
“おもしろい” ってなに?
学生による授業レポート
基礎美術コースの学生は今までのサブイボ・トリハダ通信のように5週間をかけて1つのお稽古や授業をすることで学んでいますが、例外として、金曜日の午前中には年間を通して学んでいる授業があります。
2回生の後期の授業は“ゲームデザイン”今までの記事を読まれていた方の中には、えっ?と思われる方もいるかもしれません。
一見、今までの授業に共通していた伝統文化や京都のことからかけ離れているようなイメージがありますが、実はそこに私たちがずっと探し、学んでいる“基礎”が潜んでいるのです。
(5)_いけばなと禅のボードゲーム
前回は、私の所属していたチームが制作した、陶芸(樂焼)がテーマのボードゲームについて紹介しました。
今回は、残り2チームについて紹介したいと思います!
いけばなのボードゲーム
まず、チーム:アジア が制作した“いけばな”がテーマのボードゲームです。
いけばなの中でも、いけ花、たて花と呼ばれている様式のものを私たち基礎美術コースでは、1年生の一番最初のお稽古と、2年生の秋に2回経験しています。
いけ花については、サブイボ通信に1年生の頃の授業アーカイブがありますので、よろしければそちらもご覧ください。
いけ花のゲームは、最初に花入を選び、そこから花のカードを組み合わせて、実際に花入に花を生けるゲームです。
パーツが平面のカード状ですが、花の組み合わせ方や彩にプレーヤーそれぞれの性格や好みが現れているようで、プレイしている人だけではなく、周りで見ている人からもとても面白いゲームでした。
花のパーツはなんと全120種類!
全てアナログの手描きで作っているのだそうです。すごい…!
お題カードには四季や時代もあり、最後に花についてのカードを確認することができるのですが、花の特徴によってさらに得点が増減されたりと、ゲームを繰り返すことでお花に詳しくなることができる気がしました。
実際、私も1度プレイさせてもらったのですが、何度も繰り返しプレイしたいと感じたり、このゲームをやり込んでお花に詳しくなりたい!とも思いました。
先生方からも絶賛の一作です。
禅(転生) のボードゲーム
次にご紹介するのはチーム:CO2
転生ゲームです。禅の体験が元になっているのだそうです。
禅と聞くと、素朴な感じがしますが、なんとこのチームのゲームはパッケージも本体もとてもポップなデザインと色彩で、かわいいのです!
LIFE OF SOU…パッケージを見ただけでも、これはなんのゲームなのだろう?と、一度手にとりたくなりますよね。
歴史上の人物の人生を辿りながら、何度も転生を繰り返していくゲームで、この人はそんな生涯を辿っていたのね!といった発見があったり、なかなかうまくいかない人生に悩まされたり…
人生の大変さ、喜怒哀楽を体験できる不思議なゲームでした(笑)
転生を繰り返していくので、一回のプレイ時間が長く、じっくりとゲームをやり込みたい人にオススメだな、と感じました。
私たち基礎美術コースは1年生の冬に、京都、妙心寺退蔵院さんへ禅合宿に行くのですが、その経験からこのゲームが生まれたそうです。
経験を共有するということ
この半年間、私たちは面白いってなんだろう?ということを見つけることからはじまり、ボードゲームを制作することで今回の授業を終えました。
最初は日常の中で見つけた面白いことを他の人に共有したいという気持ちを持っていましたが、ボードゲームをいざ作ってみると、今まで経験してきた中での面白いことは勿論ですが、失敗したこと、苦手だったこと、次に繋げたいこと、挑戦したかったこと、など様々な経験を思い出し、ゲームの中で共有することができたと感じています。
自分たちの経験があってこそ、失敗したことの難しさをゲームに取り入れることができたり、経験したことをゲームにするためにもう一度過去の経験を見返すことができたり…
よく、人に勉強を教えることが自分の勉強にも繋がる。という話を聞きますが、制作することも、他者への共有と自分たちの経験の整理、進展へと繋がると思いました。
仕事と遊びの違いは何か?
と、この授業の一番最初に先生から尋ねられたことを覚えています。
ボードゲームは遊びです。
勉強や仕事は遊びではありません。
仕事、勉強、遊び、それぞれに共通するものはありますが、遊びは面白さ、楽しさ、強制されることなく自分から楽しむ気持ちがあるもの、だと感じます。
今回、各3チームが制作したボードゲームは基礎美術コースでの経験がぎっしりと詰まっている、学びのゲームだったと感じますが、どれももう一度プレイしたい!と思えるような種が仕組まれていて、その点では遊びという最大のポイントに辿り着くことができたのではないでしょうか。
今後、改善を繰り返すことで、もっと面白いものへと進化していく気がします。
一見、ボードゲームと聞くと、基礎美術コースの内容からかけ離れているように感じた方もいらっしゃったと思いますが、どうでしょうか。
これもまた、“基礎”と言えるのだと、今では思います。
おわり
2020.04.01更新