹を割り終わると、次は型組みの作業。
型には一枚一枚、縁に均等に釘が打たれていて、
その釘を目印に骨を組んでいきます。

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全部で10枚あり、1から10まで番号が振られている型を、

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このように対角線上に並べていきます。
そして、次に石清水八幡宮さんの竹を割って作った骨を型にはめていきます。

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次に、型にはめた骨を、糸でまつっていきます。
糸をまつる工程を行うことで、より丈夫な提灯が生まれます。

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小嶋商店さんがおっしゃっていたのは、
「この時、まっすぐ、均等に糸がまつられている状態でないとダメ」
という事。
職人の技の丁寧さを改めて実感した瞬間でした。

次に、和紙を貼っていきます。
大提灯に使われた和紙は、和紙の職人さんが手漉きで作った、すごく丈夫な和紙です。

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まず、骨に小麦粉でできた糊を叩くようにしてつけていきます。
この時、ついた糊が骨の裏にまわってしまわないようにされているそうです。
次に、あらかじめ湿らせておいた和紙をまつられた糸に合わせて貼っていきます。

少し大きめに和紙を貼り、余った部分はカミソリでカットしていきます。
和紙を貼り、湿っている状態が乾くと、叩いてもビクともせず破れない、とても丈夫な状態になります。
しかも、貼り合わせたつなぎ目もわからなくなるそうで、
ミラノに持っていった際にはぜひ触ったり見たりして、びっくりしてもらいたいなと感じました。

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石清水八幡宮さんの竹を使った骨に紙を貼り終えたところで、1日目は終了です。

 

完成に向けて

2日目は、残された部分の骨組み、糸釣り、紙貼りを行なっていきます。
そして2日目は、たくさんの工程を、少しですが手伝わせていただくことが出来た日でもありました。

まず、昨日割っていただいた竹についている土を拭いていきます。

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この工程を手伝わせていただいた時、
力一杯拭いてもまだ汚れが取れず苦戦していたのですが、
小嶋商店さんが拭くと一発で綺麗に汚れが取れていたのがすごくて、
汚れをとる時の力の加減にまで職人さんのすごさが秘められているんだと実感しました。

次に、拭いた竹で骨組みをしていきます。
この工程も体験させていただきました。
うねっている竹はちゃんと戻さなければいけないのですが、竹の弾力が強くて、戻していく容量をつかむまでが大変でした。

組み終わった竹は、昨日と同じように、
糸でまつっていきます。

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そして次に、和紙を貼る作業です。

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1つ間を開けて和紙を貼っていきます。

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この糊を貼る工程と紙を貼る工程も、少し体験させていただくことが出来ました。

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ハケを使って糊をつけるとき、私は「ベタ、ベタ」と、
優しくゆっくり糊をつけていたのですが、
そうすると一箇所に糊が多くつき過ぎたり、
前述した通り後ろに糊がまわったりしてしまいました。

しかし、小嶋商店さんは叩くように「パン、パン」という音をたてながらスピーディーに、でも綺麗に貼っていっていらっしゃり、
職人技を目の前でみることができ、違いを肌で感じました。

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体験させていただいた紙はりの様子です。
写真で見てお分かりかもしれませんが、なんと!
「これで完成!」という最後の一枚を貼らせていただくことができました。

人差し指の指先よりも少し下のお腹の部分を使って貼るイメージとのことでやってみたのですが…。
やっぱり難しかったです。
小嶋商店さんが貼った部分と、私たちが貼った部分では、見た目が全然違うことに気がつきました。

こうして最後の一枚を貼り終え、提灯は

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完成!しました。
提灯の上につける「重化」というパーツと、提灯を型から抜き、折りたためるように折り目をつける作業は、
3日目に続きます。

そして3日目。
完成した提灯を型から抜いていきます。
提灯の中を見てもらうことがメインの展示となるので、
完成して中身を見る瞬間が本当に楽しみで仕方ありませんでした。

そして、提灯の中を見たとき、
純粋に「めちゃくちゃ綺麗!」と感動しました。
一緒に小嶋商店さんを訪れていたメンバーも、思わず「うわぁ…」と感嘆の声が出ていたり、
小嶋商店さんも「綺麗やなぁ!」と言っていたりと、
提灯の中を見た時、確かに「Laugh」が生まれていました。

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↑提灯の中を見る様子。

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↑提灯の中。
中を覗くと、ほんのりと竹の香りがしたのを覚えています。
こうして作られた提灯は、

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折り目をつけて折りたたまれ、

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ミラノに運ばれていきました。

職人の作業中、制作中といえば、寡黙に黙々と、周りの空気を遮断して制作していくイメージがあったのですが、
小嶋商店さんが提灯を作っていらっしゃるとき、本当に楽しそうにお話ししながら、制作していらっしゃったのがすごく印象的でした。
おっしゃっていた通り、
「楽しんでやれることをやる」ことが
提灯や作業場の空気を通して伝わってきて、
見ている私たちもすごく楽しみながら3日間を終えることができました。
メンバーの間でも、「小嶋商店さんのために、ミラノでも頑張ろう!」という話をしていました。

私たちメンバーも2週間後には、ミラノへと出発するので、
それまでの準備も行なっていきました。
設営に必要な道具の手配や現地で説明するときに必要になりそうな英語を調べるなどをしていると、
あっという間に2週間は過ぎていきました。

つづく

 

2019.06.01更新