伝統文化研究員の本棚
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椿 昇先生のススメ
若い読者のための哲学史
(Yale University Press Little Histories)

Traditional culture
researcher’s bookshelf
Tsubaki Noboru

伝統文化研究員の本棚
椿 昇

伝統文化(工芸)や、職人さんについて「知らない人」だった私たちは職人さんや 京都の物事に出会って、知らないことを教えてもらい驚きと感動の毎日を過ごしています。
知れば知るほど「もっと知識を増やしたい」「メンバーの中でも知識を共有したい」 と思い、人類が研究してきた膨大な情報にアクセスするため、私たちは本を読んでいくことにしました。

京都について、職人さんについて、伝統文化について、工芸 について
KYOTO T5
の研究員へ、様々な先生方からおすすめしていただいた本を紹介していきます。

 

若い読者のための哲学史

若い読者のための哲学史 (Yale University Press Little Histories) 

大学って就職予備校みたいだし、大人たちは信用できないし、未来は不安だから見てみないふりをしよう。と君たちが考えても無理はないと僕は思っています。
とはいえ、未来が明るかった時代なんて過去をたどればそんなに無い、でもどんな暗い時代でもみんなめげずに生きて来たし、これからも生きてゆくしかないよねって歴史を学ぶと見えて来ます。
僕は若い頃から歴史上の死んだ人たちと語り合う事を楽しみにしていましたし、コロコロと変わる時代を見るよりも過去のパターンを今に活かすのを楽しんで来ました。

さて、大学の学びでオススメをひとつだけ挙げるとすれば「目まぐるしく変わるトレンドより変わらない古典」についてしっかり学べ!です。
その代表格が「歴史」であり「哲学」だと思っています。
この本の作者ナイジェル・ウォーバートンは、フリーの哲学者で、毎週哲学に関するポッドキャストを配信し、統合的な哲学のウェブサイトも運営する他、英国立近現代美術館「テート・モダン」で、現代の芸術と哲学に関する人気のコースを教えています。

実はアートやデザインにもっとも必要なエンジンは哲学史なのです。
目先のトレンドを追えなくて焦ったり、狭いアート界の業界ネタを気にするより、人類が困難な世界にどのような考え方を生み出して来たのかをその時代に戻って理解し、すみやかに現代に戻る。この往復運動の回数を増やすことが大学の学びなのです。
この本は、重いと思っていた哲学の扉を奇跡のように軽く開いてくれるでしょう。くだらないハウツー本は百害あって一利なし!哲学こそが君たちを生きやすくしてくれることを120%保証しましょう。


 

タイトル:若い読者のための哲学史 (Yale University Press Little Histories)
著者:ナイジェル・ウォーバートン
翻訳:月沢 李歌子
出版社名:すばる舎
出版年月:20184


 

【紹介下さった方】
椿 昇(コンテンポラリー・アーティスト)
1953年京都市生まれ、京都市立芸術大学西洋画専攻科修了。京都造形芸術大学美術工芸学科教授。
1989Against Nature展に”Fresh gasoline”を出品、展覧会のタイトルを生む。
1993年のベネチアビエンナーレ・アペルト参加。
2001年の横浜トリエンナーレでは、巨大なバッタのバルーン《インセクト・ワールド-飛蝗》を発表。
2003年、水戸芸術館にて9.11以後の世界をテーマに「国連少年展」。
2009年、京都国立近代美術館で個展「椿昇 2004-2009GOLD/WHITE/BLACK」を、2012年、霧島アートの森(鹿児島)にて「椿昇展“PREHISTORIC_PH”」。
2019年「パレルゴン:1980年代、90年代の日本の美術」BLUM & POE LA USA。
瀬戸内国際芸術祭小豆島エリア2013,2016ディレクター。
青森トリエンナーレ
20172020ディレクター。
ARTISTS’FAIR KYOTOディレクター。

 

2019.10.01更新