舞妓の御用達
#04


呉服屋 おか善

舞妓、芸妓さんの存在は知っているけどどんな生活を送っているのか、どれだけの職人さんが関わっているのか私たちにとってそれは謎に包まれたままでした。
そんな“気になる”気持ちから舞妓さんの頭の先から足の先まで徹底解剖する企画がスタート。
この記事を通して、日本に残った文化“美しい謎”を一緒に解明していきましょう。

第4回 呉服屋 おか善 岡本 晃さん

第4回は江戸時代の寛政年間から呉服屋として200年以上続くおか善の岡本晃さんにお話を伺いました。

着物を着る上で季節や場所によって着方や柄、色などを変えるのは一般的ですが、舞妓さんや芸妓さんも同じように着物を着ます。
ただ、出たての舞妓さんは派手な色を、舞妓さんとして年数が多い人や芸妓さんは地味な色を着るそうです。また柄がある場所にも経験日数に違いが出るそうで、3つの種類に分かれます。


さらに舞妓さんの着る着物は一般の着物より長く、通常の着物で一反(幅約37センチ、長さ約12.5メートル)を使うのが主流ですが、舞妓さんの場合は三反ほど使うそうで、単純に通常の3倍の重さを普段から身につけていることになります。
袖の長さもそれぞれの着物によって様々です。 (左から一般的な丈が1.3〜1.5尺・舞妓さんの丈が2.5尺・一般的な振袖の丈が3尺丈)


舞妓さんや芸妓さんと呉服屋さんの繋がりは“仕入れ”と“誂え(あつらえ)”の2種類に分けられます。
仕入れ商品というのはお店で売っている商品のことで、この仕入れ商品を買っていくパターンもありますが、基本的には誂えの物が多いそうです。


舞妓さんの場合は全て置屋さんが色や柄をオーダーし、芸妓さんの場合は個人的にオーダーをする流れになっています。
仕入れの商品や誂えの商品を持って呉服屋の番頭さんが置屋さん(舞妓や芸妓を抱えている家)へ出向き、お母さん(置屋の女将さん)や芸妓さんが着物を選んでいくそうですが、この番頭さんは出向くお茶屋さんが決まっていて、お母さんの好みや芸妓さんの好みを全て把握しているのが当たり前。
一般のお客様のお屋敷へ行った際には奥座敷へ通してもらえるのは呉服屋さんだけと言われていたほど厚い信頼関係で成り立っているものなのだそう。


おか善さんは様々なオーダーを受けますが、自分の生まれ年の干支に関する柄や、お正月には餅花(ヤナギなどの木の枝に紅白の餅や団子を小さく丸めてつけたもの)や宝船などの柄が多いそうです。


最後に、岡本さんにとって舞妓や芸妓さんはどんな存在であるかを伺うと「日本といえば富士山、芸者と海外の人から言われるように舞妓ちゃん、芸妓ちゃんは富士山と同等で日本の誇りだと思っている。なくなりはしない。けれど守っていかなあかんもんやなあ」とおっしゃっていました。
現在は会長としておか善を支えている岡本さんですが、番頭として置屋さんに出入りしたり、長年の深い関係により築かれた信頼は並大抵のものではないと感じました。

また「舞妓さんや芸妓さんのことを舞妓ちゃん芸妓ちゃんと”ちゃん”付けで呼べることも誇りに思う。」と自分の子供の話をしているような温かい雰囲気で教えてくれました。


舞妓の御用達
#04
呉服屋 おか善

文:
中喜多真央(空間デザインコース)

イラスト:
樋田みち瑠(油画コース)

呉服屋 おか善HP:
http://www.okazen.jp/

舞妓の御用達
#04


呉服屋 おか善

舞妓、芸妓さんの存在は知っているけどどんな生活を送っているのか、どれだけの職人さんが関わっているのか私たちにとってそれは謎に包まれたままでした。
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この記事を通して、日本に残った文化“美しい謎”を一緒に解明していきましょう。