職人
interview
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おりんの職人
南條 和哉さんにお話を伺いました。

澄んだ音色で、心地の良いおりんの音。
その音を作り出すために、様々な工夫と研究がされていました。
今回お話を伺った南條工房さんは、まさに「おりんを作るために構成された工房」。
おじいさまから代々受け継がれてきた技術が、ギュッと詰まっています。
「良い音が作れたらそれが1 番なんです。」 そうおっしゃる南條和哉さんに、おりんの魅力についてお話を伺いました。

 

良い音をつくる

「佐波理」の錫の割合が高いのに理由はあるのでしょうか。

私たちが作っているのは「鳴り物」。
音が鳴る製品しか作らないので、そこにより合った配合に変えています。
錫を多量に入れる方が金属がより硬くなって、澄んだ音色と独特の余韻が出やすくなるんです。
一般的に佐波理って言っても、配合自体も工房によっていろいろ違ってきます。
割合によって鋳造の難しさも変わってくるみたいです。
錫の配合が多いほど鋳造が難しいと言われてます。
私たちの配合は、焼き型の鋳造方法じゃないとできないんです。
普通の砂で型を作るような鋳造だと、私たちの配合率では鋳造できないみたいで。
できたとしても音が鳴らなかったり、いい音にならなかったり。

仏具を作っているって考えるよりかは、
南條工房の作り方で出せる「音色」を作っているってイメージですね。
形はどうあれ僕らにしか作り出せない音色がある。
それを守るために全部の作業があるんだなって思うようになって。
最近は仏具として使ってもらわなくてもいいし、
どんな使い方でも音を楽しんでくれるんだったらいいな、と思っています。
使う人がその音が好きで、それを必要とするんだったら、
自由に使ってもらえる商品があればいいんちゃうかなって思うようになりました。
仏具って言うところにあんまりこだわらなくなりましたね。
最近は音が良いものだったら何でも作りたいなと思うし、
おりんを楽器として使ってもいいし、使い方は自由でいいなと思います。
だから仏具というところにこだわりはなくて、
いろんな鳴物を佐波理で作って良い音が作れたらそれが1番いいなって思います。

 

「新しいものを作ろう」

おりんって、楽器の音とは違うけどすごく心地の良い音ですよね。

そうなんです。15年目ぐらいまでは工場の外に出るって言ったら、
問屋さんへの配達くらいしかなかったんですよ。
あとの時間はほぼ工場で腕を磨く時間。ただ、それではあかんなって思い始めて。
職人さんの集まり、他業種の方との交流に行くようになってから意識が変わってきて、
「新しいものを作ろう」って考えるようになったんです。
いろんな人としゃべるようになって気づいたことがあって。
おりんの音を聞いて、「この音嫌いやな」って言う人はいなかったんですよ。
「やっぱおりんの音っていいな」って、みんな言ってくださるんです。
それなのに、使ってるシーンって本当に少ないんですよね。
そのあり方ってもったいないなって思って、
新しく「LinNe(りんね)」っていうブランドを立ち上げました。
Chibiっていう名前の、仏具ではなくて、小さいおりんとしてのプロダクト。
いつも作ってるおりんと製造方法はほとんど一緒です。
おりんの音って昔からあるけど、使い方をどうするかだけで価値が変わるので、
そこが面白いなと思って。
これまでのおりんって、使いたいように使ってる人も中にはいたと思うんですけど、
やっぱり「仏具」という部分が前に出ちゃって、叩くまでのハードルが高い。
スタイルが変わっていく中で、マンションで仏間自体が基本ないじゃないですか。
このLinNeで扱うプロダクト自体は、使い方を定めていないんです。
どういうものに使うっていうのは一切言っていません。
これがおりんとして新しい形かなと思っています。

 

おわり

 

2020.10.01更新