「RCAとの合同プロジェクト」

RCAとの合同プロジェクト

RCAとの合同プロジェクト(4)

Joint project
Royal College of Art

Ojima Hitomi

共同プロジェクト
Royal College of Art

通信・空間演出デザインコース
小島仁美

RCAとの合同プロジェクト(4)

夏季休暇を利用し、ヨーロッパのデザイン大学の学生と新商品を企画する合同プロジェクトを行いました。
第1週、8/12-19はロンドンのRoyal College of Art (RCA)と、第2週、8/19-24
ジュネーヴ造形芸術大学(HEAD)との取り組み。
今回は第1週目
RCAとのプロジェクトについて、どのようなことが行われたのかご報告します。

 

(4)_アイディア出し

台風直撃のため、3日目は各自でアイディアを練ることとしました。そして、4日目の午前中、各自の案を発表し合いました。
各自の興味が分かれていたため、どの案を採用するか決定することができませんでした。しかし、やはり引箔の印象が強く、3人それぞれ、引箔を生かしたいという案が多く出ました。

1つは、引箔の布地をバッグや帽子にワッペンのようなかたちにして貼れるようにするもの、引箔でハンカチやラグ、アクセサリーなどをつくるもの。
また、何度も使えるドリンク用キャップ、竹に箔を貼ったランチョンマットなど引箔の壮大な世界を活かせる術はないのかと、悩んでいました。

続いて、二条にある梅仙という蒔絵職人さんのところで、漆と金粉を使った蒔絵の体験教室に行きました。漆を塗って絵柄を描いた後、上から金粉を振って、蒔絵になります。

RCAとの合同プロジェクト

漆で絵柄を描いた上で、金粉をのせ、取り除いている様子。そっと優しく筆を動かします。

私たちの体験で使った筆とは違い、職人さんたちは鼠の毛の筆を使うそうです。
それは先が曲がっていて、使いづらいそうなのですが、そのカーブしたところに漆が溜まり、細い線をかすれさせずに描くことができるそうです。そうやって、細かな道具の特性をちゃんと知った上で使いこなすことも職人の技なのだと思いました。

RCAとの合同プロジェクト

プロが使っているネズミの毛で作られた筆磨き用の鹿皮とフグの牙で作られたもの。

また、漆とは江戸時代に技術的に完成されており、現代では、筆や、磨き用の皮などの道具が人工的に製造されているのですが、そういった人工の道具は天然の素材で作られた道具を追い越すことはないそうです。
それは、あくまで人工物が今までの道具を再現しようとしているため、オリジナル自体を追い越すことは絶対にないからです。
だから、目標とするものと、同じものを目指してもそこまで結局たどり着けない、だから似たようなものを目指すのではなく、全く新しいものを考えないといけない、という職人さんの哲学に触れ、何かを生み出そうとする人は常に考えないといけない命題のような気がしました。

また、ちょうど近くに、引箔の西山さんが一緒に革製品を製作している、革ブランドKYOTO Leatherのギャラリーがありました。そちらでは、完成品を売るというより、素材として、墨流し、型染め、引箔などの伝統工芸によって模様を染めた革を販売し、ブランドや個人が買い取り、製品を作っていきます。
形態だけをリデザインするのではなく、技術手法を生かし、素材そのものの概念を変える取り組みをしているようです。

ただ、素材としての新しい取り組みではあるが、その先の商品がレザージャケットだったり、財布、革靴など、今までの商品であるため、その新しい皮を使って作る意味、というものがあるのか疑問を感じました。
やはり、使う人の概念を覆すような使い方の提案を
できたらいいね、と私たちは話し合いました。

RCAとの合同プロジェクト

KYOTO Leatherのギャラリー。素材としての販売がメイン。

 

試作・プレゼン準備

実際に手を動かして、かたちをつくることでアイディアが深まるかもしれないと思い、いくつか試作をしてみることにしました。

中古の着物屋さんと東急ハンズを周り、端切れや竹ひごを購入し、試作やイメージを固めることにしたのですが、イメージにこだわるべきなのか、見た目が再現できたらいいのか、わからなくなり、何のために試作をするのかはっきり決めておくべきだったと思いました。
また、引箔という柄に圧倒的なインパクトのある技に対し、特性をいかに活かすかという点で、本当にこのかたちがいいのかということがわからなくなったりしました。

各自のアイディアをそれぞれ進めていく形になっていたため、せっかく様々なバックグラウンドを持ったメンバーが集まったんだから、ひとつの案をみんなでブラッシュアップすることも必要だと思い、今まで出てきたアイディアの中から1つに絞ることにしました。

長く使い続けてほしいとの思いと、伝統を知ってほしいとの思いから、帯というかたちをさまざまに変えられる柔軟なもの、例えば風呂敷や手ぬぐいにも通じる文化をヨーロッパ市場に発信できないかと考えました。
普通の帯よりは簡単に、でも帯の結び方を発信することで、もっと学びたいと思ってもらったり、ものを購入した後もお客さんのとの交流が続くことが目指したいと思いました。
銀箔の色が変わっていくことで、年月とともに愛着を持ってつかってもらえるというコンセプトにも合うのではないかと考えました。

RCAとの合同プロジェクト

帯用の布地を細く切って、簡単に結べる締め方を考えているところ。

また、ジュエリーが専門であるAdamが、より帯に親しんでもらうため、漆や飾り金具の技術を使ったリングを作り、より簡単に帯を結べる、というデザインも考えてくれました。

どんな素材を使うか、ということで現在はポリエステルが主流な中、伝統的な素材と織り方で帯を作りたいと思い、着物の古着屋さんを巡って、どんな素材か実際に聞いたり、サンプルを集めたりしました。

また素材への箔の貼り方について、職人さんに質問もしました。
例えば裁断して編み込むのではなく、織った後の帯に金箔をつけるのはどうかというのでは、隙間の多い織り方では、接着剤が裏面まで回ってしまい、固まってしまうなど問題が出てきました。
素材や織り方などによって、接着剤や保護剤等の薬品を使いこなしたり、最後の仕上がり、使い続けた場合の品質を維持するための技術というものが積み重なって、商品の最終の仕上がりの美しさに繋がるのだと感じました。

RCAとの合同プロジェクト

CHIMASKIのスタジオにて、プレゼン準備、試作中のメンバー。

つづく

 

2019.10.15更新