「HEADとの合同プロジェクト進捗報告Helenaチーム」

HEADとの合同プロジェクト進捗報告 Helenaチーム(1)

HEADとの合同プロジェクト
進捗報告 Helenaチーム(1)

京都の伝統とヨーロッパの感性から新商品を企画するヨーロッパのデザイン大学の学生との合同プロジェクト。
この取り組みは新商品を開発するため、今でも引き続き制作や研究が行われています。
前回ご紹介したジュネーブ造形芸術大学のHaute École d’art et de design Genève (HEAD)との合同プロジェクトから、現在行われている制作や研究の進捗報告をご紹介していきます。

チームメンバー Helena、溝部千花


 

他チームの記事を読みたい方はこちら

チームメンバー Netillo , 鈴木はな佳、野下七海


 

(1)_「How long time ?」

私たちは今年の8月、ジュネーブ造形芸術大学の学生と一週間共に行動し、京都の様々な職人さんの工房を訪れました。
工芸品が完成するまでの過程を見学し、藁細工と鏡の工房では私たちもその過程を体験しました。 職人さんの作業を見て、話を聞いて、私のペアのhelenaがいつも職人さんに聞くのは「How long time?」

早く、大量に。
そんな工業的な流れの中、職人さんたちは自分が納得するまで、 使い手が見ないような細部まで時間をかけて丁寧に作業していました。
手に入れたいものは、お店に行くと大体揃っていて、家を出なくてもボタン一つでものが買える時代。 身の回りにあるもの一つ一つ、一体誰がデザインして、どこでどのように作られたかなんて、私たちは日頃考えないし、知ろうともしません。
過程を知らずとも、可愛いし、使えるから。 けれど、見慣れている何気ない生活の中で、知って、体験した先に豊かさがあると、私たちは感じました。
まず、一週間のリサーチと制作を振り返ります。

 

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私たちは二日間、京都の花背という場所で活動される花背waraさんで藁細工を体験しました。
不要な藁を取り除き、藁が柔らかくなるまで木槌と石を使って叩き、編むまでの工程に1日かかりました。
汗をかきながら、木槌の音に合わせて歌ったり、Helenaの母国であるバルセロナの話を聞きました。バルセロナにも藁に似た「mimbre」という素材でできたカゴや帽子が多くあるそうです。ですがその素材は筒状のまま編んでいるらしく、とても頑丈。藁を柔らかくすることに興味津々でした。

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Helenaは二日間の藁細工の作業を体験して、藁の素材としての面白さや編む技術に興味を持ち、職人さんにお願いして藁の束を持ち帰っていました。
ホテルに帰って編んで、大学の友達に披露したいとのこと。

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また、別の日には鏡の職人さん、山本合金製作所の工房を訪れました。
普段生活の中で使うガラス鏡とは違い、寺社仏閣などに収める銅でできた鏡です。砂と粘土で作った型に文様を彫り、削ってヤスリをかける七種類の作業を半日ずつかけて行い、最後に砥石と工業用の炭で磨いて仕上げます。
私たちは鏡を鋳造した時にできる余った鋳物を磨いて鏡のブローチを作らせていただきました。職人さんの作る鏡に比べて、面積はとても小さかったですが、鏡と言えるほどまでに磨き上げるのはとても時間と集中力がかかりました。

その後も「もっと知りたい!見たい!」という彼女と様々な工房を訪れました。藁細工・鏡に加え、錺金具・真田紐・提灯・組紐・数珠・漆…。
「京都は職人が沢山いて、職人に歩いて会いに行ける町。お店に並んでいるものを見るより、観光地に行くよりも、過程を見て職人と話すことの方が魅力を感じる」とHelenaと話しました。私たちは最後に雪花絞りの職人さんの元へ。藁を染めることはできないかと、花背でいただいた藁を工房へ持ってきていました。

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色はHelenaと私の好きな赤色で。藁には灰汁が含まれているため(写真の黄色い部分は灰汁)、綺麗に染めるには苛性ソーダが必須。この灰汁抜きにとても時間がかかりました。

訪れた日は時間が足りず、若干染まった藁を持ち帰りました。その後日職人さんが1日かけて湯がいてくださり、その藁はとても綺麗に染まりました。
藁は竹と性質が似ており、火で炙る灰汁抜きなど、染まる状態にするまでの工程と時間がとてもかかるそうです。

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一週間はとてもあっという間で、ついにプレゼンの日が来ました。
私たちは二つのものをプレゼンしました。
一つ目は真田紐という昔、武士の甲冑や茶箱など幅広く使われていた紐を利用したボーダーのTシャツです。隣の人と紐を結ぶことができ、ボーダーの線がつながります。私たちはものによって、人と人、職人と職人が繋がるものを作ることを目指しました。

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一番のこだわりが、名前です。
このボーダーのTシャツの名前は、『360minutes』
これはこのTシャツを作るのにかかった時間です。
私たちは工業製品を作る時間の
流れと、作ることに時間をかけている職人さんにギャップを感じ、その過程が一番大事だと思いました。
なので、完成したものを置いて見せるだけじゃなく、かかった時間を名前にして過程を伝えることを私たちの大きな軸としました。
二つ目は『8040minutes』藁を利用したラグ/ピクニックシートです。これはまだ、最終何になるかは定まっていません。日本人の畳に座る文化-ヨーロッパの絨毯の文化。
日本人の好む自然本来の藁の色-ヨーロッパ人の好む映えた色。藁の職人-染色の職人。中で使うラグ-外で使うピクニックシート。いろんな人が使うことでいろんな文化、職人、人が繋がるものを作りたいと話しました。

HEADとの合同プロジェクト進捗報告 Helenaチーム(1)

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プロトタイプでは、そのままの色の藁と染めた藁を、織物と同じ要領で編んだものを披露しました。

使う人が続きを編む体験や、藁が痛んだり、破けてしまったところを漆や金箔で修復して何度も使えるものにするなど、その後も考えるべきだと、先生方から講評を受けて思いました。

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プレゼンの後、みんなでお好み焼きを作って食べて、夜の大文字を登りました。
汗をかきながら、ビールを飲みながら、作るものへの考えや、職人さんのこと、また恋愛の話をしたりして忘れられない時間でした。
次はHelenaの大学があるジュネーブで再会して、制作を一緒にしたいねと話しました。大きな湖があるらしく、釣りもできるよとウィンクしながら誘ってくれました。
もっといろんな世界を見て、もっともっと物作りがしたいと強く思いました。(遊ぶことももちろん)

つづく

2020.01.01更新