From T5
#研究員紹介|05


一期一会を楽しんでいく。

KYOTO T5(以下、T5)は京都芸術大学の通学部、通信教育部に通う学生メンバーで構成されており、京都の伝統文化についてのリサーチ・研究を行なっています。

アートやデザイン、歴史遺産など、それぞれの専門領域を横断するように集まった研究員たち。そもそもどんなきっかけで京都の伝統文化に興味を持ったのか。T5での活動と自身が学ぶ領域の関係をどのように考えているのかなど、このコンテンツでは、T5の研究員たちを月替わりで紹介します。

今回紹介するのは油画コース3年生則包怜音(のりかね れおん)さん。高校生の時はデザインを学び、大学では油絵を学ぶといった少し変わった経歴の持ち主である。「こんな生き方を選んだか!みたいな本を読んでる感じですね」と、自分の人生もページをめくるように楽しんでいると言う。
冷静な思考と好奇心に満ちたエネルギーを持ち合わせた人物である。


T5での活動

T5では職人さんへの訪問・インタビュー活動はもちろん、進捗状況をメンバーから報告してもらい、その履歴をデータとしてまとめていく事務的な作業を担当している。

また、黒谷和紙さんと連携しさまざまな職人さんの工房から出る端材を集めてきて和紙に漉いてもらうというプロジェクトも進めている。これは怜音さんが別のプロジェクトで職人さんの元へ足を運んだ際、素材を裁断した時に出るゴミ、いわゆる端材が大量に廃棄されていることを知り、それを何か活かせないかと考え、和紙に漉いて新しい紙にしてみてはどうか?と怜音さん自ら企画を出したところから始まった。

T5での活動で大事にしているのは、新しい視点を持つこと、そして職人さん側にも最終的に利益になること、この2点を常に考えている。
だからこそ黒谷和紙さんの活動でも、職人視点では価値がないと考えている端材を第三者目線から観察し、端材を紙に漉いてみるといった別の新しい可能性を見出し提供することで、最終的には職人さん側にも端材に対する新しい視点を獲得できる、といった新しい視点と価値観の普及ができたのだろう。


T5に参加したきっかけ

大学入学前にたまたま訪れた京都のギャラリーで知り合ったお客さんが、実は京都芸術大学の教員であり、試験会場で再会を果たす、というなかなかの奇しき縁で大学へと入学をする。

そうして始まった大学一年生、自分の学科以外の別の居場所を探すためさまざまなプロジェクトの募集を見る。しかし美術系のプロジェクトが多く、「美術系の学科に所属しているのに、加えて美術系を取り組むのはしんどいだろうな…」と感じていた。その中でデザインの先生の関わっているプロジェクト、KYOTOT5の募集が目に留まる。
プロジェクトの説明動画に出演する酒井先生に対して面白い先生だなと思い、その直感が決め手で面接を受けることに。こうして入学前の巡り合わせから導かれるようにT5に参加することになったのである。

「そもそも伝統工芸に興味があった訳ではないんですね」、「面接受けるまでは正直入ってから何したらいいか分からなかったんですけど…」、と当時を振り返って話す。やると決めたらまずは一歩踏み出してみる、そんな素直さを感じる。


これからやってみたいこと

今後は端材和紙に関連する展示を開催して活動を知ってもらい、卒業までにコンテンツを残すのか終わらせるか方向性が見えるところまで落ち着かせたいと目標を語る怜音さん。T5で通して得た知識や経験値は自分の中に残ることでどこかで絶対に役に立つと考え、卒業後の進路は市役所などの地域復興に関わる職を目指している。

「でもそれもどういう縁があるかもわからないんで。急カーブを切るかもしれないです」ともその後に笑顔で話してくれた。人生何が起こるかわからない、そんな想定外を楽しむ無邪気さがダイレクトに伝わってくる。


研究員紹介
#05
則包怜音

文:深井 恵(グラフィックデザインコース)

From T5
#研究員紹介|05


一期一会を楽しんでいく。

KYOTO T5(以下、T5)は京都芸術大学の通学部、通信教育部に通う学生メンバーで構成されており、京都の伝統文化についてのリサーチ・研究を行なっています。

アートやデザイン、歴史遺産など、それぞれの専門領域を横断するように集まった研究員たち。そもそもどんなきっかけで京都の伝統文化に興味を持ったのか。T5での活動と自身が学ぶ領域の関係をどのように考えているのかなど、このコンテンツでは、T5の研究員たちを月替わりで紹介します。