職人interview
#04


手ぬぐい|02|25mの染め台

KYOTO T5から発売する「てぬぐい」を染めてくださった、創業78年 八幡染色 山口 泰茂さんのお話。
「京都の染めは上百軒、下百軒」と言って京都全体に染工場が二百軒近くありました。父が立ち上げた工場で弟さんが色を作り、お兄さんが染めます。長さ25mもの染め台に敷かれた生地に、手作業でシルクスクリーン印刷されています。機械染めが普及している中、手作業で、色の重厚感を大事に守られています。

25mの染め台


「オート」だとで4000m、「ハンド」だと350mぐらいしか一日にできない。

──手作りの良さや魅力は。

重厚感やなぁ。
最近は機械で染めたり、インクジェットとか色々なやり方があるけど、色の深みはインクジェットでも、機械でも出ない。手で染めると、ぱっと見たときに色の重厚感や深みがある。機械で染めることを「オート」、手で染めることを「ハンド」と言うんだけど「ハンド」は、とても時間がかかる・大量生産が出来ない・コストが「オート」の倍以上かかるという欠点がある。「オート」だと一日4000mぐらい染めれるけど、「ハンド」だと350mぐらいしかできない。

──今回作って頂く“京都”をテーマとした手ぬぐいで気に入っているところはありますか。

僕はそういう見方をあんまりしなくて、技術的にどうこなすかという仕事の目で見る。うーん、お気に入りか(笑)それぞれ個性があって面白いけど友禅が一番好きで、仕事の目で見るとWhole Love Kyotoのロゴのギンガムチェックや漢字が難しい。

──この手ぬぐいを自分が使うとしたらどう使いますか。

僕、そのまま手ぬぐいとして使うことはまず無くて、手ぬぐいで一番よくするのは、生地を切ってハンカチ替わりにリメイク。他にもマフラーにしたり、袋ものを作ったりするかな。


染めは沢山の可能性を秘めている
染めは時代とともに変化していく

──私たちKYOTO T5は『old is new』をスローガンに社会の最先端にあるものだけが“新しい”とは捉えず、若者の目で京都という古い町を見て、古い中にある新しいことや可能性を発見し活動しています。
日々、伝統工芸と向き合う泰茂さんにとっての『old is new』はなんですか。

染めは沢山の可能性を秘めているということ。
昔から続く、着物の染めの世界には色々な染め方・技法・手法がある。それらを現代の洋服の染めに取り入れたらもっと変わった面白いものができると思う。あと、時代によって素材と用途が変わっていくことに驚いた。昔は婦人服ばかりを染めてて、洋タオルなんて明治頃までなかったからね。染めは時代とともに変化していく。

──私たちの活動に対してどう思われますか。

面白い試みやなと思う。
今日初めてお会いして、初めて活動について聞いて、「具体的にもっとこうしたら?」とか助言はパッと思いつかんけど。京都には表に出ず、ひっそり隠れた職人がいっぱいいるし、そういう人たちが京都の文化を作っているからKYOTO T5さんの活動続けて欲しい。


職人interview
#04
八幡染色
山口泰茂

文:
溝部千花(空間デザインコース)

職人interview
#04


手ぬぐい|02|25mの染め台

KYOTO T5から発売する「てぬぐい」を染めてくださった、創業78年 八幡染色 山口 泰茂さんのお話。
「京都の染めは上百軒、下百軒」と言って京都全体に染工場が二百軒近くありました。父が立ち上げた工場で弟さんが色を作り、お兄さんが染めます。長さ25mもの染め台に敷かれた生地に、手作業でシルクスクリーン印刷されています。機械染めが普及している中、手作業で、色の重厚感を大事に守られています。