京都のスープ

グリル小宝

「うちは、今の流行に外れてしまっていることが多い店なんですよ。でもたまにはそういう、時代からずれたお店が一軒ぐらいあってもいいかなぁって。」

グリル小宝 3代目主人 畠中幸治さんにお話をお伺いしました 。

 

京都の東山 美術館の近くにグリル小宝はあります。
1961年創業のお店で畠中さんは3代目主人としてお店に立っておられます。
グリル小宝の名前は、初代が修行されていたお店、「祇園たから船」から一文字いただいて小宝という名前になったそうです。

1番人気メニューはオムライス。
グリル小宝のオムライスは、牛肉、豚肉、玉ねぎ、グリンピースのケチャップライスを卵で包んであります。上にかかっているドビソース(ドミグラスソース)は、作るのに3週間近くかかるそうで、初代が「祇園たから船」から教えてもらった味です。サイズは大・中・小ありますが、小でも充分ボリュームがあります。

畠中さんは何が一番好きですか?とお聞きしました。「うーんとね、毎日見てるからね、なにがいいかなぁ。どれもこれも愛情もって接してるものなんで息子娘でどの子がいいんやって感じでなにがいいんやっていうのも難しいですね、でもヤキメシとかもけっこう美味しいですよ。」

 

お水のおかわり

畠中さんのお水のパフォーマンスはグリル小宝のもう一つの名物です。
やろうと思って意識してやり始めたわけではないそうで、「空気を含ませる方が美味しさが出るっていうので、それがいつのまにかちょっと大袈裟になったっていうか(笑)いつのまにかお客さんから指摘されるまではそういやそうかもみたいな感じやったんです。気がついたらやってた
っていう感じです。」と教えてくださいました。

 

この店のマイペース

グリル小宝さんは“お店のマイペースをいかに維持するか”ということを大切にされています。
「自分のペースをどんな環境でも例えばコロナもそうですし、一時期の突然中国人系の観光のお客さんがわぁーっと来はった時もそうですし、そういうことペースを乱されずに、いかにこの店のマイペースを維持していくっていうのが大変というか大事なことというか。その先で嵐が来ようがまあまあなんとかやっていけるのではないかなぁと思います。」
また、コロナは悪いことだけではなくてテーブルの数を減らしたことはお客さんにとって今までよりゆったりした快適な空間になってかえってよかった、と仰っていました。
そう話される畠中さんの落ち着きのある佇まいが、お店を守ってきたのだろうなと感じます。

「京都は和食な感じのイメージが強いと思う。けれど、昔の最先端やった「洋食」をそのまま引き継いだっていう感じの店があってもいいかなぁって。最近ふわふわっとした卵のオムライスが流行ってるけど、うちはそうじゃなくて、昔の硬い卵で巻いたオムライスやし、スパゲティーも洒落たようなんじゃなくて昔のケチャップの味のスパゲティーで。今の流行に外れてしまっていることが多い店なんですよ。でもたまにはそういう、時代からずれたお店が一軒ぐらいあってもいいかなぁってね、思います。」

 

京都で59年、当時の最先端を守る洋食店。

「流行りには基本的には流されずに、でも時代の波は感じながらやっていきたいです。昭
和な感じですね。時代を見つつ、その昭和な感じをキープしながら、振り回されずにやっていくのがかえって大変といえば大変なことです。たから船さんから教えてもらったことを守ってね。」どこか懐かしい京都の洋食屋さんは岡崎にありました。

 

2020.12.01更新


 

Soup of Kyoto -interview 21-
Grill Kodakara
Hatanaka Koji

Text by Suzuki Hanaka
Photo by Egawa Noe

京都のスープ21
グリル小宝
畠中 幸治

文:
鈴木はな佳(ファッションデザインコース)

写真:
江川乃重(ビジュアルコミュニケーションデザインコース)