京都文化 サブイボ通信 #12

04「練って練って練りまくる」

前回のサブイボ通信は、ナカガワ胡粉絵具株式会社さんの見学レポートでした。
ナカガワ胡粉さんではイタボ牡蠣が“胡粉”になるまでの製造工程を教えていただきました。今回は、その胡粉をどうやって使用していくのか。というところを、ニッポン画家の山本太郎先生に教えていただきました。

 

胡粉を溶いてみよう

今回は、2、3人ずつのグループで胡粉を溶いていきます。
まず、乳鉢に胡粉を適量入れて、乳棒でざらついた感覚がなくなるまですりこんでいきます。
この工程は“空ずり”と呼ばれています。

胡粉はヒビが割れやすく、剥離もしやすい性質なので、この一つ一つの細かな工程が大切になっていきます。
大変な作業だけれど、ちょっと楽しい。

空ずりをした胡粉に少しずつ膠液を混ぜ、かたまり…胡粉団子になることを目指します。
膠液を混ぜるとサラサラしていた胡粉がくっついてきます。

この膠液を混ぜる作業を繰り返すと、乳棒に胡粉がまとわりついてきます。
しかし、私たちのグループは膠液を少し入れすぎてしまい、写真をみていただくとわかるのですが、まとまるはずが艶々の液体に……。

救世主、山本太郎先生登場!!片手には胡粉!
さっと現れ、胡粉を足してくれました。
初めての作業なので優しい。

先生のおかげで良い感じに私たちのグループの胡粉もまとまり、今度は指で練っていきます。人の耳たぶぐらいの柔らかさがちょうど良いと言われています。
自分たちの耳と胡粉の柔らかさを比べながら練っていきます。
丁度いい柔らかさだな、と感じたら、丸めて白いお団子のような形にして、乳鉢に叩きつけます。
この工程を“100叩き”と言います。
その名の通り、100回近く、何度も何度も叩きつけて空気を抜くのです。
ちょっと作陶の時の土作りを思い出します。
そして白玉みたいで美味しそう。
こうすることで、膠がきめ細かく胡粉に染み込むのだそうです。

掌にしっとりと馴染むような具合になってきたら、あく抜きをします。
表面の面積を広く取るために両手で紐を作るように伸ばしていきます。
工程も多く、大変だけれど、やっぱり楽しい。
お団子作りからうどん作りに変わってきたような感覚。小さい頃の粘度遊びっぽい。

紐状に伸ばしたら、乳鉢に入れて、そこに人肌だとちょっと熱いな…と思うぐらいの、50℃前後の熱湯を注ぎます。
5分ほど漬けておくとあくが抜かれます。

そしたら、お湯を捨て、指感触のつぶつぶ感がなくなり粘り気が出てくるまで再び練り込みます。使うときは、絵皿にとって、少しずつ水を加えながら指で混ぜていきます。

胡粉を使うまでには、とにかく練って練って練り込むことが大切だということを知りました。感覚がとても作陶の土作りに似ていて、一手間にかける時間と、一手間にかける思いの量で作品の味が変わっていくのではないか。と感じました。(後日、肩が少しこりました 笑)

それに、完成した絵具は一滴たりとも無駄にはしたくない。という気持ちも芽生えます。以前、基礎美術コースで漆芸を教えてくださっている新宮先生が『漆一滴は血の一滴』という言葉をおっしゃっていました。それほど大切なもの。という意味です。
その言葉を今回、ふと思い出しました。自分たちで作って調合した絵具も、これから様々な制作の場面で一滴であろうとも、それぐらい大切に大切に扱っていきたいと思います。

今回で、日本画の基礎ともいえる技法や絵具のお話は終わりです。
次回からは、2回生の時に受講した山本太郎先生の“写し”の授業のレポートになります。
“写し”とは何なのか? ということを考えながら、学び、制作していく様々な絵画表現をお楽しみに。

 

つづく

2020.08.01更新