AIUEO
#11


竹笹堂とAIUEO|05

京都で雑貨をつくるAIUEOが伝統工芸に出会い、新たなプロジェクトとして新商品を開発していくことになりました。
なぜAIUEOが伝統工芸に興味を持ち始めたのか。
竹笹堂さんとのコラボ商品開発するにあたり、今までのものづくりについての考えや、今回感じたことを聞かせてもらうため、京都の伝統工芸に精通するディレクター山崎伸吾さんに聞き手になっていただき、竹笹堂 竹中健司さんとAIUEO 荒川香織さんに対談をしていただきました。

京都で雑貨をつくるAIUEOが伝統工芸に出会い、新たなプロジェクトとして新商品を開発していくことになりました。
なぜAIUEOが伝統工芸に興味を持ち始めたのか。
竹笹堂さんとのコラボ商品開発するにあたり、今までのものづくりについての考えや、今回感じたことを聞かせてもらうため、京都の伝統工芸に精通するディレクター山崎伸吾さんに聞き手になっていただき、竹笹堂 竹中健司さんとAIUEO 荒川香織さんに対談をしていただきました。

自転車で全部揃う

山崎伸吾
ちょっと話を戻します。竹笹堂はずっと京都でものづくりをされていて、きっとこれからもそれは変わらないと思うんですが、竹笹堂と京都の関係性について考えていること、感じてきたことがあれば教えてください。

竹中健司
まず気付いたことで言うたら、今まで普通やったから気付かへんかったけど、昔お使い行ってこい言われて、自転車でそこら中行っていた。
扇子作ってるとこ、扇子の骨屋さん、とか全部。
よく考えると京都で全部成立すんねやなって思って。
大きな工房なんです。東京もそうやねんか。
でも新しいものができてきてるから東京はちょっと失ってしまってる。
京都は深く残ってる。都会部に二次工芸の組み立てのところがあって、外回りに一次産業が多いっていうね。

荒川香織
面白い。

竹中健司 :
炭とか、石とか、鈴鹿の柿渋…渋紙とか。
国道沿いにちゃんと、周りにおんねん。
ちゃんと中央に入るようにしてあって、ちょっと離れるところにそういうものがある。 一次産業、二次産業、で三次産業で売るやんか。
それがまだ残っている状況であるっていう。
他のとこもそうやけど、さらに残っている京都にすごく楽さがあるなと思って。

例えば、まず絵の具頼まれたとして、自転車で行って、地学会館に行く。 地学の学者さんに辰砂のこの赤色はどこどこで取れて、なになにでっていう話を聞く。
それから仏教から「辰砂は空海さんが探していた赤やで」っていう話を聞く。 この赤を使わなあかんねやなって指令を受ける

そのまま烏丸を下がって行くと、岩絵具屋さんがあって辰砂のことを教えてもらう。
これはグラム?「一両です」一両?「15gで一両」あほな二両で 「1600円ね」1600円?!高!とか言ってそれを買ってくる。

ほいでお父さんに聞いて混ぜて作る。 とか紙のことも全部繋がってる。
紙足りひんわって思ったらそこらへんに紙屋さんいっぱいあるから紙屋さんに聞いて、ほなこれとこれっていう。

紙屋さんも得手不得手紙があって、産地のものをそれぞれ持ってる。それを選んで、欲しいところに行って聞いて持って帰ってくる。みたいな感じで揃ってる。
あとは電話一本で誰かができる。提灯作りたいな思ったら提灯作れる人おるし、ロウソクってどうやったけって思ったら、ロウソク屋に聞けばいいし全部おるなっていう。

それが使えるようにならはったらより面白い。
そうしたら、みんなが最近言うデザイナー不在って言う話になる。
機械が代行して来た時に、絵屋さんがもう無くなってしまってる。
不在ではないって言ったら不在ではないんやけど。
昔の良かったものを知ってる人が少なくなったっていう。

