職人
interview
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手描友禅の職人
上仲 正茂さんにお話を伺いました。

昔から「着物に関わる仕事をしたい」と感じていた染工房正茂の上仲さん。 高校で日本画を学び、手描き友禅の道へ進みました。

「手描き友禅はオーダーメイドだからこそ、“その人のために”作れる。」 手仕事だからこそできる、手描き友禅の魅力についてお話を伺いました。

 

「理由」を知ること

地域によって、モチーフにも違いがあるのでしょうか?

だいたいは変わらないと思うんですけど、表現の仕方が違うので、 雰囲気が大きく変わって見えるんですかね。 現代ではそこまで差はついてきてないように感じます。 昔ほど明確にされてはいないものもありますね。 先生のように京友禅と加賀友禅をミックスさせた作風もありますし。 地域が変わってもやってる技術自体は変わらないです。

違いがなくなっているのは、時代によって変化したのでしょうか?

そうですね。現代では着物を着る需要も少なくなってきているので…。 昔から描いている草花ものは問屋や小売屋さんに在庫もありますし、 着ていく機会や場所も限られてきていますから。 草花ものは季節感が出てくるので、「いつでも着たい」っていう方は季節感がないものを選ばれたりします。

手描き友禅の魅力とは?

手描き友禅はオーダーを受けてから絵を描くので、一点ものが多いんです。 だからこそ「その人のために」作れる。 原点でもありますし、そうじゃないと良さが出てこない。型染めやインクジェットがあれば、きっと似たようなものは作れるんです。 でもそこで「どこが違う?」と言われたら、知らない人だとわからない。 売ってる方も、買ってる方も、今はなんでこんなに高いのかって言う「理由」を知らないことが多いんです。 悪いわけじゃないですけど、ファストファッションが主流になって、 柄があること自体が身近で普通に感じている。 プリント自体が安いものとして浸透しているからこそ、 手描き友禅の値段とのギャップが生じるんですよね。

技術自体は変わっていない

着物について知識がない、触れる機会が減ったからこその問題ですよね。

インクジェットも手描きも、それぞれ良し悪しがあります。 レンタルだったら洗えたほうがいいし、数も必要ですから。 だけど、手描友禅の着物もある、っていうことを知っていただきたいですよね。 選択肢の一つとして、挙げていただきたいんです。 レンタルで何十万円する着物もあるじゃないですか。 でも、作るってなったらそれくらいの価格で作れたりすることもあるんです。 業者を通せば高くなりますけど、作り手に直接声かけてもらえたら。今はそういう作り手もいるんです。 この色で、この柄で、っていうので自分だけの着物が作れるし、 レンタルの「ある中から選ぶ」とはまた違った良さがあるのかな、と思いますね。

京都ってどんな街?

やっぱり…新しいことをしていて、「革新的なことをしている」と思っていても、 結局技術自体は変わっていないなあって思うんです。 そう思うと結局は「保守的」なのかな、と。崩さずに続けてる。 僕も素材を変えたり、革に友禅をやってみたりしているんですけど、 でも、一方では頑なに守り続けてるところがありますね。 ずっと新しいものを作ったり、新しい素材にやってみたりして、 「新しいことやってるな」って自分では思っていたけど、 結局やってることは変わってないんですよ。 手描き友禅の技術自体は変わっていない。

Old Is Newについて

それこそ技術は変わってないけど、ものだったり柄が変わっているところですかね。 友禅をするものの「選択肢」が広がっているから、友禅に触れるきっかけが必ずしも着物じゃなくなっている。 そういうことはOld is newかもしれないですね。

 

おわり

 

2020.06.01更新

Traditional Craftsman
interview 26

YUZEN CRAFTSMAN
SOMEKOUBOU MASASHIGE
UENAKA Masashige

Text by Kawaguchi minamo
Photo by Nakata Kenta

「職人interview」#26
染工房正茂 手描友禅
上仲 正茂

文:
川口 水萌(ビジュアルコミュニケーションデザインコース 3年)

撮影:
中田 拳太