京都文化
トリハダ通信
4

篆刻 和綴じ本 文人文学

“漢詩、篆刻、” とは
学生による授業レポート(4)

Kyoto Art class
Report4
“Kanshi,Tenkoku”
Text by Sakiyama Saki


京都文化 トリハダ通信4
漢詩 篆刻
基礎美術コース 2年
崎山 紗己

(4)_ 作詩の留意点

篆刻をしながら、子夜呉歌という名詩を鑑賞してきたところで、次はいよいよ自分の感情を表現し、漢詩を作っていきます。
今回作るのは、七言絶句の詩。
色々注意点はあるのですが特にポイントとなるのは次です。

その1、起承転結に留意する
うたい起こし
それを受けて発展
場面を転換させる
全体を締めくくる

その2、五感 ( 視、聴、味、臭、触 ) を取り入れる

その3、強弱、陰影、遠近、虚実、今昔、動静、 白黒、緩急などの対比をつける

ということです。
自分で言葉を勝手に作らないこともポイントの一つで、今回は先生が詩語集から春夏秋冬の様々な言葉を教えてくださり、楽しく、思い思いに作っていくことができました。

篆刻 和綴じ本 文人文学

詩語集というのはこのように色々な言葉があります。その中から、○○や△○など表記を味方につけて、当てはめていくように作っていきます。
当てはめるとはいっても、言葉を探していくこと、自分の感情とあう言葉を見つけることはとても難しく、佐藤先生と相談をしながら、少しずつ組み立てていきました。

二字、二字、三字で句を作っていくのですが、
起句 ○○/●●/●○○( 韻 )
承句 ●●/○○/●●○( 韻 )
転句 ●●/○○/○●●
結句 ○○/●●/●○○( 韻 )
このような方式になっています。
私が作った詩は、冬の詩です。

歳晩憶人 ( 歳晩 人を憶う )
起句 蟲啼/満地/一燈深
( 虫は満地に啼いて 一灯深く )
承句 星彩/月明/散素襟
( 星は彩り 月明らかにして 素襟に散る )
転句 遥憶/良人/人未寝
( 遥かに良人を憶えば 人 未だ寝ねず )
結句 沈沈/弧帳/惜光陰 ( 沈々たる弧帳 光陰を惜しむ )
満地:いたるところ
一灯深:一つの灯火が寂しく光っている
散素襟:白い襟元に降り注ぐ
遥憶:昔を思い出す
人未寝:なかなか寝付かれない
沈沈弧帳惜光陰:静まりかえった部屋で一 人過ぎ去った日々を惜しむ

起句では虫はそこら中で鳴いているが、家の中は寂しい。という感じに、最初のポイ ントその3にあった対比をここで取り入れています。

結句にある、沈沈では同じ字が並んでいますが、これは沈々を置き換えているもので、 普通では一度使った漢字は取り入れませ ん。

中学、高校までの教科書や試験に出てきた漢文はレ点や一、二点など、どう読むかの法則に縛られていて、難解なパズルのように思えて仕方がなかった印象がありました。しかし、自分で漢詩を作ってみると、 二字や三字で一つの意味になっていたり、 その字から薄々と伝わる情景に気付くことができてとても面白かったです。

つづく

 

2019.08.15更新