職人
interview
22

パステル

パステルの職人
山登 大輔さんにお話を伺いました。(1)

Traditional Craftsman
interview 22
PASTEL CRAFTSMAN
OHKAN Chemistry Industrial Company
YAMATO DAISUKE
パステル
山登 大輔

ビジュアルコミュニケーションデザインコース2年
川口 水萌

王冠化学工業所は「パステル」を専門で作る、日本唯一の工業所。
始まりは、一人の画家からの依頼からでした。「日本の風景を描くため」に生まれた王冠化学工業所の「ゴンドラパステル」。そのたくさんの色とフォルムは、一目見ただけで心がわくわくします。
創業当時からの色作りを続けている王冠化学工業所の工房には、長年の色が重ねられています。
4代目の山登大輔さんに、パステルの魅力についてお話を伺いました。

 

(1)_ 「美しいもの」が好きだった

パステル

創業されて何年ですか?

創業は1919年で、今年でちょうど100年ですね。
創業者が私の曽祖父で、私は4代目です。

 

お仕事を継ごうと思ったきっかけはなんですか。

昔から化粧品とか、香水とか、「美しいもの」が好きだったんです。
自分が作るとは思っていなかったんですけど、携わるのは面白いかなって。
考えてみると、そういった化粧品とパステルって、遠いようで近いような、あまり離れていない気もしますね。

 

パステルを作る経緯を教えてください。

100年ちょっと前になるんですけど、矢崎千代二という画家さんがいらっしゃったんです。その方が海外に留学された時にソフトパステルに出会われたんです。
彼はもともと油絵を専攻されていたんですけど、ソフトパステルの魅力に魅せられたそうです。
そのあと帰国して、パステル画家になられたんですが、100年前の日本には輸入品、もしくは品質のよくないクレヨンのみしかなくて。
つまり、国産のパステルがなかったんです。
日本でも使いたいし、ソフトパステルを普及したい、ということからうちの創業者に声が掛かりました。
詳しくは残されていないんですけど、元々創業者は絵のことに関して、水彩絵の具の仕事をやっていたみたいです。

 

”創業当時”をベースに

パステル

パステルの素材はなんですか。

他の絵の具もそうなんですけど、顔料という色の粉をベースに作ります。
そこに何を足すかによってどんな絵の具になるのかが変わってきます。
油を足すと油絵の具、水とノリを足すと水彩絵の具。
パステルは特に決まりはなく、大きく分けるとソフトパステルとオイルパステルに分かれます。
オイルが入っているものが身近なものでいうとクレヨン。
私たちが作っているのはソフトパステルです。
白い粉と顔料を混ぜ合わせて、ノリと一緒に練り上げる。
創業当時のものをベースとして、処方に沿って色を調合します。
使ってる機械も創業当時から同じものを使っています。

 

一つの色を作るのに、どれくらいの顔料を使うんですか。

単一顔料で作られた色はほとんどないですね。
本来は単一で作ることが多いみたいですけど、うちは混色が最も多くて9種類の顔料を混ぜてます。
それは創業者の処方がそうだったからで、少し藍色を混ぜて濁らせてみたり、そういうのが多いんです。
あとは緑を作る時でも、緑の顔料は使わずに青と黄色で混ぜて作ったりします。
混色が多いと、色が深くなるんです。

 

色の並べ方に意味はあるのでしょうか。

基本的には色相環のグラデーションです。
通常は赤色から始まることが多いですが、うちの場合は紫から始めています。

つづく

 

2020.02.01更新