職人interview
#34


京瓦|02|「なんでも作れる」こと

私たちの身の回りでは、様々な作業が機械化されています。そんな中で、手仕事を守り続けた「浅田製瓦工場」の三代目、浅田昌久さん。
時代の建築方法に合わせて、重さも形も変化を遂げる瓦は、たくさんの魅力が秘められていました。手仕事の良さは「なんでも作れる」こと。そんな京瓦の魅力についてお話ししてくださいました。

「なんでも作れる」こと

──瓦以外で興味のある伝統工芸はありますか?

コラボしたいなあって思うのは截金(きりかね)かな。でもな、漆に負けはんねん。そやさかいに漆で金箔を貼ったらいいんやけど、漆じゃないから、水が当たるとあかんねん。やからまた他の方法を考えんとね。漆の色に金箔の色が入るのはすごくかっこいいから。

豊臣秀吉が金箔してるでしょ、一番最初は織田信長の安土城ね。やっぱり織田信長よりも豊臣秀吉のほうがすごいな。織田信長のほうが「手間がかかって目立ちにくい」。豊臣秀吉は「安くあげて目立つ」。そう言う違いがあるね。織田信長は紋様があったら紋様の底に金箔を貼って、反対に豊臣秀吉は出っ張ってるところに金箔をはんねん。そりゃ目立つわな。だから安土城の金箔の貼り方と桃山城の貼り方は違うんよ。

──昔から作業はされていたんですね。

嫌じゃなかったし、遊びでやってたからね。親父は「家を継げ」なんて言うてなかった。前の作業場では、俺をりんご箱に入れて仕事してたみたい。だんだん大きくなってからはうろうろするようになって。土を詰めるところがあってね、一段掘れてるところ。そこに水張ってあったらそこで遊んでたり。そんなことをやってたらしいわ。

──浅田さんの思う、手仕事の良さはなんですか。

「なんでも作れる」ことやね。基本を知ってないとできないでしょ。

──Old is newについて

いっぱいある。瓦が剥がれたらもう上には載せられないんです。木材が細くなってるでしょ。「やっぱり瓦の方が良かった」って思っても、もう建物自体が無理なの。瓦の重さに耐えられる木材じゃないからね。

瓦で僕が思う利点は、リサイクルできること。もうエコ製品やから。廃材にして粉砕したら他のものにも使えるし、害になるものなんもない。粉砕したら路盤材(床)になるし、インターロッキングしたら公園とか歩道にも使えるでしょ、公園なんかに撒いておけば、多高湿やから雨降ったら水を吸収するし、暑くなったら水分を発散して温度を下げる。だから、瓦を利用したらまだまだいけるし。

ガーデニングにもね、瓦の細かいのを入れておいたら水もちがいいし、水はけもいい。いい点もあんねん。水の浄化もそれでできる。

使えないのは表面の炭素の膜。これがみんな使えてないねん。それをなんとか使えないかね。可能性はいっぱいある。

食器にも使えるよ。山口県の瓦蕎麦があるでしょ、あれは普通の瓦やったら一回使ったら割れるんやで。だから瓦の粘土じゃなくて、「万古焼」。土鍋の粘土を瓦の形にやれば、何回でも焼けます。食器にも火にかけることもできる。だから考えたらなんぼでもできるよ。


職人interview
#34
浅田製瓦工場
浅田昌久

文:
溝部千花(空間デザインコース)
川口水萌(ビジュアルコミュニケーションデザインコース)

浅田製瓦工場HP:
https://www.kyogawara.com/

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京瓦|02|「なんでも作れる」こと

私たちの身の回りでは、様々な作業が機械化されています。そんな中で、手仕事を守り続けた「浅田製瓦工場」の三代目、浅田昌久さん。
時代の建築方法に合わせて、重さも形も変化を遂げる瓦は、たくさんの魅力が秘められていました。手仕事の良さは「なんでも作れる」こと。そんな京瓦の魅力についてお話ししてくださいました。