京都文化
サブイボ通信
7

“おもしろい” ってなに?
学生による授業レポート

基礎美術コースの学生は今までのサブイボ・トリハダ通信のように5週間をかけて1つのお稽古や授業をすることで学んでいますが、例外として、金曜日の午前中には年間を通して学んでいる授業があります。
2回生の後期の授業は“ゲームデザイン”今までの記事を読まれていた方の中には、えっ?と思われる方もいるかもしれません。
一見、今までの授業に共通していた伝統文化や京都のことからかけ離れているようなイメージがありますが、実はそこに私たちがずっと探し、学んでいる“基礎”が潜んでいるのです。

 

(4)_ 陶芸(楽焼)ゲーム

前回、私のチームが制作した陶芸(樂焼)をテーマにしたボードゲームを最後にお見せしましたが、今回はそのゲームの内容を少しご紹介したいと思います!

 

その1 土を掘る

まず、樂焼の授業で私たちが土掘りからはじめた経験から、土掘りの工程をゲームの第一段階とすることにしました。
土カードには赤土、白土、黄土の3色の土カードがあります。

京都文化サブイボ通信

この時、土の本来の性質が形成の際に重要なことから、ゲーム内でも赤→白→黄の順で有利な条件の特典がつくことになっています。
しかし、条件が有利な分だけ、土を獲得できる確率も低くなっていくように設定されています。

土カードは1色のにつき、20枚あり、空のバケツの絵が表に。
裏に土が入っているバケツの絵が描かれていて、20枚のうち、赤土には8枚、白土には5枚、黄土には3枚、両面共に空のバケツが描かれているカードが存在します。
3色の土カードから好きな色のカードを選ぶのですが、選んだカードの色の土を全員最初に2kgは獲得することができます。

空のバケツの絵が描かれている方が上になるように配置し、好きなだけカードをめくることができます。めくったカードの枚数=1kgの土と換算します。もし両面共に空のバケツの絵が描かれたカードをめくってしまった場合、その時点で、手持ちのカードが全て0になってしまうので、ドキドキ、ヒヤヒヤしながら次の一手を考えなければなりません。

1人2回繰り返すチャンスがありますが、実際に土を掘りにいくのも、土の当たりハズレがあって、難しいのです…
是非、ゲームで難しさともどかしさを味わってもらえたらな、と思います!

 

その2 形成する

次に、形成です。
本来、形成の前には土を練ることなど、様々な工程がありますが、ゲームにあまりにも細かい段階を入れすぎると、誰でもすぐに遊べるような楽しさが薄れてしまうと思い、メインの工程のみをゲームに取り入れるという形にしました。

先ほど、土の色の種類によって条件の有利があると言いましたが、形成できる茶碗の個数や、茶碗を焼くという工程での効果の種類にそれが反映されていきます。

京都文化サブイボ通信

カードの左上に書かれている色と、kgが持っている土の色や量と当てはまるものであれば、形成することができるのでですが、上の写真で紹介するカードの他にも、単色の土のみ獲得することができるカードも存在します。

選んだ形成カードを一枚貰い、さらに、自分の持っている土の量から形成することができる個数分の茶碗の駒を受け取って、形成段階は終了です。

個人的に一番作るのが大変だった茶碗の駒たち。UVレジンで制作しました…60個。

 

その3 窯入れ、焼き

次が最後の、窯入れと焼きの段階です。

京都文化サブイボ通信

焼きカードという正方形のカードを自分の茶碗と同じ枚数だけ受け取り、相手には見えないように手札を確認します。
焼きカードには、自分の茶碗を中心として、周りのどこの茶碗が割れてしまうのか、また自分も巻き込んで割れてしまうのか、自爆なのかが書かれています。

手札をよく見て悩みながら、焼きカードに似ている、長方形の釜ボードのマス目に全ての茶碗を配置します。
全員の配置が終わったら、発動する焼きカードと、発動する茶碗を1つ選び、茶碗の駒をわかりやすいようにひっくり返します。発動する際は、そのカードを相手にも見せて発動し、お互いの茶碗を割り合います。

思い出してください、このゲームの名前を…
〝職人になりたくて窯元に入門したのになぜか茶碗がたくさん割れていく〟
これは、茶碗を割るゲームなのです。

京都文化サブイボ通信

土を掘ることから始まって、大切に大切に時間と手間をかけて作ってきた茶碗は、最後の焼きの段階で、釜に詰めた瞬間から、焼きあがるまで、手をかけることができないのです。
火の温度や、その時の状態、湿度、様々な要因で、突然割れてしまうことがあります。

自分の茶碗だけならばまだしも、隣で焼いていた他の人の茶碗まで、爆発に巻き込まれて割れてしまう連鎖が起きることもあります。
そんな無慈悲な…と思いたくなる気持ちもありますが、そこが陶芸の面白いところでもあり、難しいところだと思います。
ゲームではその部分を最後の大勝負へと持っていくことにしました。

途中少し述べたように、全ての陶芸の工程をゲームに取り入れることは今回はできませんでした。
しかし、ゲームを通して、陶芸に少しでも興味を持ってもらうきっかけができたり、少しでも面白い、楽しい、難しい、などいろんな発見をしてもらえたらな、と思いわたちのチームは制作しました。

次月号でこのボードゲームの記事は最終回です。他のチームのゲームを紹介しながら、振り返っていきたいと思います。

つづく

 

2020.03.01更新