職人interview
#54


金箔|02|未知の金箔

今回お話を伺ったのは、五明金箔工芸さん。
明治初期、初代次郎吉が仏具店の番頭だった関係により、二代目治太郎が平安箔安氏の下で修行し、金箔押しの技術を得たことがはじまり。
以後、その技術を受け継ぎ、仏具から大阪城、ティファニーまで、幅広い分野で活躍しています。

未知の金箔

──新しいことに挑戦する時に心がけていることはなんですか?

一番は自分のところに何を求められているのか、単に金箔にすることを求められているだけなのか、どうなんやろって考えるようにしています。以前はそこまで思わなかったんですけど、今はとにかく金箔がいつも主役ではないということを心がけています。うちはなんで金箔を使ってやっているのかっていうと、日本の金箔である縁付け金箔を残さなアカンからやっているんです。もちろん生活しないといけないからではあるんですが、自分がこの日本の手作り箔を扱う仕事として位置付けられてからは、こういう風に思ってやっています。当然、技術を持ってやっていますから、それを裏切る気は全くないですけど、ただやっぱり、日本の一番良い金箔を扱っている以上は、この金箔を無くてしまったら終わりなんだと思ってやっています。

──金箔の手仕事の割合ってどのくらいなんでしょうか。

悲しいけれど2%しかないんです。98%は機械で作った金箔だから。それを求める市場は多いんです。理由は簡単で安いからです。それでいい世界もいっぱいあります。でも、まだ2%の手仕事の世界にも可能性が残されていると思うんです。その理由は、この金箔の凄さを世界の皆さんが知らないからです。まだ全然情報が出てないんですよ。日本の金箔って凄いぞ! っていうことをご存じない人が多いんです。知らないってことは行き渡ってないし、物もないんです。だから自国で生産されているものがあったとしても、比較すればもう明らかなんです。比較したら手仕事と機械で作られる金箔って全然違うやんってわかるんです。


ちゃんと形に残す

──金箔を貼る側として、気をつけていることや、金箔の面白さはどこですか?

気をつけていることは、先の見えてないものは関わらないようにすることかな。先に一体は塗り師に頼んで、今度は塗り終わったものを全部金箔にしないといけない。これを「どうやったら上手くいくか」と次のときに困らないように考えながらやっているかな。そうすると、向こうも仕事をしているからお互いに仕事の効率が上がってくるんですよ。面白さは、そうやねぇ。生活の中に普通にあるもんやからね。だから、うちはカテゴライズとして金箔をつかうことは当然のことになっているので、あんまり意識はしてないですね。でもやっぱり、ものは変わっても、「こういうことがしたい」とか「こうできないかな?」とか思ってることは多いですよ。
やっぱりちゃんと形に残すようにしないと、私らはそれをキチンとやっていかないとダメだと思うので。


職人interview
#54
五明金箔工芸

文:
則包怜音(油画コース)

インタビュー:
堀江若菜(ファッションデザインコース)
寺本昂平(ファッションデザインコース)

撮影:
中田挙太

五明金箔工芸HP:
https://www.gomei.ne.jp

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金箔|02|未知の金箔

今回お話を伺ったのは、五明金箔工芸さん。
明治初期、初代次郎吉が仏具店の番頭だった関係により、二代目治太郎が平安箔安氏の下で修行し、金箔押しの技術を得たことがはじまり。
以後、その技術を受け継ぎ、仏具から大阪城、ティファニーまで、幅広い分野で活躍しています。