京都府の賞状知ってる?僕が作ったんやけど、柄描いて欲しいんやけどって絵屋さんのところに行ったらサラサラーって描かはんねん。
しだれ桜と柳をパパっと描かはって、1つの角だけ描かはってん。
枠全部いるのでってこっちが言ったら 「ひっくり返したらいいやん」って。角なんて全部一個で足りるやんか。みたいな。
それが工芸やって。だからそんなクチュクチュ描いてどうすんねんって。 パッパッパとできてるもんでいいねやって。
そのあと一言、古今和歌集からこの柄はなになになりけり。はいこういうデザインって。
めっちゃかっこいいやん!めっちゃかっこいいっすね見たいな笑

山崎伸吾 荒川香織:
おー笑

竹中健司
京都府持って言ったら一発。今でも使われてる。
っていう風にそんな人もいはったんやけど、今ちょっと不在になっているのでそういう人がまた新しくでもいいから出て来て、そういう人が増えるとまた復興して行くかな。
だからそんな感じでいてもらって、今回みたいにしてもらうと使えるようになってくるんちゃうかなって思ってます。

山崎伸吾
いい話。AIUEOもその中に入らないとですね。

荒川香織
そういうことができるようにね。

竹中健司
今回で相葉さんと提灯や扇子も作って多分感覚わかるので、発展してくと仲間がいるし。
あっこちゃんと作ってくれて、売ってくれるで!ってなったらみんな、あーしよう。こーしようみたいになる。
そんでさらに勉強してもらうと。

山崎伸吾
聞いたら教えてくれますしね。

竹中健司
みんな喋りやし。

荒川香織
笑 確かに。
ご近所さん感覚だけどみんなすごい技術がちゃんとあって、専門職があるっていうのは面白いですね。

竹中健司
全部揃うもんね。自転車で終わる。
あとそれでしなあかんことは、職人も勝ったり負けたりするので、失敗したことに対してあんまり怒ったらあかんねやんか。
代々でやるので、この時に失敗しよったわーって言ってもその前にこっちが失敗して負けてもらってるし、お前も負けたれっていう感じで。
それが分かれば周りとうまく行く。失敗するもんやから、手のもんやし。文句言うたらあかんって言うね。

荒川香織
それいい関係ですね。


工芸のものづくりは関係づくりから

山崎伸吾
AIUEOでは、今後どんなことをやっていきたいと思っているんですか?

荒川香織
木版でいうと、今回は竹笹堂さんを真似させていただき、アイテムに展開するっていう方法で進めたので、ここから本当に千代紙から何ができるのかな?とかもうちょっと遊んでみたり、違う形に起こすってことをやってみたいな。
それと「木版らしさ」って何なのかをもっと勉強して、柄の作り方も勉強できたら面白い。
あとは竹細工にちょっと興味があるので、竹やってみたいなって。
おもちゃを作りたくて、それが古臭くない可愛いものができないかなって。

竹中健司
京都の竹っていうことで、他とはあんまり変わらへんねやと思うんやけど、やっぱり京都っていうブランドを持ってる。

山崎伸吾
「京名竹」がありますね。

竹中健司
関サバみたいな。

荒川香織
鯖だけど、関で漁れるのがブランドっていうことですね。

山崎伸吾
竹笹堂の今後のビジョンについて聞かせてください。

竹中健司
今までやって来たことをそのまま勤めて行くだけやけど、もっと研いでいきたいなっていうのはある。
けど研ぐのは儲からへんし難しい。研ぎながらちゃんとして行きたい。
面白いことは研がないとできへんことがいっぱいあるっていうことがわかったので、素材の方もちゃんと作って、と思って桜の植林の場所も何度もチャレンジしてるんやけど。

山崎伸吾 荒川香織
へー!

竹中健司
吉野からずっと色々やってて。他にも花背とか。
今回は静原にしようって、静原を狙っていこうと思ってる。
そういう行為をちゃんと広げたい。あと大根作りたい。お昼ご飯会社のみんなで食べるんやけど、お漬物が僕好きやねんか。
大根のお漬物好きやから大根作ろかなと。

荒川香織
すごい笑

山崎伸吾
ショップに大根並ぶんですか?笑

竹中健司
それもいいかなって。職人の賄い大根って。あと、もしもなんかあった時のために疎開場所が欲しい。スタッフ全員の。それには静原いいなーと思ってて。知り合いもいるし。

