舞妓さんの歩いている時

京都を身につける4

To wear Kyoto
Ooga Ayu

京都を身につける
ファッションデザインコース 2回生 大賀有裕

空間演出デザイン学科ファッションデザインコース2回生の授業で「京都を身につけるアイテムを作る」という課題が出されました。

15回の授業内で京都に足を向け、インタビュー・リサーチをし、京都を素材としたファッションアイテムを制作するというものです。

自分の力でもっと深く京都のことを知り、足を踏み出すことにより、新しい魅力に気づき、その発見(新しい京都の魅力)をアイテム化するという課題。
気付いていないし知ろうとしていない京都がどのような形でリサーチされ、アイテムになっていくのでしょうか。

 

舞妓さんの歩いている時

今回の課題テーマは「京都」だったので、まずは京都といえばと自分が思うものをできるだけ多くノートに書き留めました。
そこから気になるものをまずはインターネットで調べてみましたが、私は字が沢山書いてある文書を読むのはあまり得意でなく飽きてしまうので、今回はいつもの街を歩いてみました。
実際に目で見て良い!と思うものに視点をおくことで決めていきました。

歩いてまちを観察していると舞妓さんがひきずりの裾をあげて歩いている仕草を見つけました。
また、その時にちらちらと見える襦袢の柄がとても素敵で歩いている時にしかみえないというところに惹かれ、視点を「舞妓さんの歩いている時」に絞ることにしました。

京都を身につける

京都を身につける

しかし、実際に舞妓さんのところに伺って情報を得るには敷居が高くて、なかなか近づくことができずにいました。
しかし、実は私のおじいちゃんが舞妓さんや芸妓さんの着物デザイナーをしているいうことで、まずは1番最初におじいちゃんのところにいきました。

おじいちゃんの作業場で舞妓さんの写真や本、着物の生地を見て回っているとおじいちゃんがデザインした模様紙が3枚ほどありました。

京都を身につける

京都を身につける

私はこの模様紙に興味を持ち、もっと見たいと頼むと、おじいちゃんは今までの模様紙は全部かさばるし、保管する場所がないので全て捨てているということがわかりました。
私はとてももったいない!と感じました。

しかし、私達にとってはとても貴重に感じるものでも職人さんにとってはゴミで必要ないものだと知りました。
また、模様紙は大きくて幅をとるので捨ててしまうけれど、その代わりにデザインした柄を模様紙の代わりに扇子にして残しているということもおじいちゃんを通して知ることができました。

京都を身につける

私はおじいちゃんの工房を訪れたことにより、舞妓さんが歩いている姿とおじいちゃんが着物デザイナーであるということを生かして、「ひきずりの裾をあげて歩いているようなスカート」を作ろうと決めました。

まず初めに、おじいちゃんが持っていた着物を借りて、どうやってつくられているのかを知り、それを参考にスカートを作りました。
スカートはできるだけ重くならないように薄めの生地を使いました。

一つは、巻きスカートにし、歩いた時にちらちらと見える裾の部分にはおじいちゃんからもらった着物を使いました。
もう一つは後ろにジッパーをつけて、誰でも簡単に着ることができ、着物を着ている様に見えるスカート作りを目指しました。

京都を身につける

京都を身につける

京都を身につける

私は生まれてきた時から今までずっと京都に住んでいるので、この課題が出たとき、一番自分がやりやすいのではないかと感じました。
しかしそんなことは全然なく、今まで普通だと思っていたものや場所も他府県の友達からしたら普通ではなくて珍しいということをこの京都というテーマが課されたことで知ることができました。

また、今までおじいちゃんがどんな仕事をしているのか詳しく知る機会がなかったけれど、今回深く知れたことでもっと着物のデザインについて知りたいと思いました。
着物以外の舞妓さんが身につけているものについてももっと知りたいし、それを新しい形で現代と融合させてみたいと強く思いました。
また、今回制作したスカートはまだ納得のいく形になっていないので、これから改善していきたいと思います。

 

  • 酒井先生のコメント

「舞妓」は日本人の中では特別な存在です。
その理由は「謎が多い」からではないでしょうか。
ミステリアスに惹かれています。
私たちは彼女らの素顔を見ることができないし、話す言葉も訓練されており、本音も分かりません。
外国人には「MAIKO」という言葉より「GEISHA」という言葉の方が遥かに有名ですが
彼らは舞妓と芸者の違いが分かっていません。
だから舞妓をみると「GEISHA」と言います。これは京都市民としてはけっこう残念なことのように思います。くやしいというか。
なので、ここから10年は「MAIKO」を外国人に知ってもらう動きがあってもいいと思います。
今回のこの制作はそういう意味でも、興味深いです。

ただ、最終成果物にせっかく獲得した「独自の視点」が表れていないように見えます。
これではただの巻きスカートです。
ではなく、自分で書いているように「舞妓さんが歩く時に着物をくいっと持って歩く」という行為を成果物に反映させるように、もっと創意工夫が必要で、そこがデザインの面白いところだろうと思います。

 

2020.01.01更新