職人
interview
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七宝

七宝の職人
室井 麻依子さんにお話を伺いました。(1)

さまざまな表現方法ができる七宝の技術を扱い、 ジュエリーを制作している「ヒロミ・アート」。
こちらの工房の一員として七宝をされている、室井麻依子さん。
彼女の七宝との出会いは、学生時代のとある授業でした。
「量産品よりも一つのものを大切に作りたい」という思いから、 地元を離れ、京都の工房で七宝をされています。

室井麻依子さんに、七宝の魅力についてお話を伺いました。

 

(1)_「色を綺麗に出す」

七宝

七宝とは、どんな技術でしょうか。

七宝は金属工芸になるので、金、銀、銅など、 こういった金属の上にガラス質の釉薬を載せて造形します。
私たちは「色を綺麗に出す」ことを大切にしているので、銀の板を使った「銀七宝」を作っています。
工程としては、まず、土台となる銀の板に透明な釉薬をのせて下焼きをします。
その後に高さのある銀線を折り曲げて壁を作り、 これで色分けをして、模様を付けていきます。
釉薬もさまざまな種類を組み合わせて色を作ります。
七宝の中でも、この金属線を使う技法を有線七宝といいます。

 

焼いたり、色を乗せたり…すごくたくさん工程があるんですね。
京都でのものづくりでは分業制が特徴ですが、七宝の作業も分業なのでしょうか。

基本的に私たちは全員が全工程をできるようにしています。
最初は下焼きを綺麗にできるようにになることからです。
素地の時点でちょっとでも左右のズレがあったりするとカッコ悪いので、 細部に気を配りながら全体を見るように気をつけています。

 

釉薬はどんな素材ですか?

色ガラスの塊を、好みの荒さに砕いたものです。
粒子を細かくすればするほど繊細な部分にも乗せられますし、 柔らかい半透明な色になります。
粒が大きいほど透明度は高いんです。

 

表現を制限されない工芸

七宝

釉薬の色数は何種類くらいあるのでしょうか?

メインで使う釉薬と、あまり使わない釉薬で分けて保管しているんですけど、 あわせると何百種類以上ありますね。
釉薬は透明なものと不透明なものがあるんですが、 透明色だと水彩絵の具みたいに青と黄色を混ぜて緑を作ったり、 赤と紫を混ぜて「赤っぽい」紫にしたり。
工房にある釉薬の中からさらに色を作り出せるので、 自分の表現を「制限されない」んです
光の透け方を利用して、立体感を出したり奥行きを出したり…。 釉薬だけでもいろんな表現ができます。

 

作り手の方によって雰囲気も変わってくるんですね。

そうですね。
それぞれの素材の使い方であったり表現であったり…。
ちょっとした釉薬の厚みひとつで、同じ色を使っても、まったく同じものはできないです。

 

室井さんが思う、七宝の魅力は何ですか?

七宝を始めたきっかけは色の綺麗さだったんですけど、 今は「なんでもできる」ことだと思っています。
扱うものは気難しい素材ではあるんですけど、 自分が七宝で何か表現したいと思った時に、選択肢が無数にあるんです。

 

こちらの工房の「つよみ」はなんですか。

元々あるパーツを使っていては、みんな同じ大きさ、形のものしかできないので、 そうだと面白くないな、と思っていて。
金属加工技術があるというところを活かして一から形、デザインを作る、という点にこだわっています。

つづく

 

2020.03.01更新