京都文化
トリハダ通信
4

篆刻 和綴じ本 文人文学

“漢詩、篆刻、” とは
学生による授業レポート(2)

Kyoto Art class
Report4
“Kanshi,Tenkoku”
Text by Sakiyama Saki


京都文化 トリハダ通信4
漢詩 篆刻
基礎美術コース 2年
崎山 紗己

(2)_ 李白子夜呉歌其之三を分刻す

前回の後半、李白という詩人が書いた『子夜呉歌』について少しだけ触れましたが、 子夜呉歌というのは、子夜は女性の名前で、東晋の京都、呉で歌われた民謡 のことを意味するそうです。
李白の『子夜呉歌』は春夏秋冬の4作品があるそうで、今回私たちが篆刻するのはその中の3番目の秋にあたる歌です。

篆刻 和綴じ本 文人文学

子夜呉歌 其の三 李白
長安 一片の月
長安の夜空に一つの月が浮かび家々を照らしている
萬戸衣を擣つの聲
あちこちの家々から、戦地へ送る衣をうつ砧の音が聞こえてくる
秋風 吹いて盡きず
寒さを感じる秋の風は吹き止まない
總て是 玉關の情
これらのもの全てが、玉門関に遠征している夫を思い慕う気持ちをかきたてる
何れの日か 胡虜を平らげて
いったい、いつになったら夫は異民族を平定して
良人 遠征を罷めん
遠征を終えて、遠い戦地から私の元へ帰ってくるのであろうか。

という内容の歌です。
詩の形は五言古詩というものです。
五言の句からなる古体の詩。という意味です。

篆刻 和綴じ本 文人文学

私が担当した李白という文字は、石の上に赤文字で書いてあり、赤い部分を彫ることで、字が白く抜ける、白文です。

篆刻 和綴じ本 文人文学

一方で、字が赤く残り、枠のようなものが特徴的な朱文もあります。

篆刻 和綴じ本 文人文学

これは次の長安の部分です。 朱文か白文かで、随分とイメージが変わってきますよね。
また、綺麗に彫るのではなく、最後にどこかあえて欠けさせたりするのも、ポイント の一つです。ちょっとお洒落。 よく、満開の桜よりも散りかけている桜が良い。とか、満月よりもかけている月の方が素敵と言われたり。
昔から日本人は不完全なものに美しさを見出そうとすることがあると思います。 篆刻にもその文化が染み込んでいるのでしょうか。
印を使い続けることで新たに生まれた傷などもいずれ一つの個性や味に変化していくと思います。 そこからずっと同じ物を使い続け、大切にする愛着が生まれたりするのだと思いました。
このことを一番強く感じたのは次回お話する、自分の名前を篆刻していた時なのです。

つづく

 

2019.08.01更新