職人interview
#37


型友禅|01|「やらなきゃな」って思ったんです

型友禅は、明治に入ってから化学染料がヨーロッパからきたことによって浸透した友禅染の技術の一つです。
横田さんは、友禅の世界に入る前、東京でパソコンなどデジタル系を扱う仕事をしていました。「外から入ってきたからこそ、技術を残す役目になりたい」。
そうおっしゃる横田さんから、型友禅の魅力についてお話を伺いました。

「やらなきゃな」って思ったんです

──京友禅を始めたきっかけは何ですか。

僕自身は福島県出身で、福祉の大学を出て、東京でパソコン打つ仕事をしていました。そこで社長の娘さんと結婚して転職して。29歳でこっちの世界に入ってきました。ご縁があって話しさせてもらった時に「面白そうやな」ってことで入りました。 今で続けて10年くらいですかね。

──業種が変わったことの戸惑いなどありましたか。

入った時には何もできないし、何もわからないような状態ですから。職人の世界って厳しそうなイメージですけど、僕の先輩ってもう70代80代の方ばっかりだったので、比較的スムーズに教えてもらえました。

最初1年間は板場(現場)で色づくりや染め方を練習させてもらって、今は営業や着物の配色をする仕事を全般やってます。図案家の人に「こんな感じで」っていうのをお願いして、それから型を作る職人さんにお願いしています。

彫って返ってきたものから色をどういう風に染めるかっていうのを僕らの方で決めて、それを職人さんに渡して染めてもらう。最初は模様だけ染めるんですよ。そのあとに地染めをして、職人さんに渡して、返ってきたら刺繍に出して。そういう段取りをする。最終的に販売して、っていうところまでの仕事をしてます。

──完全分業制なんですか?

そうですね。友禅は特に。
京都の伝統工芸って分業制がほとんどなんですけど、型友禅も細かく全部専門の職人さんがいらっしゃいます。

──その分工程もたくさんあるんですね。

30工程くらいはあるのかな。それぞれの職人さんとコミュニケーション取りながら。僕自身は自分で染めたりもするので……。逆に、僕みたいな立ち位置を手描き友禅では「悉皆屋(しっかいや)」って言ってみたり、型友禅やと「和職」って言ったりもするんですけど、だいたい染め屋って、息子さんがずっとやっていく、それが染め屋さんの親方の流れというか。そういう人たちって段取りや営業の仕事がメインなので基本染めたりとかしないんです。

僕の場合は途中から入って来たので、逆に染めることもできるようにしながらやっていきたいなと思って。そういう意味だと、僕みたいな立ち位置は他の染め屋さんにはいないかな。逆に途中から入ってきたんで、「やらなきゃな」って思ったんです。


友禅の始まりは”京都”

──京友禅の特徴は何ですか。

友禅の始まりは京都なんですよ。元禄時代くらいに、京都で宮崎友禅斎っていう友禅染めの名前の由来になった扇子の絵描きさんがいるんです。その扇子のデザインがおしゃれだからって着物に持っていったのが「友禅染」。色の子付けができて、たくさんの色を使って絵が描けるっていうのが友禅染めの特徴ですね。

京都の手描きが始まって、それが加賀とかに広まっていきました。京友禅は「派手かわいい」イメージ。描かれている桜とかは模様として、印象として抽象化されているんです。加賀友禅はもっと写実的で、実際の草花を描いているような。

加賀は手書きしかやってないんです。京友禅と加賀友禅ってネーミングが似てるし同じジャンルだけど、産業としてのやり方が違っていて。型友禅はメーカーというより問屋がいるんです。そこが型友禅の半券を持ってて、問屋さんのブランドになるんです。

僕らはそこに委託されて染めている。だからうちのオリジナルの型っていうのは厳密には存在しないんです。デザインとかはうちが考えて、図案家さんに作っていただくんですけど、型代とかを問屋さんが持ってるので、半券はうちにはないんです。というのが分業制。加賀友禅は「一人」作家さんなんです。全部に「落款(らっかん)」が押してあります。誰の商品かっていうのがわかるようにされてるんです。

──作り方や工程自体も、関わる人の数も違うんですね。

京都の方が量を作れたんでしょうね。振袖に特化してるところが多いので、振袖って他の着物と売り方とかもちょっと違うんですよ。他の着物は全部呉服屋さんに行かないと買えないじゃないですか。僕らの振袖っていうのはお客さんが「成人する女の子」なんです。振袖専門のショップとか、写真館とか、そういうところがやってることが多いので、着物っていう中でも振袖っていうのはちょっと特殊なジャンルですね。

なので他の着物屋さんと雰囲気が違うんです。インクジェットも京友禅なんですよ。機械染めっていう名目で組合としてうたえるんです。国指定の産業に京友禅が入ってるんですけど、それにはインクジェットは含まれていなくて。結構ね、複雑なんです。

──インクジェットなども増えてきて、使う素材も時代によって変わりましたか?

そもそも、京友禅は手描きがスタートなんですよ。手描き友禅でずっとやってて、明治に入ってから化学染料がヨーロッパから入って来て、いろんな色を簡単に、かつ安定した色が作れるようになってから型友禅ができたんです。

化学染料でいろんな色を簡単に、安定した色が作れるようになってから、伊勢型紙とかを使った染め方と掛け合わせて手描きでやってたような、もともと糸目があったんで糸目友禅を型でやりだしたっていうのが型友禅のスタートみたいです。


職人interview
#37
丸染工業株式会社
横田武裕

文:
川口水萌(ビジュアルコミュニケーションデザインコース)

丸染工業株式会社HP:
http://www.marusenko.co.jp/

職人interview
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型友禅|01|「やらなきゃな」って思ったんです

型友禅は、明治に入ってから化学染料がヨーロッパからきたことによって浸透した友禅染の技術の一つです。
横田さんは、友禅の世界に入る前、東京でパソコンなどデジタル系を扱う仕事をしていました。「外から入ってきたからこそ、技術を残す役目になりたい」。
そうおっしゃる横田さんから、型友禅の魅力についてお話を伺いました。