「RCAとの合同プロジェクト進捗報告Bronteチーム」

RCAとの合同プロジェクト進捗報告 Bronteチーム(1)

Joint project
Royal College of Art

Bronte
Kato Haruka
Takenouchi Haruka

共同プロジェクト
Royal College of Art

Bronte
加藤はるか
竹之内春花

京都の伝統とヨーロッパの感性から新商品を企画するヨーロッパのデザイン大学の学生との合同プロジェクト。
この取り組みは新商品を開発するため、前回に引き続き制作や研究が行われています。
前回ご紹介したロンドンのRoyal College of Art (RCA)との合同プロジェクトから、現在行われている制作や研究の進捗報告をご紹介していきます。

チームメンバー Bronte 、加藤はるか、竹之内春花


 

他チームの記事を読みたい方はこちら
チームメンバー Liuliu 、鈴木日奈恵
チームメンバー Adam、小島仁美、光岡怜伊子


(1)_エコノミー(節約)

私たちのチームは空間演出デザインコースの竹之内春花と、染織テキスタイルコースの加藤はるか、 そしてRCAからきたBronteです。 彼女は少し日本語が話せます。 片言の日本語で「私は陶芸家です。」と教えてくれました。

RCAとの合同プロジェクト進捗報告 Bronteチーム

私たちは他のチームと一緒に森本錺金具さんを訪問し、別日に提灯の職人小嶋商店さんの元を訪問しました。
その後に近くのカフェで打ち合わせ兼昼食をとった時、私たちはそれを発見しました。

RCAとの合同プロジェクト進捗報告 Bronteチーム

それは「エコノミー(節約)」と書かれたストローでした。
プラスチックで作られたストローで、確かに生産コストは安いかもしれません。 しかしそれを処分する時、プラスチックというのはお金や手間がかかる上に、有害な物質を発生させます。
もっと長い目で見た時、それは「エコノミー(節約)ストロー」ではないと私たちは感じました。 そこで私たちは新しく、本当の意味でエコノミーであり、環境にも優しいストローを作ることにしました。

リサーチをする中で、真田紐師の江南さんから“京都と檜”のエピソードを聞きました。 京都の檜製品は質が良いと言われていたそうです。 木は通常油分を多く含んでいるため、伐採してからすぐには使えません。 油分の多い木で作ってしまうと、後に曲がってしまうなど変形して劣化が早くなってしまうのだそうです。

なので、しばらく雨ざらしにしてから加工されていました。 しかしほとんどがそれを待っている時間がないので、あまりよくない状態で加工されるそうです。
飛騨(岐阜)で檜はよく採れ、そこから京都へ流通してくるルートが、その品質の良さに関係しているそうです。

昔はトラックや高速道路などがないため、伐採した木でいかだを作って川や海を渡って運んでいました。 飛騨からまず川を南下して太平洋に出ます。その工程で真水で一度洗われることになります。 そして太平洋は南側で、少し暖かい海水によって洗われます。最後に大阪 淀川を登ることで真水でもう一度洗われ、 京都へ届きます。
通常行わなければいけない工程が、京都へ運ばれてくる際に並行して行われていたため、京都に届く頃にはすぐに使えるいい状態に育っていました。なので、京都の檜製品は質がいいと言われていたのだそうです。 そのエピソードを聞いて、私たちは檜でストローを作るということを思いつきました。

また、Bronteは陶芸家であるため、漆にとても関心がありました。陶芸において、漆はよく使われます。加飾をする際や、金継ぎを行う際にも糊のような役割で使われます。
私も漆には関心がありました。伝統工芸品はそのほとんどが使ってみて、より良さがわかるものです。ですが現在では美術品のように高い価格で売られているため、それを使うまでが容易ではありません。
特に漆は、舌触りの良さや手に当たる感触にその魅力があると感じます。そこで私たちは檜でストローを作り、それを漆でコーティングすることを思いつきました。また、漆には殺菌効果もあるので、清潔を保たなければいけないストローにおいてとてもぴったりです。

RCAとの合同プロジェクト進捗報告 Bronteチーム

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上:真田紐師 江南さん、下:石川漆工房 石川さん

 

檜ストロー

“京都と檜”のエピソードを知り、ギフトとしていかだになって届けられるようなストローを考えました。
ラッピングには真田紐を使用。真田紐はチベットの民族から伝わった「サナール紐」というのが始まりで、日本では綿や絹で織られます。江南さんはその昔からの技法を守り続ける日本で唯一の職人さんです。
真田紐には、その持ち主の血筋を表す“暗号”が隠されています。
位の色(紫や黄色など)か潜んでいたり、武家を表す文様が潜んでいたり、紐から読み取れる情報がたくさんあるため、戸籍のような役割を果たしていました。

