職人
interview
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仏具の職人
冨田 睦海さんにお話を伺いました。

ご兄弟で仏具を手掛けられている冨田工藝さん。
お兄さんの珠雲さんが仏像を担当し、弟の睦海さんが仏具を担当されています。
今回は「参られる人たちが手を合わすもの」を形作る
冨田工藝 冨田睦海さんに、手仕事ならではの魅力を教えていただきました。

 

得意とする分野を極める

創業何年でいらっしゃいますか。

明確な創業年数は出ていないんですけど、
祖父の代から、戦後に兵庫県から京都に来ているんです。
昭和 21、22 年くらいからかな。兵庫県の方でもやっていたので、そこも含めて 90 年から 100 年くらいです。

 ご兄弟で作り手として活躍されているんですね。

ぼくらは 3 人兄弟でやってて、私が三男。3 人とも仏具の仕事に携わっています。
次男と私がこっちのお店、工房で作っているんです。
ここでも作業はするんですけど、大きいものの作業をするときなんかは彦根の工場でやったりもします。

お店の奥に工房があるんですね。

ここは工房兼アンテナショップというか…。
自分たちの作ったものと、他の職人さんたちのものを置いたりする場所です。
地方のものづくりは 1 から 10 を一人で仕上げる流れが主流ですけど、
京都って分業制ですから、京都は彫刻は彫刻の人、漆を塗る人、金箔を施す人…って、
それぞれ専門の方がいらっしゃる。なんでそういう風になっているかっていうのは、
「自分たちが得意とする分野を極める」っていう考え方が受け継がれてきてるからかな、と。
そうやって築かれてきた技術が合わさっていくと、1 が 2 に、3 が 4 に…っていう風に高まっていく。
そういうところから、他の職人さんの物も見てもらえたらいいな、と思っているんです。

 

人が手を合わせるもの

ご兄弟での仕事の分担などはされているのでしょうか。

兄の方は仏像を中心にやっているんです。仏像と仏具っていうふうに分かれてます。
もっと噛み砕いて言うと、兄は大きいものが得意なんです。
大きいものもあれば、小さいものもあるので、簡単に言うと大きさで分かれてたり。
仏具の中でも、特に私たちはお位牌を主力でやっていますね。
仏具の世界の中で、仏像を彫る人は、いわば一つの華型なんです。
仏像を作る人のことを「仏師」っていう名前で呼んだりしますから。
だけどお寺に行ったら、仏像以外のいろんな彫刻のものってあるじゃないですか。
だから、他の人はそれぞれの「職人」なんです。
そういう意味での業界側の位置づけがあるんですよね。
でも、いざ実際我々職人からすると、同じ彫刻刀も使うし、同じ作業をする。
作業性はなんら変わらないんですよね。変わらない作業性の中で、
なぜそういう位置づけになるんだろうな、っていうのはありますね。
私たちは兄弟でやっているし、職人側からしてみたら、何も難しさも変わらないことも知っているからこそ、
仏像も他の仏具も一緒の位置づけだ、と考えています。 だけど、共通で持っている軸があるんです。例えば、お寺行ったとき、手を合わせますよね。
お家にお仏壇があったら、何に手を合わせます?

それこそ、お位牌ですよね。

そう。お位牌に手を合わせるでしょ。
だから僕らは「参られる人たちが手を合わすもの」っていう一つのカテゴリーな訳で、
言い方を変えたら、仏像は「宗派」の象徴。浄土宗とか臨済宗とかね。そして、お位牌は「個人の方」の象徴。
そういう意味で、価値観っていう言葉が正しいかはわからないけど、それは変わらないものだから。
それらを同じ目線で見てますよ、っていうことを共通として持っていますね。

大きいもの、小さいもの、それぞれ作る際に使う道具は同じなんでしょうか。

最終的にはほとんど変わらないですけど、ノミは小さいものには使わないですね。
木の重さによっても変わってくるんですけど、一人で動かせられるものと、
何人かじゃないと動かせられないものによって作業は変わってきます。
それはどの職人さんの分野でも一緒ですよね。僕らは立ってする仕事と座ってする仕事がありますね。
職人さんのイメージって、座って黙々と作業するイメージがあるじゃないですか。
だけど大きいものなんかは、座ってじゃ作業できひんよね ( 笑 )。

 

つづく

 

2020.07.01更新

Traditional Craftsman
interview 27

BUTSUGU CRAFTSMAN
KYOUBUTSUGU
TOMITA KOUGEI

Text by Kawaguchi minamo
Photo by Nakata Kenta

「職人interview」#27
冨田工藝 京仏具
冨田睦海

文:
川口 水萌(ビジュアルコミュニケーションデザインコース 3年)

撮影:
中田 拳太