呪いの儀式

京都を身につける3

To wear Kyoto
Higashitani Shion

京都を身につける
ファッションデザインコース 2回生 東谷織音

空間演出デザイン学科ファッションデザインコース2回生の授業で「京都を身につけるアイテムを作る」という課題が出されました。

15回の授業内で京都に足を向け、インタビュー・リサーチをし、京都を素材としたファッションアイテムを制作するというものです。

自分の力でもっと深く京都のことを知り、足を踏み出すことにより、新しい魅力に気づき、その発見(新しい京都の魅力)をアイテム化するという課題。
気付いていないし知ろうとしていない京都がどのような形でリサーチされ、アイテムになっていくのでしょうか。

 

呪いの儀式

私は伝統工芸であったり、京都市営バスであったり。
今回の授業で、京都について改めて考えてみました。
私は心霊スポットを調べ尽くしたことがあり、そこでふと思いついたのが、貴船神社です。

京都を身につける

京都を身につける

京都の鞍馬にある神社で、高龗神(たかおかみのかみ)という水の神様、縁結びの神様を祀っています。
また、絵馬発祥の地であり、紅葉でも有名な観光地です。
しかし、実は有名な心霊スポットで、「縁結びの神様」とは反対に「縁切りの神様」も祀られています

また、「丑の刻参り」発祥の地でもあります。
この丑の刻参りは、呪いの儀式として私のイメージにあるもの。

しかし、丑の刻参りは元々、貴船神社で祀られている高龗神が丑の刻、丑の年、丑の月に来たことから、心願行事であったそうです。
それが段々呪うということに変わっていき、イメージとしてでてくる丑の刻参りへと変化していったそうです。

ちなみに現在境内で、丑の刻参りとして藁人形に五寸釘を打ち付けている人はいないそう。しかし、周りの木を見渡すと昔の釘跡や釘が残っており、藁人形の代わりに、絵馬に「呪い殺してほしい」「縁を切ってほしい」等の言葉が書かれていました。

 

藁人形の針山

このようなリサーチから、藁人形に視点を置いた「針山」を作ることにしました。

そして藁人形について気になった私は、藁人形についてリサーチしました。
すると藁人形は、呪いの儀式に使われる道具という一面とともに、無病息災や安全祈願等に人の代わりに災難を被ってくれるものでもあるということを知りました。

藁人形は怖いものではないことを知り、どうすれば藁人形の怖いイメージを少しでも払拭することができるのか考えました。
また、針山をつくるにあたり、どうすれば五寸釘の代わりに手芸用のピンを刺すという面白さが出てくるかを考えながら制作にはいりました。

そのために、藁人形の素材をどうするかということを一番考えました。
麻縄を使うか、毛糸を使うか、刺繍糸を使うか、布絵の具で着彩するか、どれが一番コンセプトに合う素材なのかを考え、試行錯誤していきました。

京都を身につける

京都を身につける

京都を身につける

今回、この藁人形の針山を作り終えて制作を振り返ると、デザインすることやモノを考えることってすごいことで、楽しいことなんだなと思いました。
また、たくさんの色々な知識を持っておくということの重要さも改めて感じました。

私は心霊スポットを調べ尽くしたことがあるので、今回の制作にその知識は繋がったのですが、他にも京都に住んでいて貴船神社のことに詳しい人、オカルトや心霊現象が好きな人、神社の人、色々な人が貴船神社の表の面と裏の面があることを知っているはずです。
でも、そこから私のように藁人形の知識をたどり、針山を作った人はいないのではないかなと思います。

そう思うと、今やっている専門科目ではない授業や制作、プロジェクトでも、いつか何かに繋がるなと思います。

現に、私は大学内のプロジェクトで学生であれば参加することができる「お化け屋敷プロジェクト」に参加していますが、それは学科でファッションデザインを専攻していることとはあまり関係なさそうで、学業がおろそかになるのではと、やめておいたほうがいいと言われることもあります。
しかし、今回のこの授業を通してそのプロジェクトに参加していたおかげでいい案が生まれ、新しい京都の一面をファッションアイテムにすることができたと思うと、関係ないと思うことも受け入れて、何でも取り組んでいくことは大切なのかもしれないなと感じました。

また、この制作に関して、針山だけではなく、お札のようなパッケージをつけることで、より雰囲気が出て藁人形だと感じられるものに近づくのではないかと思います。モノだけでなくそれに付け加えられる細やかなデザインも大切だということも、とてもいい学びになりました。

京都を身につける

京都を身につける

 

  • 酒井先生のコメント

このピンクッションのアイデア、なかなか優れていると思います。
藁人形と正面から向き合うと、どうしたって「呪い」「怖い」しか出てこないはずですが、
そこはデザイナーです。藁人形のファッション化に成功していると思います。

ただし、ピンクッションって使う人がかなり限られています。(裁縫する人だけ)なので、広がりが少ないと考えられます。
ピンクッションだけど、ブレスレットとしてつけたくなるにはどうしたらいいかな
と考えて、もう少し続けてほしいと思います。
今でも、特定のお店で売れば一定数は売れるほどアイデアの強度はあります。
(貴船神社から、「オフィシャル認定」を受けることができれば、更に強度が出ます)

今度、友人のLinda Brothwellhttps://www.lindabrothwell.com)が京都に来るので彼女に見せたら喜びそうです。
彼女は「モノの終わり」に興味があり、研究を続けています。
たとえば、古来日本ではモノが死ぬと神さまになると考えられていました。なんかそういうことです。
ピンクッションも針の休憩所なわけだから、面白いかと思います。

 

2019.12.01更新