江南さんのご先祖はその、“その人のためだけの文様”を大切にしてきました。
その人のためだけの紐である真田紐でラッピングすることで、ギフトとして“贈る気持ち”を込めることができる”と思いました。これが私たちが制作したストローです。

RCAとの合同プロジェクト進捗報告 Bronteチーム

トンボがモチーフの結び方でラッピングした檜ストロー

他にも、リサーチの過程ですごく面白い発見がありました。江南さんの向かいには「半兵衛麩」というお麩のお店があるのですが、その二階にはそこの代表が集めた日本のお弁当箱のコレクションが展示されています。
江南さんに勧められて訪れたのですが、そこは季節行事ごと(お花見、蛍狩り、紅葉狩りなど)にお弁当箱が展示されていて、それぞれデザインが異なっていました。
私はお弁当箱がそのように季節と共にあったということを初めて知りました。私たちが普段使っているお弁当箱に季節を感じる装飾はありません。ですがそこにあったお弁当箱は桜が描かれていたり、夜でも輝いて見えるように加飾されていたり、紅葉が描かれていました。また、現在のものよりも持ち運ぶことが重視されているような気がしました。

RCAとの合同プロジェクト進捗報告 Bronteチーム

RCAとの合同プロジェクト進捗報告 Bronteチーム

お弁当箱の中身もかなり小分けにできるようデザインされていて、今ほどあのプラスチックの小分けにする用のカップや串などを使わずにおかずを詰められるようになっているなと感じました。
それは余計なゴミを出さないので環境にもいいし、お弁当を開くのが楽しくなると思います。
また、季節を感じられる行事と共にこのお弁当箱たちがあったということも大切にして新しいお弁当箱をデザインすれば、それは再び季節を大切に思うことにも繋がります。
これらのリサーチも合わせて、今後はロンドンと京都と離れてしまいますが、お弁当箱についてのプロジェクトを進めていきたいと思います。

 

制作や研究の進捗

前回制作したストロー。それから私たちは考えを深めてきました。
素材のヒントは森本錺金具で見たブラシたち。ストローと合わせて「ストロー用洗浄ブラシ」についても考えていく必要があります。

またストローについて考えていると「ストローの始まり」の話を、フランス人の友達が教えてくれました。
私たちはてっきり、氷を入れた飲み物を飲むためやコップの縁を汚さないため、子どもがこぼさず飲めるようにするためにストローは生まれたのだと思っていました。しかし最初のストローは、飲み物の沈殿物を避けるために使われたというのです。
上澄みを飲みながら、少しずつかき混ぜて飲み進めるためのものでした。

RCAとの合同プロジェクト進捗報告 Bronteチーム

RCAとの合同プロジェクト進捗報告 Bronteチーム

そこで新しいストローのアイデアとして、ガラスで制作することや、お弁当箱と組み合わせること、筒であるという条件のみを守り、ストローの形自体で遊んでみることなどをBronteが提案してくれました。
江戸時代のお菓子グラフィックからエッセンスを得たようで、とても面白いなと思いました。

RCAとの合同プロジェクト進捗報告 Bronteチーム

ただ私は「ストローを持ち運ぶ」場合、その行為にはまだ高いハードルがあるように感じたので、フレキシブルに小さくなるストローを提案しました。
洗浄の面で不便さがあるかもしれないとBronteに相談したところ、再生プラスチックを使用したリユースではなくリサイクル製品とすることを提案してくれました。

RCAとの合同プロジェクト進捗報告 Bronteチーム

また、ただ飲むだけではなくゲームとしてストローを使うことを提案するアイデアも出ました。
それはお弁当箱の展示を見た際に飾られていて、サイコロで出た目の大きさの器でお酒を飲むという昔の遊びから着想を得ています。

RCAとの合同プロジェクト進捗報告 Bronteチーム

ストローをただ「飲むだけのツール」として使うのではなく、何か他の要素と合わせることができるといいなと思います。
環境のためにプラスチックゴミ撲滅の風潮が日本でも浸透してきた現代で、特にストローが真っ先に排除されようとしています。

ストローの誕生、またストローを使う様々なシーンを思うと、「ストローを排除すれば解決する」という考えは見直したいと思います。また引き続き制作を進め、進捗を報告していきます。

つづく

 

2019.12.01更新

 


 

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