職人
interview
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京刃物 義定

刃物の職人、
山口 悌布朗さんにお話を伺いました。
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一言に刃物といっても、その種類は様々。身近なものでいうならば、包丁、鋏、鎌など、私たちが普段手にするものでさえ数多く存在する。刃物は畳や扇子など、様々な伝統工芸を支えています。

創業360年を超える『京刃物 義定』10代目の山口 悌布朗さん。
使い手が多いからこそ、なんでも作る。使う人によって、重さも形も、素材も変えていくのは何よりも「使いやすく」するため。
ものづくりになくてはならない道具の一つである「刃物」。 人が触れるものだからこそ、時代に対応する。 そんな刃物の魅力を聞きました。

 

(1)_ 京都はなんでも作る街

京刃物 義定

創業して何年ですか。

工房が今から360年くらい前からあって、代々受け継がれてきたんです。
60年くらい前まで地元の方でやっていました。でも街の真ん中やさかいに、先代が亡くなってからは久御山の方に工房を持っていったんです。 百貨店がなくなって、ここに移ってきて、今から10年くらい前かな。
お客さんから(刃物の)研ぎとか、包丁とかハサミをどこで買えばいいんやって、そういう要望が多かったもんで。 代々知り合いやったお豆腐屋さんがやめはったここをお借りしてお店にしているんです。

 

360年も受け継がれている義定刃物さん、今は何代目ですか?

私は10代目。
だいたい江戸中期くらいで、吉宗の将軍さんのときやね。

それ以前もあったんやけども、お寺が燃えてしまってわからんくて。

 

京刃物を仕事にしたきっかけは「受け継がれてきた」からですか。

いえいえ。
たまたま長男に生まれて。
父が兵隊に行ってまして、体を悪くして帰ってきたんです。 だから早いこと仕事を教えなあかんからってことで、卒業後すぐ仕事に入って作ることになりました。仕事は小さい頃から見ていましたね。

 

刃物と聞くと、包丁のイメージが強かったです。

京都はお客さんが仰ったらなんでも作るんです。
例えば扇子の骨を削ったり、持ち手のカーブを出す刃物なんかもあります。これは誰にもできない。私しか作れないんよ。 包丁はもちろん、畳包丁やったり丸裁包丁やったり。 畳包丁は畳職人から注文がきますし、丸裁包丁は襖を作るときに使ったりも。いろんなものを作らなきゃいけないからね。
臨機応変に対応できるようにしています。

 

重さも、硬さも、形も、使う人によって違ってくる。

京刃物 義定

堺打刃物、福越前打刃物などありますが、京刃物ならではの特徴はなんですか?

京都も戦前は50件くらいあったんですよ。
刀を研いでるところとかね。
でもみんな息子さんが継がんかったりしていなくなってしまった。
京都はたまたま衰微してしまったさかいに、堺とはまた違っていて。 京刃物というたら歴史はあるんです。
地方に行くと
京都の刃物って言うていただけますしね。

 

時代に合わせて作る刃物の需要は変わりますか?

重いものとか硬いものとか、どういう形か、なんていうのは、「使う人によって」違いますね。
だからだんだん変わっていってます。時代とともに使いやすいように。
道具だってなんだって、なんでも「使いやすい」って大切でしょ。 いっぺん買うていただいたら、何年も使っていただけるものを作る、これがすごく大事。

 

包丁もいろんな形がありますね。

戦前は菜切包丁、出刃包丁、刺身包丁の三つがワンセットでした
戦争が終わってから外国から伝わって種類が増えたんです。時代によって変わっていくことになるのかな。

柄の部分も変わってきて、今は木を圧縮したものを使ってるけど、前は桜の木やったり竹を削ったりして、色々やったんです。これも時代に合わせて変わっていってるね。

 

刃物にある年輪のような模様がすごく素敵です。

鉄に鋼を乗せてひっつけて、折り曲げて折り曲げて そうしてその層が出てくるんです。だから一つ一つ模様が違う。 それも手仕事だからこそやね。 だんだん機械化が進んでしまって、今の若い人はやらはらん(やらない)と思うよ。

つづく

 

2019.08.01更新