「Halleとの共同研究」

Halleとの糸の共同研究レポート

ドイツの芸術大学
Halleとの共同研究(3)

Burg Giebichenstein University
of Art and Design Halle

Haruka Takenouchi

ドイツの芸術大学
Halleとの共同研究
空間デザインコース 3年
竹之内 春花

糸の共同研究レポート(3)

2019年5月ドイツにある芸術大学Burg Giebichenstein University of Art and Design Halle(ハレ)の学生が京都にやって来ました。

京都造形芸術大学の空間演出デザイン学科2回生・3回生の授業にて、共同で「糸」について研究するためです。

ハレからは13人の学生とHans Stofer(ハンス)先生、Melanie Isverding(メラニン)先生、Iris Dankemeyer(イリス)先生という3人の先生。そして通訳さんに加えてロンドンの芸術大学 Royal College of Art(RCA)からスペシャルゲスト、

センター長の酒井先生の友人でもあるDavid Roux-Fouillet(デイビッド)先生が来日しました。

 

(3)_共同制作

Day4
リサーチ2日目はほとんどのチームがペアごとの活動となりました。
2日後の合評に向けて、それぞれの制作に入りました。

黙々と制作のために活動するペアもいれば、職人さんのところを訪問したいペアもいて、日本の学生たちは電話で職人さんたちにアポイントを取るという、ほとんど初めての体験を強いられました。
職人さんは堅物で怖いというイメージもあって尻込みする学生もいましたが、最終的にはそれぞれが行きたい職人さんに連絡することができたようでした。

実際に職人さんの元を訪問すると、忙しい中で学生たちをとても歓迎してくださいました。
作られているものの素材から、工程から、実演も交えて教えてくださいました。

また、大変熱心なハレの学生からの浴びせられるような大量の質問にも嫌な顔一つせず、全てにむしろ生き生きと答えてくださいました。

そのような様子は日本の学生にとっても、とても衝撃的で心を打つ体験となったことだと思います。Halleとの糸の共同研究レポート

Halleとの糸の共同研究レポート

Halleとの糸の共同研究レポート

Halleとの糸の共同研究レポート

また、この日はみんなで活動していた昨日までとは違って、ペア同士で待ち合わせしなければなりませんでした。
朝から私たち日本人学生のLINEグループは騒がしく動いていました。
「私のペアから連絡が帰ってきません。どなたか彼女が今どこにいるか見ていませんか。」
「誰々のペア、今日ミーティングじゃなくてやっぱり〇〇の職人さんのとこに行きたいと言っています。伝えて欲しいと言われました。」
「マジですか、今日のプラン崩壊…。」

連絡の取れない学生や、職人さんの元へ訪問したい学生により翻弄されていました。
また、私たちも普段LINEばかりなのでメールというものに不慣れな学生も多く、ハレの学生から日本人の学生への伝達を頼まれることもありました。
お互いにうまく連絡が取れないストレスを抱えながら、とてもタイトなスケジュールをこなしていきました。

私とスニさんは極めて順調で、その日はもう2組のペアと一緒に金網の職人さんや真田紐の職人さんの元を訪問し、制作のヒントをもらいました。
特に真田紐師 江南さんは、私がかねてから大変お世話になっている職人さんであり、秘密の暗号を秘めた紐と呼ばれる真田紐はとてもとても面白いので絶対に連れていきたいと思っていました。
(江南さんについては職人の仕事の職人インタビュー3をご覧ください)

結果真田紐にとても感激している学生たちを見て私は大満足でした。私も我が物顔で説明をアシストしていました。

デザイン(真田紐の模様)に戸籍とほぼ同等な個人情報が込められているものというのはそうそうありません。

Halleとの糸の共同研究レポート

(真田紐師 江南の和田さんとハレの学生)

そんな訪問の前に実は私たち、京都の北山通にある京都府立植物園へ出かけていました。私は植物園が好きで、その期間にやっている展示にどうしても行きたかったというのもありスニさんを誘いました。

温室に入り、たくさんの南国の花が咲いている部屋に入った時、スニさんがいきなり花の元へ駆け寄って、耳を花に寄せました。「見て!イヤリングみたい!」と言いました。
確かに!
そのあとは2人でネックレス、ブローチと植物を身につけるようにして写真を撮って遊びました。
私たちが植物に体を寄せたその瞬間だけ、植物がジュエリーになる瞬間を見ました。

Halleとの糸の共同研究レポート

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その日の体験から話したことは、「その一瞬にしか生まれないジュエリー」があるのかもしれないねということでした。
私たちはこの体験から、スニさんがコーヒーを飲みながら教えてくれたようにジュエリーである“糸”を作りたいと思いました。

真田紐師 江南さん訪問からの帰り道、私はスニさんに
「糸や紐だけでジュエリーと呼ぶには、もしかしたら何か足らないんじゃないか。」と質問しました。

するとスニさんは「私は今日見た真田紐がジュエリーだと思った。
茶道に使う道具を入れた桐箱に結んであって、それは桐箱にとってのジュエリーだった。侍が刀を腰に繋ぐために使われていたのも真田紐でした。
それらは十分にジュエリーと呼べます。」このようなことを言っていたと思います。
スニさんはいつも私の問いかけにそれ以上のものを返してくれます。
私たちは課題である糸をこれから作る中、「瞬間的で見えない糸」も同時に作るというアイデアを思いつきました。

つづく

 

2019.07.01更新