山崎伸吾 荒川香織
うんうん。

竹中健司
あとは和紙漉きの場所もやばいので、一次産業の危機感があるところにバックアップに行きたいなっていう風に思ってる。

無くなんねやったら僕らがやるっていう感じで和紙の漉き舟とかも持って帰って来てこっちで漉くとか。取るんじゃなくて守るために。
向こうにいはんねやったらすぐ返すから。
誰かが維持するっていう行為をする。

二次産業はみんな集まってるんで、もっと連携をとって、販売の方は新しく言うてくれはったら、それでうまいことできればいいし。

そこはもう徐々にあげていったらいいので、そん時そん時の展開で考えていったらいいかなって。
でもまず研ぐためには素材と確保っていうのが必要。だから、これからもやってることは一緒で、もうちょっと洗礼しようかなと。

山崎伸吾
AIUEOさんみたいな立場でそういう一次産業的なものを守る活動があってもいいかもしれないですね。

荒川香織
私たちにどういうことができるのでしょう?

竹中健司
和紙いうと今回使ってないけど例えば越前奉書紙、奉書紙はコウゾになる。
茨城県久慈郡大子町に大子那須コウゾって言うのはあるけど、どんどん無くなってる理由としては、大変な作業で儲からへんから。
職人さんの子どもさんが辞めなさいって言う。

けど最近それを守ろうっていう会が出来てて、そんなのをたまにボランティアで助けに行ったらいいんちゃうかなって思うねん。
その代わりにこっちに少し回して下さいよとか言って。
ちょっとずつやれば守れることはできるんちゃうかなって思う。
学生とかも勉強のために連れて行って3日間でもいいし掃除しますって。行ったらその時は助かるやん。
他にも山の掃除をさせるとか。

山に入ることによって、人間が踏むことで松茸が出てくるので松茸が出て来たらもらえるとか。そんな感じでもっとうまくお金かからんと何かで代価を得る関係性をつくっておいたらいい。

荒川香織
一緒にっていう関係性、いいですね。

竹中健司
休みの日に働きなさい。
じゃなくて、好きやったら自分の趣味として手伝うのも別にいいと思うんで。そんなことが連携してもらえると。
他のところもみんな。僕はそうしようと思ってるので、そういう人が増えればいいかなって。

山崎伸吾 荒川香織
いいですね。

竹中健司
それを伸吾がまとめ役としてやったらいいやん。

荒川香織
お願いします。

山崎伸吾
工芸のものづくりは関係づくりから始まるみたいなところがあるなと思うので、そんな関係性の中から新しいものづくりが生まれたらいいなと思います。頑張ります。


伝統工芸とAIUEO
#11
竹笹堂 竹中健司
山崎伸吾
AIUEO 荒川香織

竹笹堂HP:
https://www.takezasa.co.jp/index.html
竹笹堂 HP:
http://www.takezasa.co.jp

京都伝統産業ミュージアム
https://kmtc.jp/

AIUEO HP:
https://hello-aiueo.com/

AIUEO
#11


竹笹堂とAIUEO|05

京都で雑貨をつくるAIUEOが伝統工芸に出会い、新たなプロジェクトとして新商品を開発していくことになりました。
なぜAIUEOが伝統工芸に興味を持ち始めたのか。
竹笹堂さんとのコラボ商品開発するにあたり、今までのものづくりについての考えや、今回感じたことを聞かせてもらうため、京都の伝統工芸に精通するディレクター山崎伸吾さんに聞き手になっていただき、竹笹堂 竹中健司さんとAIUEO 荒川香織さんに対談をしていただきました。

京都で雑貨をつくるAIUEOが伝統工芸に出会い、新たなプロジェクトとして新商品を開発していくことになりました。
なぜAIUEOが伝統工芸に興味を持ち始めたのか。
竹笹堂さんとのコラボ商品開発するにあたり、今までのものづくりについての考えや、今回感じたことを聞かせてもらうため、京都の伝統工芸に精通するディレクター山崎伸吾さんに聞き手になっていただき、竹笹堂 竹中健司さんとAIUEO 荒川香織さんに対談をしていただきました。