寸分の狂いのない裁断作業
畳をつくる作業の中で一番気にされているのは、寸法を正確にとることです。完成した畳を和室に敷き詰める際、1mmでもズレがあると製品にならないため、精密な裁断処理が行われます。太田畳店さんでは、一番最初の段階で畳分よりも横幅が広い状態で畳になる前の御座を仕入れます。御座は1枚3メートル以上の長さのロールを用います。畳づくりの最初の工程で、この幅を畳一畳分の長さに裁断します。その作業は大きな刃物で手作業にて行われます。
イグサという素材
裁断された畳の端は長いロール状で、丸めると門松のような見た目をしています。編み込まれていないイグサの部分は、縁の部分と日に焼けて白っぽく変色した部分でマーブル模様になっており、年数が経つと全体が白っぽくなっていきます。色が変化しても畳特有のイグサの香りは残っており、2年以上経っても香りが残っています。太田さんは、熊本県産の国産イグサと外国産のイグサの両方を扱われており、国産のイグサの方が香りが残りやすく日焼けなどにも強いため、長持ちすると話してくださいました。現在では、国産のイグサの生産量が減っており入手が困難になっているそうです。
日本に昔からある香り
畳の端材には、高い消臭効果と除菌作用があると言われています。それは、畳特有の香りに秘密があります。イグサを御座にしていく工程で泥につけ込む工程があり、その工程を経ることで独特な香りと除菌効果を引き出すそうです。玄関先に置くことで芳香剤の代わりになったり、1日履いた靴の中に一晩入れておくことで、翌朝匂いが取れて衛生的な状態にすることもできます。ただし、素材を扱う際の注意点として、吸水性が高いため湿度の高い時期や水場の近くなどに置くとカビが生えやすいです。風通しのよい場所に置いたり、定期的に軽く天日干しすること長持ちさせることができます。
職人の端材
#01
太田畳店
記事:則包怜音(油画コース)
写真:中田拳太
太田畳店HP:https://ootatami.jp/
職人interview56:https://kyotot5.jp/interview/craftsman-56/
職人interview57:https://kyotot5.jp/interview/craftsman-57/
京都西陣にある畳の職人「太田畳店」。
伝統的な一畳分の室内畳から、近年ではフィギュア用の小さい畳までさまざまなサイズの畳が日々制作されています。今回ご紹介するのは、イグサの香りが漂う工房で出る端材についてです。