伝統文化研究員の本棚
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伝統文化研究員の本棚

家成俊勝先生のススメ
「日本の工芸<別巻>琉球」

Traditional culture
researcher’s bookshelf
Ienari Toshikatsu

伝統文化研究員の本棚
家成俊勝

伝統文化(工芸)や、職人さんについて「知らない人」だった私たちは職人さんや 京都の物事に出会って、知らないことを教えてもらい驚きと感動の毎日を過ごしています。
知れば知るほど「もっと知識を増やしたい」「メンバーの中でも知識を共有したい」 と思い、人類が研究してきた膨大な情報にアクセスするため、私たちは本を読んでいくことにしました。

京都について、職人さんについて、伝統文化について、工芸 について
KYOTO T5
の研究員へ、様々な先生方からおすすめしていただいた本を紹介していきます。

 

 生きているもの

生きているもの

この本は、3年ほど前にたまたま見つけて購入した古本です。
琉球の工芸品が写真と合わせて丁寧に解説されています。

この本を読んで感じたのは、一口に工芸といっても、私たちの生活にまつわる様々な品々を指しており、とても語り尽くせるものではないということです。
そしてとても大切だと思ったのは、工芸と大地は決して切り離せないということです。

工芸品の材料は大地そのものであったり、大地から生まれているものばかりです。
そこに人間の営みが加わり、素晴らしいカタチや色や柄が現れます。
そこには縦に長い日本列島にある様々な文化や地域特性が自ずと反映され、加えて、材料や製作方法や文化の交流の足跡まで見えてきます

世代をまたいで使い込まれ、欠けたら継ぎ足し、破れたら継ぎ接ぎし、ハゲたら塗り直して大切に使われて来たのだと思います。
考現学を提唱した今和次郎さんは、竿に干されている着物を見て「老人の着古し、子どもの着古し、誰かの着古しの破片的なきれが、肩からもすそからもなめまわしたように付着している。そしてついに、おのおのに個性的な存在が形成されてしまっている。それは山や山脈の個性が地形学の法則によって形成さているのと同様だといわれるまでに」と言っています。

私たちがかつて日常的に使っていた工芸品や民芸品は大地から生まれ、人の手や人の暮らしを通して使い続けられ、そして大地に返っていきました。
大きな循環の系に、あらゆるものが含まれていたのだと思います。
その大きな循環の中にある時、人やモノや営みは生きていると言えるのではないでしょうか。
もう一度、工芸や工芸品から私たちの生活を見返さなければいけない時期だと思います。


 

タイトル:日本の工芸<別巻>琉球
著者:外間正幸 岩宮武二
出版社名:淡交新社
出版年月1966年 1月


 

【紹介下さった方】
家成 俊勝
1974年 兵庫県生まれ。
関西大学法学部法律学科卒。大阪工業技術専門学校夜間卒。
専門学校在学中より設計活動を開始。
2004年~ドットアーキテクツ共同主宰。
大阪・北加賀屋を拠点に活動。建築設計だけに留まらず、現場施工、アートプロジェクト、さまざまな企画にもかかわる。
京都造形芸術大学 空間演出デザイン学科 教授

 

2019.09.01更新