職人
interview
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パステル

パステルの職人
山登 大輔さんにお話を伺いました。(2)

王冠化学工業所は「パステル」を専門で作る、日本唯一の工業所。
始まりは、一人の画家からの依頼からでした。「日本の風景を描くため」に生まれた王冠化学工業所の「ゴンドラパステル」。そのたくさんの色とフォルムは、一目見ただけで心がわくわくします。
創業当時からの色作りを続けている王冠化学工業所の工房には、長年の色が重ねられています。
4代目の山登大輔さんに、パステルの魅力についてお話を伺いました。

 

(2)_ 「日本の風景にあった配色」



海外製のパステルとの違いはありますか?

一番の特徴は色数と長さです。
矢崎千代二さんからのリクエストが二つあって、一つめが「日本の風景にあった配色」が欲しいこと。
国によって色の配色が違うみたいで、海外製のパステルを横に並べると、やはり違うんです。
私たちのパステルは全体的に色相が低くて、落ち着いた色合い。
山を描いたりするので、色数も緑が豊富だったり、そういった日本の美しい色を集めた配色が特徴です。

二つめが、「パステルの長さ」です。
矢崎千代二さんが、旅をしながら絵を描かれていたんです。
ですので、できる限りたくさんの色を持ち運べるようにするために、長さを半分にしてくださいとリクエストされました。
長さが通常の半分だと、自分が50色持っていたら、持てる色数が倍になるわけです。

 

色を決定する理由はありますか?

100色から242色に増えたのは、創業者の時なんです。
僕たちはあまり色数は増やしていなくて。
ただ、色を増やすっていうことはなんとでもできるんです。

 

日本の和色、海外の色の違いはどういうところでしょうか。

日本に四季があるから、っていうのもあるかもしれないですね。
人は育ってきた環境によって色の見え方が変わってくるんです。
日本には四季があるというのが大きいかもしれないですが、同じものでも季節により見え方が変化します。
特に山が豊富なので緑系や赤系を日本人は細かく見分けられるのかもしれません。

パステル

 

色に正解なんてない

パステル

242色には名前がないというのが素敵ですね。

学校で、肌色を塗りなさいって言われたら、みんな「正解の肌色」を探します。
でも実際は人によって肌の色は異なります。
つまり、色に正解なんてないんです。
本当はみんな色に関心はあったと思うんです。
でもだんだん正されていったり、「用意されたもので当たり前」だと思うようになったりする。
242色あったら、自分の中の「肌色」を選べるじゃないですか。

 

パステルと他の画材の違いはなんですか。

パステルは顔料そのものを固めてるので、「そのままの色」が出せるんです。
例えば、アクリル絵の具だとその上に膜が張ってるわけですから、屈折して艶が見えたりしますよね。
あとは描くときに直接手にとって、指でぼかしたり、自分で変化を生み出せるのは特徴です。
あとは、描く画用紙のざらざらした質感が残ること。
パステルを使われる方は、紙の色めの深さなども含めて、絵を描かれる方が多いですね。

 

パステルの魅力とは。

一般の方からみると画材って結構高価なものなので、「クレヨンと何が違うの?」と聞かれることもあります。
でも実際に試してもらえると、汚れるけども、触れてみると面白い。
ぼかしてみたり、手で混ぜることもできるし、いろいろな表現ができる。
多くの人が12色鉛筆とかを使って育ってきているから、赤は赤、青は青、という決まったイメージがあると思うんですが、私たちの作ってるパステルの色数でいうと、赤と言ってもたくさんあるんです。
それだけ色というものは豊富だし、決まった色ではない。
むしろ自分で作ることができるものなんです。
京都の歴史と色をモチーフにした京色パステルという商品は、既存の赤とか青ではなくて、物語と一緒に楽しんでもらえるものなんです。
例えば、色名が「保津川ソーダ」であったり。
色と一緒に文化を学んでいける商品なんです。

おわり

 

2020.02.15更新