About Whole Love Kyoto
#03

About “KUROMONTSUKI”

KYOTO T5とWhole Love Kyotoは、
京都を拠点としているからこそできること、
観光で訪れるだけでは、出会うことが難しい
京都の体温に触れてきました。
伝統文化を知り、職人の思いや技術を知り、
一歩踏み込んで、京都の本質をのぞいてきました。

Old is New.
古いものは新しい。

様々な手法のリサーチを通して生まれる、
Whole Love Kyotoの製品です。

このコンテンツでは、
Whole Love Kyotoの製品について
アイテムの背景や活動を振り返りながらご紹介します。

 

前回に引き続き、黒紋付 藤崎染工株式会社さんのリサーチから生まれた
「HANAO SHOES Craftsman」シリーズより「KUROMONTSUKI」をご紹介します。
今回は、開発に携わったWhole Love KYOTOスタッフに話を伺います。

 

形が想像できないものを形に

Q.他のCraftsmanシリーズとは違う発見などはありましたか?

Craftsmanシリーズで黒紋付に挑戦しようと思ったとき、最初に藤崎さんにお話をしに行きました。その時に藤崎染工さんがいつもお世話になっている紋付にするための生地を用意してくださる方もいらっしゃって、生地についての相談や、準備をしていただきました。
ここでまず、生地の関連の方にも関わっていただけるのか! ということを体感しました。
また、藤崎染工さんの工房は、染めの職人さんが一階にいて、二階には染めた後に紋を入れる職人さんがいらっしゃるんです。
一つの建物にたくさん職人さんがいらっしゃって、一つのものづくりにたくさんの方が関わっていることを初めて実感できました。
京都の伝統工芸は分業制で行われていることが多いんですが、特に「KUROMONTSUKI」では一番それを実感しましたね。

「HANAO SHOES Craftsman」のコンセプトともつながっていることが感じられて、いい企画になりそうだって、改めて手応えがありました。「一足にたくさんの人が関わってくださっている。」これがHANAO SHOES Craftsmanのいいところです。

Q.「この技術を掛け合わせたら面白いかも!」という発見は、工房にお邪魔させていただいたり、実際にお話させていただくことで見つけられると思うのですが、藤崎さんの技術、仕事内容で面白い!と思った部分はありますか?

工房に行って面白かったのは、使われている素材ですね。家紋はあとで入れるので、その部分だけは染まらないように防染をするんですが、その防染に使われている素材が「餅米」から作られたものだったんです。
今は技術がどんどん発展していって、いろんなものの作り方があるけど、昔はある物で知恵を出して方法を編み出していたんだな、と。まだここに、その知恵が残ってることに驚きました。

その防染を剥がす作業もあるんですが、剥がす時の道具も試行錯誤されていて。
その時ひとついただいたんですが、それは親指にはめて使う形で、指の腹に爪のような形のすくえるものが付いているもの。それで防染をクイっとひっかけて剥がせるような形ですね。その前はスプーンでやられていたみたいで。
「これがいいんじゃないかな」っていう追求、実践、追求の繰り返し。
何百年も前からある会社だけど、まだ試行錯誤を止めていない。すごくかっこいいですよね。

「HANAO SHOES」にできるんじゃないかと思う時って、「鼻緒の形が想像できないもの」であることが大切だと思っています。その物や技術自体が流通していて、今でも使われているなら、私たちがイノベーションする必要はないんです。
暮らしが変わって、現在の形では使ってもらいにくくなっているものに、「次の新しい形」を考えてみる。これがイノベーションだと思うんです。

他にも、錺金具とか、金網とか…。そういうものが靴になってるって、見たことないと意味わからないじゃないですか。(笑)
でも、そういうことに挑戦していきたいんです。真田紐も、日用品だった紐が姿を変えてファッションになる。
職人さん方自身も守っていくところ、変わっていくところを見極めて今日まで続いて来られています。私たちはそれを勝手にお手伝いしたいと思っているんです!(笑)
だからそんな考え方、視点を入れていくことが大事なんじゃないかと思います。

about “Whole Love Kyoto”

Q.Whole Love Kyotoの強みはなんだと思いますか?

Whole Love Kyotoは、ファッションから「日本人が日本人でよかったと思えるブランド」だと思います。
これは、私自身が活動に関わっていた中で実感したことです。日本人って、海外への憧れが強いじゃないですか。
確かにヨーロッパなんかは実際に行って、街自体からかっこいいと感じました。
デザイナーじゃない、一般の人の色彩感覚が研ぎ澄まされているんです。
そういう部分はすごく憧れるし、生き方にも尊敬できる部分もたくさんあります。

だけど、私が京都に来て、職人さんたちにお会いする機会ができて、実際に技を見せていただいたり、お話を聞いたりして感じたのは、日本人がすごく「かっこよかった」んです。
「日本人は季節のもの、自然のものを模様にするのがうまい」ということを聞いたりして、日本のすりガラスや寺社仏閣の錺金具の模様のことを思い出したり。

他にも、藤崎さんのずっと道具を探究し続けていらっしゃる姿勢をはじめ、伝統工芸に使われる道具なんかは、どうしてそこにたどり着いたんだろうって思うような素材が使われていたりするんです。日本人、どこまで追求するんだ!って。真剣に思います。

そういった出会いや経験から、日本のものづくり技術がすごいって言われる理由を、身をもって知ることができました。

Whole Love Kyotoもファッションブランドのひとつですが、
ファッションブランドって世の中にたくさん存在しているので、「かわいい」「かっこいい」だけのブランドをつくることは、私自身あんまり魅力的に思っていないんです。
でも、Whole Love Kyotoはそれだけじゃなくて、ファッションが「伝統工芸の入り口」になる可能性を秘めている。

商品を手に取っていただくと、その奥にもっと広い世界があるんです。
日本のこと、京都のことを思うきっかけになる。

日本人だからこそ、「日本かっこいい」って思って生きていきたいじゃないですか。
そういう誇りを取り戻させてくれるものが日本に、京都に、あるんです。
その誇りを取り戻すためのファッションを作っているのがWhole Love Kyotoだと思っています。

 

おわり

2021.1.1更新

About Whole Love Kyoto -interview 03-
HANAO SHOES craftsman
“KUROMONTSUKI”

Text by: Kawaguchi Minamo
Photo by: Nakata Kenta


About Whole Love Kyoto -interview 02-
HANAO SHOES craftsman
“KUROMONTSUKI”

文:
川口水萌(ビジュアルコミュニケーションデザインコース)

写真:
中田拳太