「RCAとの合同プロジェクト」

RCAとの合同プロジェクト

RCAとの合同プロジェクト(2)

Joint project
Royal College of Art

Ojima Hitomi

共同プロジェクト
Royal College of Art

通信・空間演出デザインコース
小島仁美

RCAとの合同プロジェクト(2)

夏季休暇を利用し、ヨーロッパのデザイン大学の学生と新商品を企画する合同プロジェクトを行いました。
第1週、8/12-19はロンドンのRoyal College of Art (RCA)と、第2週、8/19-24
ジュネーヴ造形芸術大学(HEAD)との取り組み。
今回は第1週目
RCAとのプロジェクトについて、どのようなことが行われたのかご報告します。

 

(2)_リサーチ

続いて森本錺金具製作所を訪問しました。

最初に、手作り製品と機械加工での鈴の音の違いを聞きました。
手作りの鈴からはとても細やかで柔らかなシャンシャンという音色がするのに対し、機械加工のものは、カンカンという普通の金属の鈴の音がします。
(ただ比べて教えてもらわないと、その音色の違いが加工の違いから来ることはわからなかっただろうなと、思いました。)

RCAとの合同プロジェクト

右は森本さん。資料館にて手作業による鈴音の違いを教えてくれています。
資料として、昔の仕事の品々も展示されています。展示品の中には鏨を打ち込んで点々模様を作る地彫が一面に施されているものがありましたが、現在では予算や時間があまりにもかかるため、とてもそんな仕事はもうできないとおっしゃっていました。
RCAの学生たちはジュエリーが専門のため、材料としての金属は慣れ親しんでいると思いますが、硫黄での焼き付けすることや鏨の細やかな仕事など、ひとつひとつ手にとったり、近づいたりしてたくさん質問していました。

RCAとの合同プロジェクト

森本さんに七宝について質問する学生たち。

また工房見学もさせていただきました。
6名の方が作業されており、意外にも若い女性が2人いらっしゃいました。
印象的だったのは、道具の数です。と呼ばれる彫りを入れる道具、木槌が棚に何個も引っ掛けてあり、自分の仕事に応じて合うものを選んで使っていくそうです。
また、作業台は切り株を使用しており、穴を開けて道具を差したり、中には100年以上使っているものもあるそうです。それは意図して作り出そうと思っても、とても作れないようなオーラを放っていました。

RCAとの合同プロジェクト

RCAとの合同プロジェクト

右は100年近く経った作業土台と道具を指しこむ用として使う切り株。

なんでも質問していいよと言っていただいたのですが、学生たちも真剣な眼差しの職人さんたちにおいそれと話しかけられずにいました。ただ、次の職人さんとのアポイントメントをすぐ控えており、駆け足の見学になってしまいとても申し訳なく思いました。
実際に、職人さんの工房に出向き、お話を伺うと、どれもこれも興味が出てしまい、もっと時間を取っておくべきだったと、反省です。

次に向かったのは修学院にある唐紙工房兼ギャラリー唐長さん。お店に入ると、1階の応接室は、奥様の郁子さんが揃えた見事なアンティークの調度品と、壁紙、天井に使われた唐紙がなんとも美しく、ほぅとため息が出てしまう空間でした。
2階には、実際にお客様と文様や色合いを打ち合わせたりする工房があります。

唐紙とは、和紙に様々な文様を彫った版木を使って印刷したもの。
唐紙の発祥は、平安時代の大空間の部屋。簡易的に仕切りとして使った御簾から、固定して使用するようになった襖へと、建具の変遷がありました。そこへ中国からやってきた唐紙で襖を飾り立てるようになったそうです。
唐長さんの歴史の中で、何千枚もの版木が作られてきたのですが、現在はその時の中で生き残った選りすぐりの約650枚の版木を使い、新たな使い方を模索しておられます。お客様の要望と、壁紙から便箋までさまざまな用途に合わせ、下地の紙、文様、色合い、擦り方などの組み合わせを変えていきます。
主人の千田さんが、これは舞台のために作ったもので、これは少し色を変えたもの、と実際の品を見せてくださる度に、みんな前のめりになって聞きました。
文様が魅力的なため、色々な文様と色とを組み合わせを考えるだけでも、無限大に可能性があるね、と話していました。

RCAとの合同プロジェクト

唐長さんで代々受け継がれてきた版木。
土台となる紙や色を変えることで、可能性は無限大。

明日は、KYOTO T5で今までお世話になった職人さんだけでなく、店舗や体験工房にも足を運んでみることにしました。
RCAの学生と一緒に実際に手を動かしたり、材料に触れることで、何かインスピレーションが浮かぶのではないか、と期待しています。

つづく

 

2019.10.01更新