職人interview
#33


京瓦|01|手作りの瓦屋があるほうがいい。

私たちの身の回りでは、様々な作業が機械化されています。そんな中で、手仕事を守り続けた「浅田製瓦工場」の三代目、浅田昌久さん。
時代の建築方法に合わせて、重さも形も変化を遂げる瓦は、たくさんの魅力が秘められていました。手仕事の良さは「なんでも作れる」こと。そんな京瓦の魅力についてお話ししてくださいました。

手作りの瓦屋があるほうがいい。

──創業何年ですか。

一応明治44年です。もう100年以上。昔はぼうしょって言う、友禅染めの定着剤みたいなものと瓦を一緒にやっていたんです。だから製薬部と瓦製造を同時にやってたみたい。京都で一番新しい瓦屋です。あとは全部辞めはったからね。

──残ってこられた理由はなんだと思われますか。

機械化をしなかったからですね。先代の親父が、「一件くらい手作りの瓦屋があるほうがいい」と。その通りやと思いますね。

──京瓦の特徴とは。

元々は京都の粘土で、京都の燃料で、京都の伝承されてきた技術でつくる瓦」のことです。今では90%が愛知のもの、10%はベトナムのものなんです。技術もたくさんあって、特徴は磨きやね。型を取って、焼く前に瓦をヘラでなでること。この磨く技術は陶器にはない。磨くことで強度があがるんよ。

表面は滑らかになって、焼き上ると艶が出て。機械では出せない、手作業だからできるんです。昔は分業制だったんやけどね。今は人が減ってきて、全行程を一人でやってる。


“昔の瓦は「重い」ほうがいい。”

──今と昔で、瓦の利用方法は変わりましたか。

そうやね。昔屋根は重くなければいけなかった。建築の方法が変わってきてるからね。昔は石の上に柱を置く、この順で建てられている。柱同士を接合する技術がなかったから。上下からの挟む力がないと安定しないから、屋根は重くなければいけなかった。

現代の建築の構造は、地面がコンクリートで、柱と柱の接合はネジなどを使ってるから上からの重みがなくてもいいでしょ。むしろ軽さが求められるようになった。やから、昔の瓦は「重い」ほうがいい。今は「軽い」ほうがいいんよ。

──軒先になる部分の柄がすごく細かいんですね。

最初は幅ギリギリまで模様が入っていたんよ。時代を重ねるにつれ、重なって隠れる部分には柄がなくなって、小さくなっていった。なんでかって、「見えへん」からね。見えないところは柄入れんくてもいいやろって、そういう考え。

模様は仏教から来たものが多いですよ。磨く技術を磨かない技術で表現してるんです。だから昔はどうしてたかっていったら、ヘラで作っていたんだけど、今回はシルクでやったり。昔から梨地っていって、梨の肌ってザラザラしてるやん。だから磨いたところに土をつけて、凸凹こしらえていく技術があったんです。「梨地」って言う表現方法やね。

──他の伝統工芸の方との繋がりがたくさんあるんですか。

そうやね。それは京都市がやってくれてんねん。すごくありがたいね。


職人interview
#33
浅田製瓦工場
浅田昌久

文:
溝部千花(空間デザインコース)
川口水萌(ビジュアルコミュニケーションデザインコース)

浅田製瓦工場HP:
https://www.kyogawara.com/

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京瓦|01|手作りの瓦屋があるほうがいい。

私たちの身の回りでは、様々な作業が機械化されています。そんな中で、手仕事を守り続けた「浅田製瓦工場」の三代目、浅田昌久さん。
時代の建築方法に合わせて、重さも形も変化を遂げる瓦は、たくさんの魅力が秘められていました。手仕事の良さは「なんでも作れる」こと。そんな京瓦の魅力についてお話ししてくださいました。