職人
interview
15

京繍 杉下

京繍の職人、
杉下 陽子さんにお話を伺いました。
(1)

Traditional Craftsman
interview 15
KYO-NUI SUGISHITA
KYOTO EMBROIDERY CRAFTSMAN
Yoko Sugishita
京繍杉下
杉下 陽子

空間デザインコース 3年
溝辺 千花
ビジュアルコミュニケーションデザインコース2年
川口 水萌

京繍の魅力は 絶対に美しいこと。
京繍の職人さんは百種類もの技法を使い分け、
一万色以上ある絹糸を組み合わせ、「日本の色」を作ります。
藍色と言っても、 青藍、縹色、瓶覗。
少しの色の違いで名前や由来がそれぞれにあります。
何千年も続く日本の色を扱い、作り上げるのはとても難しいこと。
しかし、それを調和してくれる不思議な優しさが
絹布と絹糸にはあります。
そんな道具ひとつ取っても魅力が溢れている京繍について
お話ししてくださいました。

 

(1)_ 絶対に「美しい」こと

刺繍には沢山種類がありますが、京繍の特徴は何ですか?

日本の刺繍っていっぱいありますけどね、
北の方はどこにあるのかわからないけど、
南の方は長崎もあるし、広島にもある。
だけど、国の経済産業省が指定する伝統工芸に指定されているのは
京都と加賀だけです。
京繍と加賀繍の違いは、ほとんどないんです。
刺繍はもともと中国から渡ってきたけど、なんとなく違うんです。
技法が良く似ているけど、やっぱりその土地その土地の好みが出る。
柄だったり色の特徴だったり、繍い方によっても趣が違うんですよ。

京繍 杉下

 

京繍の魅力とは。

絶対に「美しい」ことです。
刺繍って平面にするんですけど、どこか立体的で、奥行きがある。
絵画じゃ出ない魅力だと思います。

 

技法はどれほどありますか?

いっぱいありますよ。
100種類あるって言われています。
だけど、必要とされているのは
30種類くらいです。
ちょっと違うだけで違う技法って言われているから、
ひょっとしたら
100種類以上あるかもしれないですね。

 

30種類の技法を習得するには、どれくらいかかりますか?

できるようになるには3年くらいあれば充分。
でもどんなご依頼がきてもできるようになるには、
10年以上かかります。
自分でどうするか考えてできる、あるいは職人さんに指示が出せる、
これができるようになるのが大切なんです。

例えば、絞り染めの布に刺繍をするとき、ゾッとする。()
伸びちゃうからピンと張れへんし、裏打ち布を貼って、
乗せて、仮止めをして、それで絵を描いて刺繍していく。
まず糸で凹凸を潰して平らにするんですけど、
そうしたらその部分だけ伸びちゃう。
絞りの良さを消さへんようにする調節が大変で。
そういう風に、「どうやったらできるか」を
常に自分で考えられるようにならんとね。

つづく

 

2019.07.01更新