
京都伝統伎芸復興財団
舞妓、芸妓さんの存在は知っているけど
どんな生活を送っているのか、どれだけの職人さんが関わっているのか
私たちにとってそれは謎に包まれたままでした。
日本に昔から変わらず残る文化であり
海外からも反応の大きい文化であるのに
日本人のほとんどがその実態を知らないのではないでしょうか。
そんな“気になる”気持ちから
舞妓さんの頭の先から足の先まで徹底解剖する企画がスタート。
この記事を通して、日本に残った文化“美しい謎”を一緒に解明していきましょう。
第9回
京都伝統伎芸復興財団 榎本 直樹さん
第9回は前回に引き続き、京都で芸事をしている方々を支援する、京都伝統伎芸復興財団の榎本さんに花街のお話を伺いました。
御座敷遊び
突然ですが皆さんは御座敷遊びと呼ばれるものをいくつご存知でしょうか。
御座敷遊びとはその名の通り座敷にあるものを使って遊びをするので
特別な道具などはなく、肘掛けや机、屏風や茶しきなどが使われるそうです。
基本的には“とらとら(和藤内)”と“金比羅舟々”の2種類があります。
とらとら(和藤内)
簡単にいうとジャンケンです。
お互いの姿が見えないように屏風を立てて三味線に合わせてポーズを決めて出てきます。
これは近松門左衛門の浄瑠璃「国性爺合戦」という話が用いられており、
和(日本)と唐の間に生まれた人物が、猛虎(もうこ)を従えて虎狩りの兵士を降伏させる話なので“とらとら”と呼ばれています。
また“和藤内”という呼び方もあり、主人公が和と唐の間に生まれたことを
洒落にして呼んでいたとも言われています。
金比羅舟々
〽 金比羅舟々、追風に帆をかけシュラシュシュシュ~
このフレーズ、どこかで聞いたことはないでしょうか。
地方さん(三味線などを演奏する人)が唄う音色に合わせて2人向き合って遊びます。
お椀のようなものを間に置き、曲に合わせて交互にお椀に拳を重ねます。
どちらかがおわんをとった場合はもう片方は拳をグーにしてお椀があった場所に置き
これを繰り返して、出し間違えた方が負けとなります。
基本的なルールは分かっていただけたでしょうか。
どちらの遊びも簡単ではありますが、舞妓さんや芸妓さんを前にすると
少し緊張してしまうかもしれませんね。
舞妓さんのお化粧
次に舞妓さんのお化粧についてです。
舞妓さんは基本的に御座敷へ向かうときは自分で化粧をしますが、
京をどりなどの舞台に立つ際はプロのメイクさんに化粧をしてもらいます。
その時に使われる化粧品についていくつか紹介します。
眉
赤と黒の二色を使い
専用のハケでぼかす
目元
赤いアイシャドウは舞妓さんのうちはつけない(現在はつけていることもある)
頬
部分によって
明るさを使い分ける
口紅
水で溶かし、筆で馴染ませる(舞妓さんになって1年目は下唇に紅を塗らない)
最後に、おおきに財団さんとして
舞妓さんや芸妓さんはどんな存在であるかを伺うと、
「花街は京都を象徴とする文化であり、私たちはその発信者になります。
京都と言われて多くの人が舞妓や芸妓をイメージすると思うんです。
この京都文化を発信していくと同時に守っていきたいです。」
二回に渡って舞妓さんや芸妓さん、花街について詳しく伺ってきました。
最後の質問で榎本さんが仰っていた通り、
伝統や文化が廃れないためには次の世代に受け継いで行くことが必要です。
しかしただ受け継いで行くだけではその文化は形が変わり廃れていってしまうと思います。
どんな伝統工芸、文化にも言えますが、
“次世代へ受け継ぐ=守り抜いていく”という認識を忘れてはいけないと思いました。
おわり
2020.05.01更新