職人interview
#30


京刃物|02|時代に好まれるものを作りたい

一言に刃物といっても、その種類は様々。身近なものでいうならば、包丁、鋏、鎌など、私たちが普段手にするものでさえ数多く存在する。刃物は畳や扇子など、様々な伝統工芸を支えています。
創業360年を超える『京刃物 義定』10代目の山口悌布朗さん。
使い手が多いからこそ、なんでも作る。使う人によって、重さも形も、素材も変えていくのは何よりも「使いやすく」するため。
ものづくりになくてはならない道具の一つである「刃物」。 人が触れるものだからこそ、時代に対応する。 そんな刃物の魅力を聞きました。

時代に好まれるものを作りたい

──刃物を作る際に特にこだわっている部分はありますか?

形とかもそう、材料とか、やり方とか、地方にある刃物を作っても面白くない。 私たちの場合は錆びない刃物を作ってる。鋼も、切れるところも、へらも錆びない。 やから年に一回くらいしか研がなくていい。 こだわりを作って「安心して売れる」ようにしようと。

洗ったらすぐ錆びたなんてね、そんなんでは面白くない。昔は錆は体にいいって言うてましたけど、今は医学の発展で錆は体にようない(よくない)って言われてるので、 錆びなくてよく切れる、使いやすい包丁を作るのが私のところの強みなんです。作っていく中で大変なことはないですけど、 使っていただいて、喜んでもらえるものを作りたい。 これがモットーですね。今は研究して作ってるさかいに。

──山口さんが思う、京都ってどんな街ですか。

京都はかなりいい街やと思いますよ。人間性があるのかな。昔は町内が親戚みたいでしたから。助け合って…。 人と人の「つながり」の街。わりかた住みやすい。 私はよく地方に行きますけど、京都に帰ってくるとホッとします。

──山口さんが思う、京刃物の「可能性」はなんですか。

答えになるかはわからないけど、時代に好まれるものを作りたいと思っていて。 これは錆びない、割れない、だったり、何十年も使えるものだったり。 その時代に応じて、その気持ちでやっています。それを弟子にも継いでもらえるように教えていかなきゃやしね。 やから弟子には十年我慢せぇと伝えています。


職人interview
#30
京刃物 義定
山口悌布朗

文:
溝部千花(空間デザインコース)
川口水萌(ビジュアルコミュニケーションデザインコース)

京刃物 義定HP:
https://yoshisada.jp/

職人interview
#30


京刃物|02|時代に好まれるものを作りたい

一言に刃物といっても、その種類は様々。身近なものでいうならば、包丁、鋏、鎌など、私たちが普段手にするものでさえ数多く存在する。刃物は畳や扇子など、様々な伝統工芸を支えています。
創業360年を超える『京刃物 義定』10代目の山口悌布朗さん。
使い手が多いからこそ、なんでも作る。使う人によって、重さも形も、素材も変えていくのは何よりも「使いやすく」するため。
ものづくりになくてはならない道具の一つである「刃物」。 人が触れるものだからこそ、時代に対応する。 そんな刃物の魅力を聞きました。